コロナ禍で指しゃぶりが増えている!?指しゃぶりの原因とは?
2021年10月23日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。
コロナの第5波、急速に終息の雰囲気ですね。
よかったなあと心の底から思う反面、子ども達を取り巻く環境に、コロナ禍のひずみが顕在化してきているようですね。
昨年度よりも不登校や自殺が増えているという報道も見聞きします。
長い休み明けによく出る話題ですが、大変難しい問題です。
「(子どもの)指しゃぶりがやめられません」という保護者の方からの相談が最近増えています。
今回は指しゃぶりをテーマにお話していきます。
指しゃぶりすべてが悪いわけではない
指しゃぶりは低年齢の時期は正常な発達過程の一つの行為です。
しかし、ある時期からはやめてほしい問題行動として捉えられます。
子供の成長発達と指しゃぶり
乳児期(1歳まで)
日本小児歯科学会の見解では、乳児期(1歳まで)の指しゃぶりは、乳児期の発達過程における生理的な行為とされています。
幼児期前半(1歳~2歳)
幼児期前半(1歳~2歳)からは、遊びの過程で指しゃぶりは減少していきます。
眠い時や退屈な時だけで指しゃぶりを行うのであれば、発達によって自然と減少していきます。
幼児期後半(3歳~就学前)
幼児期後期(3歳~就学前)からは、社会性の発達と共に、指しゃぶりなどの悪習癖は減少していく可能性が高いと言われています。
しかしながら頻繁な指しゃぶりの場合、3歳以降からは、噛み合わせや咬合などの口の形に影響を及ぼす可能性が高まり、上顎前突や開咬(前歯がかみ合わない)になると言われています。
問題行動となる指しゃぶり
就学以降にも継続している場合は、指しゃぶりなどは問題行動とされます。
原因追究などにおいて、心理学的な面からのアプローチが重要になります。
指しゃぶりをやめさせるには?
幼児期後期からの、やめたいけどやめられない程度の習癖の場合、おすすめなのは指しゃぶり以外に別のおもちゃなどに興味を持たせることです。
保護者の方におススメしている方法
- 手遊び歌などのスキンシップを多めにし、眠たくなったら手を握って眠るまで待つこと
- 手に絆創膏など違和感強めのものを張っておき、手を口に入れたら気付かせること
また幼児期後期には、兄弟姉妹ができて環境が変わり、赤ちゃん返りと共に一時的に頻度が上がってしまう場合があります。
気持ちの落ち着きとともに頻度が下がっていく場合が多いです。
しばらくはおおらかな気持ちで見守っていくことが大事です。
影響が大きな場合の歯科的・心理学的アプローチとは?
歯並びに指しゃぶりが悪影響を与えている場合
指しゃぶりの力が強いと、歯並び矯正で器具が歯や顎にかける力よりも、強い力が顎にかかります。
そこで歯並び矯正を開始するためには、指しゃぶりの癖を止めていること、もしくは止めたいと思っていることが重要になります。
お子さま本人が、例えば「保護者の方の注目を集めたいために指しゃぶりを行う」などの心理が原因なら、やみくもに叱っても指しゃぶりの癖はやめられません。
ある程度の年齢のお子さんの場合、「なぜ指しゃぶりをしてしまうのか」そして「どうなったら指しゃぶりを止めたいと思えるのか」という点について心理学的に追究しないと効果が低いです。
指しゃぶりが収まってきた場合、開咬(かいこう)であればタンクリブと言われる、咬合関係に舌や指が入らないようにする装置が有効です。
開咬(かいこう)
また前突(ぜんとつ)に関しては、歯列幅の拡大と、ブラケットを用いた矯正が有効である場合が多いです。
(抜歯を伴う、伴わないなど状態の診断も必要となります)
前突(ぜんとつ)
指しゃぶりについてご心配な方は、お気軽にご相談下さい。
まとめ
いかがでしたか?
- 指しゃぶりは1-2歳児では発達に伴う生理的な行為とされますが、3歳以降はなるべく、就学以降(6歳以降)はやめるべき習癖とされています。
- 癖(習癖)をやめるには、本人の自覚、そしてやめるという決心が大事です。必要に応じて、原因追及や行動変容のために、心理学的なアプローチを行います。
- ある程度習癖が落ち着けば、タンクリブ、拡大装置、ブラケットなどを組み合わせた矯正治療が適応となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
思わぬものが危険になる?!こどものお口・歯の事故の傾向
2021年9月24日
おうち時間が増えることで、自宅でのお口の事故にご注意
コロナの第5波、やっと終息の兆しですね。
先日、何かの記事で読みましたが、皆様コロナに完全に嫌気、飽きが来ているものの、緊急事態と言われている昨今、さらに自粛に努めているというデータが出ておりました。お子さん達も、外に出られないので基本家にいますね。大変ですが、頑張りましょう。
先日、「おもちゃの電車の連結部分のパーツがお子さんの歯の間に挟まってしまった!」という受診がありました。おうち時間が増えている最近、歯科に関係する事故も増えている気がします。事故は起きてほしくないものですが、その傾向を知っておくことは大変重要です。そのため、一度ブログにまとめてみることにしました。
1)口に咥えるものでの事故
日本小児歯科学会からの警告でもありますが、咥えるものでの最も危険なものは、1-2歳児での歯ブラシです。
この世代は体のバランスが悪く、すぐに転んでしまいます。
また、歩き始めで自力でウロウロしています。
歯ブラシを咥えたままウロウロしたり、椅子から落ちて口の中を突いてしまいます。
しかも、のどを越えると、薄い骨のすぐ向こうには脳があります。
そして脳の中でも特に大切な脳幹部分に近いので、重篤な事態になった報告もいくつかあります。
小児歯科学会のホームページ等の報告では、この5年で起きた歯ブラシ事故は120件ほどあり、その結果入院にまで至ったのは22%もあるようです。
軽くは考えられない話です。
対策
まずは目を離さないこと。口に歯ブラシを咥えた状態で歩かせてはいけません。
1-2歳児には歯磨きは自分でやらせず、寝転ばせて親の仕上げ磨きを主体に行うこと、が基本です。
子どもは親の感情を(非言語も含めて)読み取ります。
しっかり危機感をもってコントロールしましょう(磨く事もしっかりお願いします!)
