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親知らずを抜歯する?しない?

2017年5月13日

そもそもどうして親知らずを抜いた方が良いと言われることがあるの?

こんにちは、つぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今日は「生えてこなければいいのに~…」と言われる歯No.1、親知らずに関するお話です。
親知らずは別名「智歯(ちし)」とも言い、18~24歳ころに生えてくる3番目の奥歯です。

原始人にはちゃんと親知らずが生えていたのをご存知ですか?

親知らずは、原始人のころはちゃんと生えそろっていた人が多かったことがわかっています。
しかし時代と共にちゃんと生えなかったり、横を向いて生えてきたり、そもそも最初から作られなかったりするようになりました。

なぜ時代とともにちゃんと生えなくなったのでしょうか?

顎の大きさと親知らず

原始人は硬い生の食べ物をガリガリと食べていたので、幅広のしっかりした顎をしていました。
顎がしっかりしていたので、親知らずが生えるスペースがちゃんとありました。

しかし、人間が加熱調理をするようになってから、1000年単位のゆっくりしたペースで人類の顎は退化しました。
その結果、顎が小さくなり、親知らずが並ぶスペースが足りなくなってきてしまったのです。

顎がほっそりしていると親知らずが生えるスペースが足りなくなる?

歯は、先に生えてくる歯の方が良い位置を占めてしまいます。
よって、顎がほっそりした方は、最後に生えてくる親知らずの生えるスペースが足りなくなってしまいます。
スペースが足りないと上手く生えてこなかったり、歯が横を向いてしまったりします。

親知らずが横を向いて生えていると、どうして良くないの?

下の写真は、親知らずが横を向いている写真です。

親知らずが横向きにはえている写真

写真はご本人の許可を得た上で掲載しています。

左端の親知らずが、生えるスペースが足りないために横を向いてしまっています。

この患者さんはまだ十代で、親知らずの根っこが完成していません。
根っこがどんどんできていっても、手前の歯に引っかかっていますから、生えてくることはありません。

 

では、こういった親知らずを置いておくと、どんなリスクがあるでしょうか。

①手前の歯に虫歯を作ってしまう

親知らずが横向きにはえて横の歯が虫歯になっている写真

写真はご本人の許可を得た上で掲載しています。

これは本当に残念なことです。

横を向いている親知らずと、その手前の歯の間はお手入れが非常に難しく、虫歯にしてしまう方がとても多くいらっしゃいます。

しかも、手前の歯の歯茎より下の部分に虫歯ができることが少なくありません。
その場合、痛みが出るまで虫歯があると本人が気づかないばかりか、治療しても予後が悪いこともあります。

②下顎の前歯の歯並びが悪くなってしまう

これも全ての方がというわけではありませんが、特に女性では珍しくありません。

「若い時は歯並び悪くなかったのよ~。歳をとったら、なんだか前歯がガタガタになっちゃってね…」と年配の方がおっしゃっているのを耳にしたことはありませんか?

歯は常に、顔の真ん中に動こうとする性質があります。
例え歯茎の中に埋まっている歯でも、その性質は消えません。
ゆっくりと親知らずが手前の歯を押すために、奥歯が少しづつ手前にズレて、前歯の歯並びを悪くしてしまうことがあります。

③矯正治療の後、歯並びを逆戻りさせてしまう

これも②と同じ理由によります。
せっかく時間と費用をかけて歯並びを治したのに、十数年後に後戻り…は悲しいですよね。
矯正治療をなさる方の場合は、あらかじめ親知らずを抜くことをおススメしております。

抜かなくても良い親知らずの条件は?