喉を歯ブラシでつく事故と類似のものとして、割りばしやスプーンなどでも起きています。
対策として、柄が曲がる歯ブラシや柔らかい器具が販売されていますが、まずはリスクを少なくさせる仕組みを考え、目を離さないのが大事ですね。
2)小さいものでの事故
次にあるのが、小さいものでの事故です。
上に書いた玩具の事故もそうですが、歯と歯の間に挟んでしまって…というパターンが多いようです。
小児歯科ではたまに報告されるのですが、ストローの先をかみちぎってモグモグしていたら、ストローの直径が歯のサイズとぴったりで丁度かぶさってしまった、というのがあります。
この事故は起きた直後は痛みを感じない様ですが、かぶさってしまった歯の周囲にひどい炎症が起き、歯槽骨が抜歯に至るほど吸収した事例が報告されています。
見た目には分かりにくい事例ではありますが、注意が必要です。
また、誤嚥も非常によく起きる事故です。
乳幼児の口の直径はおよそ30ミリ-40ミリ程度もあります。(おおよそトイレットペーパーの芯程度)そこにはまるものであれば飲み込むリスクは常にある、と思っておいて下さい。
余談にはなりますが、歯科治療での器具はほぼすべて、誤嚥リスクのあるサイズになるので、つぼい歯科ではお子さんの治療などでは必要に応じてラバーダム(ゴムのマスク)を誤嚥防止のために使用しています。
しかし、100%絶対というものはありませんので、そんな処置が必要な虫歯にまずならないこと!これが最も安全で、大事と思っております。
これもまた大変ですが、頑張りましょう。
まとめ
いかがでしたか?
- 咥えるものでの事故で、歯科に最も関連が深いのは歯ブラシです。子どもの「歯ブラシ咥え歩き」は、絶対にやめさせてください。
- 小さいものでの事故は、歯に挟むもの・挟まれるもので起きやすく、典型例ではストローなどがあります。
歯冠にはまり込んでしまい、歯周組織に対するダメージが報告されています。
- 誤嚥は39ミリ以下のもので起きます。
歯科での処置は器具が小さく、安全性に配慮していますが、飲み込むリスクはゼロではありません。まずはそんな器具を使用して治療するような虫歯にならないように、予防を頑張りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
大人の歯の本数が足りない?!そんな時はどうすれば良いの?
2021年8月16日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
どうなるかと思っていた東京オリンピックが、無事に終わりましたね。
最近、診療室で生まれつき永久歯の本数が足りない、という症例について患者さんにご説明をすることがよくあります。
永久歯の歯の数のトラブルについては、一度ブログでも書いたことがあります。
参考リンク
永久歯の本数のトラブル(先天性欠損歯や過剰歯)について
今回は、歯の本数が少なかった時の対処法などについてのお話です。
人間の歯は退化している!
歯は人間の歴史においては退化傾向にあります。
縄文時代人の歯を見ると、親知らずと言われる第3大臼歯までしっかり咬んでいます。
しかも現代人より歯のサイズも顎のサイズも、全体的に大きいです。
旧人類に近いほど歯の山の部分(咬頭)が多く、大きく、複雑な形をしています。
現代人では親知らずがある人でも咬頭が少なく、小さくなっていく傾向(5咬頭→3→1に減少)にあります。
また、親知らず自体が生まれつきない人もいます。
それ以外では、前から2番目の前歯、5番目の小臼歯の欠損が多いです。
そして、上顎よりも下顎が先天性欠損は多い傾向にあります(2010年の日本小児歯科学会の調査による)。

画像引用 朝日新聞(2011年3月7日)
同調査によりますと、何らかの形で1本以上の歯がないお子様は現在10人に1人程度の比率となっています。
2018-19年に僕が当院で調べた時も、比率は同様でした。
10人に1人ですから、クラスに数人は歯の先天性欠損のお子さんがいる感じですね。
実際僕の近しい肉親にも永久歯が欠損している人がいます。
なので、歯の退化傾向をまさに実感しています。
原因は基本的にはわかりません。
遺伝、薬物(抗がん剤などの強力なもの)、栄養状態などが考えられています。
歯の先天性欠損の治療法や考え方(部位や本数別に)
1)乳歯の本数が足りない場合
乳歯でも先天性欠損はたまに見かけますが、基本的には様子を見ます。
顎は歯が押し合いながら大きくなっていきます。
よって、欠損があった場合、欠損がある側の顎が小さくなる傾向が確認されています。
2)永久歯の本数が足りない場合
・下顎の2番目の歯の場合
下顎の前歯の場合は、上下で顎の正中が合わなくなる、という欠点はあります。
しかし、そこまで目立たないということもあり、経過を観察する場合が多いです。
・上顎の2番目の歯の場合
上顎前歯は正中が合わないと、やや目立ちます。
矯正をおすすめすることが多いと思います。
・上下の5番目の歯の場合
小臼歯の欠損の場合は、先行乳歯が抜けないように保存することが大切です。
虫歯にさえならなければ、乳歯といえども根がしっかりしているので、30代ぐらいまではもつ場合が多いです。
歯並びが悪い場合は、残った乳歯を抜歯して、歯並びを整えることもあります。
ただし、歯並びが良い場合は、乳歯が抜けて出来たスペースを矯正で埋めきることが難しいこともあります。
・6本以上、歯の数が不足する場合
6本以上の多数歯欠損の場合、大学病院などに代表される、国の指定医療機関であれば矯正を行います。
2020年からはインプラントも条件によっては保険治療が可能となりました。
しかし、これだけの多数歯であれば矯正+補綴の治療を効率よく組み合わせる必要があります。
また、インプラントも矯正も子どものうちは出来ない治療です。
ある程度の年齢になるまで乳歯を使って、そのうえで長期的な治療プランを立てることになります。
「乳歯を使う」という選択肢が無くならないように、先天性欠損の場合は最終的な治療が出来るようになるまで乳歯を無傷で残す努力が必要です。
誰にでも起こりうる事態ですので「乳歯は生え変わるから」と軽く考えずに、赤ちゃんの頃から大事にしていきましょう。
・大人になってから永久歯の代わりに使っていた乳歯が抜けた場合
虫歯や歯周病で歯を失った場合と同じようにブリッジ、インプラント、義歯の治療を行うことになります。
まとめ
いかがでしたか?
- 永久歯の先天性欠損は近年増加傾向にあります。
10人に1人ぐらいは観察されています。その治療法や考え方は歯のない部位(欠損部)で異なります。
- 乳歯は大事に使えば長くもつ場合もあります。
また、多数歯がない場合は保険がきく症例も稀にあります(指定医療機関に限る)。
各個人の状況・時期によりベストな治療法が異なります。
歯が生え変わらない理由には、他にも「ただ単に生え変わりが非常にゆっくりなだけ」というケースもあります。
気になる場合は歯科医院で相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
どうして定期的な歯石取りを勧められるの? 歯石と歯石取りのお話
2021年7月9日
こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
あなたは歯科医院で「歯石がついていますよ」と言われたことはありませんか?
当院では、定期的な歯科受診と歯石除去をおススメしております。
今日はその理由をお話しします。
歯石って何からできているの?
歯石というのは、お口の中のプラーク(細菌の塊)に唾液の中に含まれるカルシウム分などが沈着して石灰化してしまったものです。
要は、ばい菌の死骸が固まったものですね。
歯石がつきやすい場所
唾液腺、という唾液が分泌される器官の付近では歯石が付きやすい、出来やすい傾向にあります。
また、歯垢が残りやすい場所も歯石が付きやすくなります。
具体的に言うと、下の前歯の内側や、上の奥歯の外側などです。
もちろん、歯のまわりのプラークを取らずにそのままにしておくと、どの部位でも歯石になっていきます。
歯石が体に悪い理由
歯石は多孔質(穴がいっぱい空いている形状)なので、その穴に虫歯菌や歯周病菌が棲みつきやすく、歯周病やむし歯などのリスクファクターとなってしまいます。
また、歯石からはLPSという毒素を出します。
LPSという毒素は、炎症性サイトカインという、炎症を促進する物質を体に出させます。
それによって歯周組織の破壊が促進されて、歯周病の直接の原因にもなってしまいます。
歯垢が歯石になってしまうと、歯ブラシでは取り除くことは出来ません。
歯科医院で歯石取りをするのが、一般的な対処法です。
歯科衛生士や歯科医師という、国家資格を持つ専門家が歯石の除去を行います。
ちなみに、家庭用のスケーラー(歯石取りの道具)と称して、通販サイトなどで歯石取りの道具が売られていますが、おススメしません。
歯科医師や歯科衛生士でも、家庭用の照明の下でセルフで自分の歯石を取るなんて歯を傷めそうなことはしませんからね。
よろしければ、こちらの記事も参考になさってください。
参考リンク:家庭用超音波スケーラーは歯をかえって傷つけてしまう危険性がある
参考リンク:ネット通販でセルフケア用に売られているオーラルケア用品、 買って良いもの・ダメなもの
歯茎の上から見える歯石と、歯茎の下の見えない歯石
歯石にも種類があります。
歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)と、歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)に分けられます。
言葉どおり、歯肉の上の歯石か、歯肉の下の歯石かってことです。
歯肉縁上歯石
口を開けて、歯茎の上にある歯石です。
- 白っぽく比較的柔らかです。
- 柔らかといっても、歯石はほっておくとどんどん固くなってしまいます。
- 歯肉縁上ということで、歯肉より上の歯の表面に付いてきます。
- 歯周病が進行してくると、歯のまわりのポケットとよばれる溝がどんどん深くなって行きます。
歯肉縁下歯石
歯茎の上から目では見えない、歯と歯茎の間(歯周ポケット)の中に出来てくる歯石です。
- 黒褐色をしています。
- 黒いのは、血液の成分が影響しています。
- 縁上歯石とくらべると、薄くて固く、取り除くことが困難です。
定期的な歯石除去が必要な理由
歯石は、古くなった歯垢が石灰化したものです。
毎日歯磨きしても、次の日には歯垢がついてしまいます。
それと同じで、毎日歯磨きが必要なように歯石も「一定期間あけば必ずついてしまうもの」です。
100%磨き残しなく歯磨きできる人など、ほぼいませんから、仕方ありません。
歯磨きのプロである歯科医師や歯科衛生士でも、3か月に1回ほどのペースで歯石除去をしてもらっています。
ただ、残念ながら日本では定期的な歯科受診の習慣を持つ人がまだまだ少ないです。
そして、それがそのまま「80歳になったときに、残る歯の本数が少ない」ことにつながっています。
歯石の取り除き方
歯科医院では以下の流れで歯石を取り除いています。
- 歯肉(歯ぐき)の状態の検査を行う
- 歯肉縁上歯石を除去する
- 歯肉の状態を再検査する
- 必要に応じて歯肉縁下歯石を除去する
- 歯肉の状態を再検査する
- 歯肉の状態が安定化している場合は、状態の維持を行う
安定化していない場合は、さらに歯石を除去する
「どうしてこんなに検査するの!?」と思われるかもしれません。
状態を把握しないと適切な治療を行うことはできません。
また、保険診療の場合、こうした折々の検査が義務付けられています。
最初から縁上・縁下すべての歯石を除去できるというものではありません。
上から攻めていかないと、下の縁下歯石にもアクセスできないんです。
縁上歯石を取り終わると、歯肉が腫れがおさまって来ます。
なので、歯肉は引き締まって、色味も健康な状態に近づきます。
歯肉が引き締まると、隠れていた縁下歯石が見えてくることもあります。
縁上歯石をとる時には超音波スケーラーと呼ばれる器具などを使います。
縁上歯石のスケーリング(除石)では、麻酔はあまりしません。
しかし、ポケットの深い部分についている縁下歯石を取る場合は、必要に応じて麻酔をすることもあります。
浅い部分の縁下歯石を取るときには麻酔は不要ですので、状態に応じて行います。
歯肉縁下歯石を取ることが、歯周病の治療・予防に重要
歯肉縁下の歯石をとるということが目的というか、歯周病の治療の大きな手段と言えます。
これらの処置を歯科医師よりも多くこなしているのが歯科衛生士です。
歯科衛生士は国家資格を持つ専門職であり、予防のスペシャリストとして活躍しています。
歯石とりだけでなく、ホームケアのアドバイスや、歯ブラシや歯間ブラシの使い方、場合によっては虫歯になりにくい飲食のアドバイスをさせていただくこともあります。
歯石は溜まってくるものなので定期的に専門家によるチェックを受けることがおススメです。
まとめ
いかがでしたか?
歯石は定期的につくものなので、歯科医院での定期的な除去をおススメします。
歯石の定期的な除去が、長期的に見れば歯の本数を減らさないポイントになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
歯科におけるレントゲンの話
2021年6月21日
こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
あなたは歯科医院に行って、「レントゲンを撮りましょう」と言われたことはありますか?
今日は、歯科におけるレントゲンについてお話していきます。
レントゲンとは、X線を用いた写真撮影のこと
そもそもレントゲンとは、X線を光源とした写真撮影といったものです。
X線は放射線の一種で、電磁波に分類されます。
波長の短い電磁波であり、紫外線よりも波長の短いものになります。
さらに波長が短くなるとγ線と呼ばれます。
X線よりも波長が長いものが紫外線、さらに長いものが可視光線。
さらに長いと赤外線といった感じです。
そのX線を使って行う写真撮影がレントゲン撮影となります。
通常のカメラと同様に、デジタルのものと、フィルムを用いたアナログのものがあります。
デジタルレントゲンの方が被ばく量が少ない
今では、レントゲン撮影もデジタル化されていることが多いです。
当院にも固定式3個とポータブル1個で、計4つのレントゲン撮影機がありますが、全てデジタルで運用しています。
デジタルレントゲンの最大の利点の一つに、被曝量が少ないということがあります。
アナログレントゲンと比べて、デジタルレントゲンの被曝量は1/2~1/10になります。
歯科のレントゲンの被爆量ってどの程度?
ちなみに、歯科のレントゲンの被爆量はもともとさほど大きくはありません。
歯科用の1~3本の歯を撮影するミニサイズのレントゲンの場合、放射線量は1~10μシーベルト程度とされています。
よくある例えなんですが、東京~ニューヨーク間を飛行機で往復移動すると200μシーベルトの被曝量があるとされます。
歯科のレントゲンの被爆量は大きくはありません。
しかし、被爆量は少なければ少ないほど良いです。
昔から治療上どうしても必要な場合や、診断上のメリットが大きい場合に限定して撮影されていました。
デジタル化によって、更に被爆量を少なくすることができたと言えます。
骨や歯の状態は、歯科レントゲンがないと分からないことが多い
レントゲン撮影の目的
- 歯と歯の間にあるむし歯を見つける
- 根っこの先の状態をみる
- 歯の周りの骨の状態をみる
肉眼では見えないものを可視光線ではなく、X線を用いて見るのがレントゲンの役割であり、診断上欠かせないものです。
レントゲン写真を定期的に撮ることにも意味があります。
規格的に撮影したレントゲン写真を比較することで、早期に変化に気づくことができます。
むし歯も、歯周病も生活習慣病です。日々の積み重ねで進行することもあり、定期的なチェックが必要です。
まとめ
いかがでしたか?