  • まっすぐ生えていて、手前の歯に悪さをしていない
  • お手入れができている
  • 矯正治療の予定が無い

この条件を満たしている時は、親知らずを抜かねばならない理由がありません。

虫歯や歯周病にならないように、お手入れを続けていきましょう。

やっぱりMI!~時には守るために抜かねばならないこともある~

痛くならないかぎり、できれば抜きたくないのに、
歯医者で「抜きましょう」と言われることが多い、親知らず。

逆に言うと、ご本人に自覚はないけれど、抜かねばならない状態であることが少なくない歯とも言えます。

「親知らず以外の他の歯や歯並びを守るため」に抜く必要がある親知らずを抜くのも、また一つのMI(ミニマル・インターベーション=侵襲を最小限に留める治療の取り組み)の一つと言えるでしょう。

ご自身のお口の中の親知らずが抜いた方が良い状態かどうかが分からない、という場合はお気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • 生えるスペースが足りないと親知らずは真っすぐ生えてくることができない。
  • 他の歯や歯並びを守るために、親知らずを抜いた方が良いことある。
  • 自分の親知らずが抜いた方が良いかどうか分からない場合はご相談を!

最後までお読みいただきありがとうございました。

不良補綴物(ふりょうほてつぶつ)ってな~に?

2017年5月1日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日は古くなって悪くなった歯の被せ物についてのお話です。

皆さんは、歯科医院で「被せ(かぶせ)のラインと歯茎が合わなくなってますね」と言われたことはありませんか?

不良補綴物のせいで、歯ぐきが腫れている写真

写真は本人の許可をいただいた上で掲載しています。

この写真は、何年も前に治療した前歯の様子です。

歯茎のラインと被せ物のラインが一致しておらず、黒いラインが見えています。

この被せ物は保険の「硬質レジン前装冠(こうしつれじんぜんそうかん)」といい、金属の裏打ちの上に白いプラスチックで覆っているものです。

こちらの患者さんはとても丁寧に歯をお手入れされていらっしゃるので、歯茎は全体的に綺麗なピンク色ですが、不良補綴物のあたりだけ歯茎が少し腫れぼったく、赤黒くなっています。

歯茎と冠の境目の部分がへこんでいて、そこに汚れが溜まりやすくなった結果、合っていない冠の部分だけ歯茎が炎症を起こしています。

不良補綴物をやりかえた後の歯ぐきが引き締まっている写真

写真は本人の許可を得た上で掲載しています

2枚目の写真は、同じ患者さんに新しい被せ物を入れた後にとったものです。

被せ物と歯茎のラインが調和していて、歯茎も健康的なピンク色になり、キュッと引き締まってるのがお分かりになりますか?

(被せ物:セラミック焼き付けジルコニア冠)

どうして被せ物が合わなくなるの?

歯茎に炎症が起きて歯周病になれば歯茎が下がってしまいますし、歯茎が下がって冠と歯茎の間にできた帯状の隙間(歯の根が露出している状態)が虫歯になってしまう場合もあります。

歯の汚れやすく、お手入れが難しいところは全部で4つ

  • 噛み合わせの溝
  • 歯と歯の間
  • 歯と歯茎の境目
  • 歯と詰め物の境目

「被せ物と歯茎の境目」は、「歯と歯茎の境目」と「歯と詰め物の境目」の両方であるので、ただでさえお手入れが難しく虫歯や歯周病の原因となる歯垢が残りやすいのです。

 

被せ物・詰め物を入れたらその歯の虫歯治療は終わりですが、被せ物と歯と歯茎のメンテナンスの始まりでもあるのです。

詰め物の場合、噛み合わせの面が「合わなくなっている」ことも多い

次は、詰め物の場合を見てみましょう。

こちらの患者様は咬む(かむ)力の強い男性。
金属の古い詰め物は、2つとも歯と詰め物の境目に隙間ができてしまっています(黄色矢印)。

古い詰め物が合わなくなり隙間が虫歯になっている写真とやりかえた後の写真

写真は本人の許可を得て掲載しています。

この方は隙間から虫歯菌が入り込んで、詰め物の下に虫歯を作っていましたので、詰め物のやり替えになりました。

ご本人の希望により白い詰め物になっていますが、虫歯による詰め物のやり替えは保険でもできます。before 左:メタルインレーとFMC(フルメタルクラウン)、aftere 右:E-maxインレーとセラミック焼き付けジルコニア冠

やっぱりMI(ミニマル インターベーション)!歯を守る取り組みを始めましょう

以前、MIのお話をさせて頂きました。

なるべく削らない、抜かない治療を目指して①
なるべく削らない、抜かない治療を目指して②

MIとは、なるべく削らない、できるだけ歯を残すよう努力する治療であり、当院の理念の一つでもあります。

具体的には

  • なるべく削る量が少ない治療法を選ぶ
  • 初期虫歯が削って治さねばならない程の虫歯に進行しないよう管理する
  • そもそも虫歯を作らない
  • 一度治した歯をもう一度虫歯にしない

という考え方です。

定期的な歯科受診やご家庭でのフッ素の使用、長持ちする詰め物・被せ物を選ぶなど、出来る範囲での歯を守る取り組みを始めることをオススメします♪

まとめ

  • 不良補綴物(合わなくなった被せ物や詰め物)をそのままにしておくと、虫歯や歯周病になりやすくなる。
  • やっぱりMI!歯を守る取り組みをオススメします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気

2017年1月10日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回まで2回に渡って「MI=なるべく削らずに済む歯科治療」についてお話させていただきました。

 

究極のMI(ミニマルインターベンション できるだけ歯を残す治療)は予防歯科、そもそも虫歯を作らないようにすることが大事…ということで、定期的に歯科医院でプロケアを受けることをお勧めします。

※プロケアとはお家でのむし歯・歯周病対策のホームケアに対して、歯科医院で行うケアのことです。詳しくは別の機会にお話ししていこうと思います。※

MI(ミニマルインターベンション)そう・・・たとえお忙しい会社員さんでも、主婦の方でも!お子様からお年寄りまで、皆さんに歯科検診を受けて頂きたい、そして虫歯や歯周病で歯がなくならないようにしたい

 

皆さまが歯科検診を受けたくなるように、今日はちょっと怖~いお話をしていこうと思います。

「歯の定期健診を受ければ良かった」と歳をとってから後悔する人が多い日本 

PRESIDENT 2012年11月12月号に「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20という興味深い記事が掲載されました。
55~74歳の男女1000人にアンケートを行い、人生の先輩方の「後悔していること」と教えて頂くという内容です。

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画像:http://president.jp/

健康部門で「歯の定期健診を受ければ良かった」が1位!

どうしてこんなに皆さん後悔していらっしゃるんでしょうか。

歯の定期健診を受ける習慣の有無で変わる、歯の本数

前回の記事で歯の定期健診の習慣がある人が多い国では歯を失う本数が少なく、日本のように歯の定期健診が普及していない国では歯を失う本数が多いというお話をしました。

特にスウェーデンは、キシリトールガムのCMなどでも出てくるので、何となく歯の予防に力を入れていそうなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

スウェーデンも昔は日本と同じく虫歯や歯周病が多い国でしたが、1970年代に「セルフケアとプロフェッショナルケアを併用した方が歯科疾患を防げる」という研究がなされたあと、国家をあげて予防歯科に取り組みました

19歳までの歯科治療を無料にし、全国民が歯科定期健診を受けられる体制を整え、代わりに成人の歯科治療費をうんと高額にしました。結果、スウェーデン国民のほとんどが積極的に歯科定期健診を受け、予防歯科に取り組むようになり、80歳の平均の歯の本数が25本(日本は8.8本)という素晴らしい歯科先進国となったのです。

日本のリタイア世代の方の後悔「歯の定期健診を受ければ良かった」は、歯の本数が減ってしまってからの後悔と思われます

では、歯を失うとどんなことが起きるのでしょうか。

歯を失って噛めなくなるのは、要介護への入り口

東京都医師会連盟のサイトからの引用ですが、介護が必要になった主な原因は認知症と骨折・転倒で全体の25%を占めますが、その認知症、骨折・転倒ともに歯の数が減ったり、入れ歯を使っていなかったりするとリスクが増すことが示されています。

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画像は全てhttp://toshiren.or.tv/pdf/dmt_11.pdfより引用

 