- 歯科レントゲンは、もとから被爆量は小さいですが、デジタル化により更に安全性が高くなりました。
- 診断上、必要最小限のレントゲン撮影が必要になることがあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
子どもの発音、発声について
2021年6月5日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
最近診療時に、保護者の方から、お子さんの発音・発声などについて相談を受けることが多くなってきました。
発音、発声は「構音=目的の語音を出すためのメカニズム」によって可能になります。
今回は、お子さんの「構音」についてお話していきます。
どうして乳幼児の発音は舌足らずなの?それって問題ないの?
日本語の発音
日本語の発音は、母音(あいうえお)と、子音(カ行以降)の組み合わせで構成されます。
母音(あいうえお)の発音の舌の位置と、息をあてる位置

画像出典:https://field-music.com/vocal/2019-10-05
母音は舌の位置(前か後)によって、発音しています。
子音の発音
子音は声道に様々な強い狭めや閉鎖などの構音様式を母音と組み合わせて作られます。

画像出典: https://www.onecareer.jp/articles/2428
これらの構音様式の獲得の順序はおおよそ決まっています。
構音様式の獲得の順番
母音に近い音から習得していきます。
サ行・ザ行、タ行の中ではツ、ヅなどは発音が難しく、4歳以降に習得します。
それまではサ行などは近い別の音で発声します。
例えば、『ウサギ』が『ウタギ』などに聞こえます。
舌足らずに聞こえますが、発達の順番が正常であれば問題ありません。
3~4歳になると、しりとりゲームなどの言葉遊びによって自分で発音の違いに気づき、正しい発音に置き換えていきます。
発達障害か、口腔機能発達不全症か
発音の発達に問題があるのか、言語能力やコミュニケーション能力に問題があるのか
発音を気にする前に、言葉やモノに対する興味やコミュニケーション能力が正常な発達しているかが重要なポイントになります。
そのため、歯科以外の専門家にも、よく相談する必要があります。
コミュニケーション能力に問題が無く、お口の機能だけに問題があるお子さんの場合、口腔機能発達不全症である可能性があります。
その名の通り、口腔の機能が十分に発達していなかったり、発達が遅れていたりする状態です。
口腔機能発達不全症の場合に、よく見るべき3つの項目
1.口唇閉鎖不全(唇をしっかり閉じることが難しい状態)
口唇閉鎖不全には
- なんとなく、口がぽか~んと開いている場合(習慣性のもの)
- 上の歯並びが出っ歯さんで、唇が閉じにくいのが原因の場合(歯列不正によるもの)
- 鼻づまりで口呼吸をすることが原因の場合(鼻閉によるもの)
の3パターンがあります。
口唇閉鎖不全があると、起きること
- パ、バ、マの音が不明瞭になる
- 習慣性や鼻閉による口唇閉鎖不全でも、歯列不正につながりやすい
- ウィルス性疾患などにかかりやすい
口唇閉鎖不全の治療
- 歯並びを治す(唇を閉じれる位置まで前歯を移動させる。歯列矯正する。)
- 口回りの筋肉が正常に動くように、筋トレする(筋機能訓練:MFTを行う)
*MFTの最も簡単なものに「あいうべ体操」があります。
参考リンク:あいうべ体操
2.舌小帯の異常
舌小帯とは、舌の下の中央にあるヒダのことです。

舌小帯短縮症 (舌小帯が短い)
舌が自由に動ける範囲が小さくなり、タ、ダ、ナ、サ、ザ、ラなどの音が不明確になります。
ただ、舌は大きな筋肉であるため、代償的な発達がよくおこります。
そのため舌小帯に問題があっても、発音に問題がない場合もあります。
3.口腔悪習癖
口の悪い癖のことです。中でも、構音に特に関係あるのは舌突出癖です。

全体的に舌が前に出るために、構音の不明瞭さや審美的な問題が起きる場合があります。
口唇閉鎖不全、舌小帯異常、口腔悪習癖の3つは相互に関係している
人によって割合が異なりますが、上記の3つはお互いに関係していることが多いです。
治療法は、
- 矯正治療や舌小帯延長術で「原因を取り除く」
- 筋機能訓練で「正しい機能を得る」
正しい機能を得るための訓練は、発達段階にある10代前半までが獲得しやすいと言われています。
Withコロナ時代のマスク事情と口腔機能発達不全症
新型コロナ感染症予防のために、幼い頃からマスクをしている今時のちびっ子達。
マスクをしていると、より口呼吸になりやすいと言われています。
新潟大学の行った大規模な全国疫学調査があります。
日本人の子どもたち(3~12歳)のお口ぽかん率は30.7%であったという論文が、2021年1月に発表されました。
ひと昔前より、お口をぽか~んと開けてしまう子どもたちが増えたと言われています。
これらの症状は、成長とともに自然と改善することは少ないです。
気になることがありましたら、お気軽ご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 日本語は舌の位置と口唇などで構成される母音と、様々な閉鎖部を作ること(構音)によって音が決まる子音を組み合わせることにより構成されます。その発達の順序はおおむね決まっています。
- 構音の問題がお口にある場合、その原因として指摘されるのは口唇閉鎖不全、舌小帯の異常、口腔悪習癖などです。これらは相互に関係している場合が多く、正しい構音の獲得のためには、形の獲得(歯科矯正など)とともに、機能の獲得(トレーニング)が重要になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
子どものいびきについて
2021年5月20日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
5月中旬、気持ちのいい季節になりましたね。
ただ、この時期は朝晩の気温差が大きく、また黄砂が多い時期で、鼻炎・鼻づまりになりやすい時期でもあります。
今回は、鼻炎になりやすい季節によくある「いびき」の悩みについてお話していきます。
どうして「いびき」が出るの?
起きているとき、大人も子どもも呼吸音は出ません。
これは気道の確保が十分にできていることの表れです。
ところが、睡眠時は舌が重力によって気道を押し、気道が狭くなってしまいます。
気道が狭くなってしまうと、喉の部分でホイッスルのように音が出てしまいます。
これが「いびき」で、大人も子どもも音が発するメカニズムに違いはありません。
参考リンク)いびきの原因って?~音が鳴るメカニズム~
いびきの原因って?~音が鳴るメカニズム~
いびきには、様子を見ても問題ない「いびき」と、気にしないといけない「いびき」があります。
気にしなくて良い「いびき」、要注意な「いびき」
日本人は顎が小さく、体格的にいびきが起きやすいと言われています。
特に子供においては近年増加傾向にあり、習慣的にいびきをする割合が10%程度あると言われています。
気にしなくて良い「いびき」
要注意な「いびき」
- やや高い音
- 不規則なもの(たまに途切れるなど)
- 寝起きが悪い、日中眠気を覚える
要注意な「いびき」とは、睡眠時無呼吸症候群や、その予備軍のサインであることが多いです。
体内に十分な酸素が入っていっていないことが考えられます。
子どものいびきの原因は、アレルギー性の鼻炎、もしくはアデノイド・扁桃腺の肥大が多いです。
アデノイドは免疫を獲得する6-7歳で最も大きくなります。
通常であれば問題ないですが、免疫が過敏な子どもでは腫れあがり、いびきにつながることがあります。
アデノイドと歯並びの関係
アデノイドが腫れている子どもは、歯列不正が起きやすいと言われています。
面長(ロングフェイス)や下顎が小さく引っ込んだ顔を総称してアデノイド顔貌と言い、上顎前突(出っ歯)や叢生(歯並びがガタガタしている)が非常に起きやすくなっています。
アデノイド顔貌はここ10年ぐらいで、特に増えたと言われています。
その他の症状としては、アデノイドは耳管も閉塞するため、中耳炎が起きやすかったりします。
また、多くはないのですが、子供でも睡眠時無呼吸症候群が起きている場合があります。
子供の睡眠時無呼吸症候群
子供の睡眠時無呼吸症候群の発生率は1-2%程度と言われています。
1時間の中で、5回程度10秒以上の呼吸が停止している場合に、診断がつきます。
睡眠時無呼吸症候群外来や、小児の場合は小児科で検査することになります。
子供の睡眠時無呼吸症候群の問題点
- 日中も眠く、フラフラしてしまう
- 成長ホルモンの分泌が阻害され、発達や身長の伸びなどに問題が出る場合がある
このような状態でのいびきは大変に危険です。早めにご相談下さい。
まとめ
いかがでしたか?
- 日本人は骨格的にいびきをかきやすく、子どもにおいては増加傾向です。
- 10%程度の子どもがいびきをかいており、1-2%は特に重症の睡眠時無呼吸症候群を併発している場合があります。
- アデノイド、扁桃腺の腫脹が原因で起きるいびきでは、歯列不正を伴う場合が多いです。
- 睡眠時無呼吸を伴ういびきの場合、成長発達までかかわる重症な場合があり、注意が必要です。
思い当たることが…という方は、お気軽にご相談ください。
歯科と『感染症』のかかわり
2021年4月29日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
春が来て、季節は巡っていきます。
緊急事態宣言で大騒ぎでした昨年度の3-4月頃からほぼ1年が経ちました。
コロナの第4波が来ている今、一度歯科と『感染症』というものを考えてみようと思います。
菌が体に入ってから感染症を起こすまで
家庭の医学であるメルクマニュアルを参考にすると、体内に侵入した微生物が感染症を引き起こすには、まず増殖しなければなりません。
生物が増殖を始めると、以下の3つのパターンのどれかが起こります。
- 微生物が増え続けて人体の防御機構に打ち勝ってしまう。
- 均衡状態に達して、慢性感染の状態になる。
- 人体の免疫機能により、またときに治療の効果も加わって、侵入した微生物が排除される。
ウィルス性疾患で熱が出た、というのが①の状態ですね。
歯科に関係する、う蝕(虫歯)に関しては、もともとが口の中にいる常在菌なので、②または③になります。
また感染の重症度がどのくらいになるかは、次のような因子によって決まります。
- その微生物が毒素や酵素といった物質を作るかどうか
- その微生物に抗菌薬に対する耐性ができるかどうか
- その微生物が人体の防御機構を妨げるかどうか
- 免疫系が十分に機能しているか。
虫歯菌はひ弱なのに、やっかいな理由
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、意外なことに非常にひ弱な菌で、抗菌薬でかなりいなくなります。