つまり、咬めない(かめない)ことは要介護への入り口と言えるのです。

 

本日この日記を書いていたら、タイムリーな話題が。

「歯が全くない人」は、「歯が20本以上ある人」に比べて1.28倍、抑うつ状態になるリスクが高い

こちらもニュースになっていますね。
食べる楽しみが失われると、毎日の刺激も減りますね。

お家で実験していただきたいのですが、

①まず片方の側だけでご飯を食べてみてください。

次に
②普通にご飯を食べてみてください。

ごはんの味が全く違うはずです。

普通に食べると舌の上に食べ物を転がしながら食べるので味がよりわかりますが、片方の側だけで食べると舌に対して触れないので味が薄く感じます。

私もやってみましたが、甘みも塩味もすごく薄く感じました。
なので、片方で食べるだけでも食事が濃い味付けになって、高血圧になる方もいらっしゃるそうです。

また、口の中は手の次に神経の多い部位ですから、歯がなくなり、噛めなくなり、食べることを忘れると、認知症が悪化し、一日中意識がはっきりしない・・・なんてことになります。

そんな方に噛める入れ歯を入れただけで、噛んで飲み込む本能を思い出して、寝たきりの人が普通に生活できるまで戻ることもあるそうです。

入れ歯が入っただけでも、もちろん入れ歯も入れない人に比べると劇的に差がありますが、入れ歯と自前の歯でも全然違います。

部分入れ歯になっただけでも、『びっくりするほどご飯がおいしくなくなった』と仰る方も多いです。

 

メタボリックシンドロームと歯周病の深い関係

歯周病は、歯石によって起きる病気です。
参考 歯石って何?どうしてほっといてはいけないの?

特に糖尿病とは相互関係が強く、糖尿病が悪化すれば歯周病も悪化しやすく、また歯周病が悪化すると糖尿病も悪化するという関係にあります。
他にも心臓病の手術をした人や、心臓の弁膜などに障害がある人の場合、歯周病菌が原因で心内膜炎を起こすことがありますので、注意が必要です。

また、歯を失い十分に咬め(かめ)ないことから満腹感が得られず、食べ過ぎて肥満になったり、お肉や野菜が食べにくいことから炭水化物ばかりを食べて「痩せてないのに栄養失調(カロリーは取れているけど、ビタミン・ミネラル・たんぱく質が欠乏する高齢者の新型栄養失調)」になったりと、歯とメタボリックシンドロームは深い関係にあるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

  • 歯の本数を維持することは、生涯おいしくごはんを食べられるだけでなく、糖尿病、認知症、骨折、心臓、脳血管、メタボリックシンドロームなどを悪化させないという意味でも大切。
  • 歯を失わないように予防するのが一番!

もし、すでに歯を何本か失ってしまっているならば、これ以上失わずに済むように治療とメンテナンスが必要です。しばらく歯科医院に受診していないな・・・という方は、歯科健診を受けることをお勧めいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

なるべく削らない、抜かない治療を目指して ②

2017年1月5日

岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

前回、接着技術の進歩とともに「MI=Minimal Intervention ミニマルインターベンション」つまり、「なるべく削らずに歯を残したい!」を実現する治療が進歩してきた、というお話をしました。