そして、もともと常在菌ですので、歯以外の部分には、ものすごく免疫が弱っていない限り影響していません。
「虫歯菌が弱い菌!?虫歯予防がこんなに大変なのに!?」
と思った人もいるかもしれません。
虫歯菌が作る「糊(のり)」=菌体外多糖(きんたいがいたとう)
虫歯菌は、糖(特に砂糖)から酸と菌体外多糖という「糊(のり)」のような物質を作ります。
「糊」は、まるでバリアのように菌を守ります。
そのため、抗菌薬や消毒薬が効きにくくなります。
また、菌は「糊」を使って歯にひっつきます。
そのため、ウガイくらいでは取れなくなります。
虫歯予防のために、うがいだけではなく、歯磨きが必要な理由です。
以上より、虫歯菌は菌単独では弱いくせに、歯に対しては虫歯という病気をつくったり、完全に口腔内から撲滅することが難しかったりするんですね。
COVID19がやっかいな理由
コロナに関しては、専門外なので僕なりの理解なのですが、このウイルス(COVID19)は細胞に侵入する能力がこれまでになく異常に高いようです。
COVID19はACE-II受容体という人間の細胞の器官を足掛かりに侵入するのですが、人間の咽頭など喉の部分の細胞には、これが常に発現しています。
COVID19に感染しても、多くの人は喉風邪程度の軽症で済むのですが、悪化すると肺に近いところまで炎症症状がでます。
炎症がある時・部位では、ACE-II受容体が多くなり、これを足掛かりにウイルスが侵入し、肺炎になるようです。
一度COVID19の侵入を深く許してしまうと、b~dの要素が大変に強いため、重症化してしまうケースが多いそうです。
COVID19の感染予防と重症化予防には、口腔ケアが有効
我々にできる対処法で、最も簡単なものはは免疫力をしっかりと保つこと、そしてしっかりと感染予防(手洗い、消毒、歯磨き)を行うことでしょう。
以前のブログでもお話しましたが、歯垢(プラーク)はほっておくと病原性が高くなる性質があり、喉や肺にも炎症を引き起こします。
COVID19の感染予防と重症化予防に口腔ケアは有効ですが、逆に言えば、口の中が汚れていたり、歯周病が進んでいると、COVID19の重症化リスクも上がるということです。
日々の口腔ケアと歯科医院での定期的な清掃が最も効果的で、インフルエンザでも口腔ケアの重要性が報告されています。
ぜひ口腔ケアを一緒にがんばっていきましょう!
まとめ
いかがでしたか?
- 感染症の面からみると、ミュータンス菌は大変弱い菌ですが、毎日の口腔ケアが必要です。
- COVID19予防のために、口腔ケアをみんなでがんばっていきましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
親知らずのお話
2021年4月17日
こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
「親知らず」というと、どういったイメージをお持ちですか?
腫れる 抜く まっすぐ生えない 痛い…
あんまりいいイメージはないかもしれませんね。
親知らずとは?
親知らずは一番奥の歯のことで、中央の歯から数えると8本目の歯を指します。
上下左右4本あるのですが、部分的にない人や、退化して小さい歯になっていたり、埋まったままになっていたりと、いろいろなことが起こる歯です。

埋まっているにしても、真横になって埋まっていることもよくあります。
「手前の歯を抜いたら自然と良い位置に生えてきますか?」
と聞かれることがありますが、横向きの親知らずが自力で良い位置に生えることはありません。
10代後半から生えてくることがあり、遅い人ですと30代になってから生えてきたというようなこともあり、個人差が大きい歯です。
親知らずは抜いたほうが良い?
親知らずと聞くと抜いた方がいいというイメージをもっておられる方も多いかと思います。
しっかりと上下ともまっすぐに生えて、咬むことができ、虫歯もないのであれば、もちろん抜かない方がいいです。
それでも、歯磨きの難易度は高いですから、きちんと管理できているか注意は必要です。
不完全に生えたり、たまに腫れる、むし歯になっている、汚れが溜まりやすく、ひとつ前の歯に悪影響を及ぼしているなどのケースだと抜いた方がいいと思います。咬むことに関与していない状態であれば、デメリットを考えて抜くほうがいいことも多いです。

横向きに埋まっていると、前の歯を押していきます。矯正治療を考えているときにも抜歯したほうがいいケースが多くあります。
矯正治療が終わった後などに親知らずが動いてくると、せっかくきれいになった歯並びが崩れてしまったり、後戻りしてしまったりすることがあるからです。

親知らずは、いつ抜くのが良い?
抜くとなったら、若いうち、早いうちが良いと思います。
例えば十代後半の、骨が柔らかかったり、親知らずの根っこが完成していない時期ですと抜きやすいです。
傷の治りも若いうちの方が早いですし、何より手前の歯(7番目の歯)が虫歯になるリスクを下げることができます。
上の親知らずを抜くのは簡単。下の親知らずを抜くのは大変なことも多い
上の親知らずは、手前の歯(7番目の歯)に食い込むように生えることが少ないので、わりとすんなり抜けることが多いかと思います。
下の親知らず、中でも真横を向いている歯を抜くのは、なかなか大変なことが多いです。
歯茎を切り開いて、歯を割ったり、骨を削ることもあります。
親知らずを抜いて腫れるとしたら、下の親知らずの抜歯ですね。
下顎管という、神経と太い血管が入っている管が近い場所にあるので、術前検査が必要なこともあります。
そのため、必要に応じて、専門医である口腔外科の先生へ抜歯を依頼することもあります。
参考リンク:
親知らずの抜歯は口腔外科か歯医者かどちらにかかったらいいですか?
親知らずの抜歯は口腔外科か歯医者かどちらにかかったらいいですか?
まとめ
いかがでしたか?
- 親知らずを抜いた方がいいかどうかは、生え方や腫れの有無、虫歯になっているなどの状態で判断を行います。
- 親知らずを抜歯する場合は、10代後半の方が抜きやすいです。
- 下の親知らずの抜歯は大変なケースがあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご飯を食べる時にくちゃくちゃ音が出てしまうお子さんの話
2021年3月26日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
春ですね。春といえば花粉症です。前回も書きましたが、今年は大変です。ついつい口呼吸になっちゃいますね。
最近小児歯科学会のホームページを見ていると、お子さんの鼻の発達が悪くなってきた、口呼吸が増えたことが問題視されています。
背景に、マスクの使用があると言われています。
マスクを着用すると、どうしても口呼吸になってしまう方が増えてしまうんです。
口呼吸になってしまった結果、食べる時にくちゃくちゃ音が出る子が増えています。
「くちゃくちゃ」と唇を閉じずに食事する癖がついてしまうと、大人になってからマナー的な面で会食時に困ったり、コンプレックスになったりしてしまうかもしれません。
コロナ禍の現在、感染予防対策の面からも問題なので(口呼吸は免疫力低下の原因にもなってしまいます)学会としても注意喚起ポスターを配ったりしています。
今回は、口呼吸の原因と対策をまとめてみました。
口呼吸の原因と対策
1)歯並びが良くない
歯並びのバランスが良くないと、食事をする際に噛みやすい部分に歯を自然とずらしてしまうことになります。
また、かみ合わせた時に隙間があると食べ物を捕らえ辛く、同じように噛み合わせを自然にずらす際に口を開ける必要があり、音が出やすくなると思われます。
特に上顎前突と開咬でよく音が出やすいようです。
対策はやはり矯正することですが、併せて口周囲の筋肉を鍛えることが重要です。
上顎前突

開咬

2)鼻づまりによる口呼吸
口呼吸が主だと、ご飯を食べる時に大忙しです。
呼吸をしながら、咀嚼し、嚥下する。
実は、どれも同時にはできない構造になっています。
試しに、口で呼吸しながら唾を飲み込もうとしてみてください。
絶対に、できないんです。飲み込むその瞬間は、呼吸が止まります。
鼻が詰まった状態で食事をしようとすると、すべてが中途半端になり、結果的に音がたくさん発生します。
空気を飲み込む量も多い様です。
鼻呼吸が自然にできない人は、鼻、咽頭、喉や首、舌、唇の筋肉も弱い傾向にあります。
口呼吸を獲得するためには、鼻炎を治す治療をした上で、鼻で呼吸をするトレーニングも大事です。
有名な「あいうべ体操」や、夜間に鼻呼吸で睡眠するように口を軽くテープで止める方法などがあります。
参考リンク
あいうべ体操
https://tsuboidental.com/2019/04/20/incho-61/#i-6
3)ご飯に集中していない、食べる音をわざと立てて楽しんでいる
これは難しい問題を含んでいますが、ご飯の孤食も原因にあるようです。
子供はご飯の食べ方などは、周りの兄弟や大人を見ることで、適切な時期に「見て覚え」ます。
コロナも相まって、孤食が多い場合は、ご飯の食べ方が下手な子が多いようです。
具体的には、一口量が多い、スプーンやフォークなどの持ち方が正しくない、など。
また、食卓にご飯以外にテレビやスマホなどがあると、当然集中できておらず、「正しい食べ方を学習する」機会を失ってしまう原因になります。
一度、苦手意識ができるとわざと音を立てる子も出てくるため、悪循環が起きてしまいます。
基本的には昔ながらのやり方、つまり食卓のご家族で囲んで、家庭でのルール、マナーを再確認することが重要です。
学会からも、口呼吸や不正咬合などの個人の状態の問題と、孤食をしない、テレビを見ながら食べないなど、家族・家庭での問題を分けて考えるべきとされています。
まとめ
いかがでしたか?
- ご飯を食べる時にくちゃくちゃ音が出る子には、鼻が詰まって口呼吸が多い場合や、歯並びが悪い場合など、口及び口周囲の機能に問題がある場合があります。必要であれば矯正も考えます。
- 口の周囲の筋力の問題もあるので、鼻呼吸を獲得するための筋トレとして「あいうべ体操」がおススメです。
- 適切な時期に摂食が上手くならなかったことにより、ご飯の食べ方に苦手意識がある子もいます。家庭での食事時の状態を、生活の面からも見直すことも重要です。
歯科医院として治療が必要であれば支援していきますので、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。