なるべく削らない、抜かない治療を目指して①

接着技術の進歩で「保持形態」とよばれる、詰め物が外れにくくなる形を余分に削ることは少なくなりました。(まったく必要なくなったわけではありません)。

しかし、それはMI:ミニマルインターベンションの「入り口」。

もっと根本的に削らずに済む方法について一緒に考えていきましょう。

その1 神経に近いところまで進行したむし歯でも、神経をなるべく残す治療を試みること

歯の神経は、刺激を受けると「二次象牙質(にじぞうげしつ)」と呼ばれる歯の質を作って、虫歯などの刺激の原因から逃げる性質があります。

人間がまだ野生動物だったころは、生の食べ物をガリガリがじって歯が「咬耗(こうもう:噛むことによって歯が摩耗してしまうこと)」することが珍しくありませんでした。

しかし、歯の神経が刺激を受けて歯の質を作って逃げることで、歯が咬耗により削れても、歯の神経がむき出しにならずに食事ができたのです。

この「刺激により神経を逃がす」ことは、薬品を用いて人工的に行うことができます。

詳しくは以前の記事をご覧ください。

神経に近いところまで進行してしまった虫歯 歯の神経を残す方法♪

神経を温存する、これも立派なMIです。

 その2 削る量を最小限にするための詰め物の材質を選ぶこと

 削る量を最小にするため材質を選ぶ上で考えないといけないことは、以下の2点になります。

  1. 強度が弱い材質の詰め物を使う場合
    ⇒詰め物が割れないように多めに削って詰め物に厚みをもたせなければならない
  2. 歯と比べて詰め物が硬すぎると、歯が割れやすくなる

以前の記事でもお話しましたが、

参考 保険の効く歯科治療と効かない歯科治療 その2

  • 見た目や費用を気にしない場合
  • 歯を傷つけない
  • むし歯が再発しにくい
  • 詰め物が割れるリスクのために必要以上に歯を削らなくて良い

という点では金が最も優れています。
ただ、金の欠点…保険が効かない、非常に目立つという側面もあります。

以下、他の素材の詰め物の特徴を上げていきます。

CR(コンポジットレジン)

  • 保険が効く
  • 症例を選びますが、あてはまる症例ならとても良い

金銀パラジウム合金

  • 保険が効く
  • 硬すぎて歯を傷つけてしまいやすい
  • 色も銀色で目立つ

e-MAX(セラミックの詰め物)

  • もっとも歯の色に近く非常に美しい
  • 強度が弱いために「詰め物が割れない厚みを得るために」多くを削る必要がある
  • 保険が効かない

ジルコニア

  • e-MAXほどではないが色は白くて美しい
  • 強度があるので多めに歯を削らずに済む
  • むし歯の再発を起こしにくい材料
  • 保険が効かない

それぞれ、一長一短の特徴があるので、これを選んでおけば間違いは無い!という全ての症例に最適な材料というのは存在しません。
ですから、見た目やむし歯再発のしやすさ、強度や費用などを考慮して、個別に患者さまご本人に選んでいただくのが良いと思います。

その3 初期むし歯はあえて削らず、食習慣・歯磨き習慣の改善とフッ素で修復させること

穴が開く前の、ごく初期の虫歯は実は削らずに治すことが可能です。

参考 削らなくても治る虫歯があるって本当?
削らずに治せる虫歯は削らない、これもMIの基本になります。

その4 そもそもむし歯にしないようにする=予防歯科こそが究極のMI!

 「うちの家系は虫歯が多くって・・・虫歯って遺伝するんですか?」

ときおり、診療室で患者さまから訊かれる質問です。
答えはNOです。

虫歯は生活習慣病であり、遺伝要因は非常にまれです。
虫歯になりやすい生活習慣、食習慣、歯磨き習慣の積み重ねで虫歯になってしまうんです。

自分なりに頑張って歯磨きをしているつもりでも、虫歯がすぐに出来てしまうなら、磨き方の癖や食習慣に問題があるのかもしれません。
もしくは、歯ぎしりや口呼吸など、良くない癖のために詰め物が痛んだり、虫歯になりやすくなっていたりする場合もあるでしょう。

定期的に歯科医院で詰め物が悪くなっている場所がないか、初期虫歯ができていないかチェックして、歯磨きの悪い癖や、磨き足りない場所があれば歯磨き指導を受ける、必要あればフッ素を塗り、歯石も取って歯周病も予防する・・・

これこそが、究極のMIと言えます。

実際、歯の定期健診の習慣がある人が90%もあるスウェーデンでは、80歳の歯の平均数が25本、定期健診に行く人が80%のアメリカでは80歳の歯の平均数が17本、定期健診に行く人が10%未満の日本では8.8本と、歯を失う数と定期健診の受診率には相関性があります

 

「でも、育児に仕事に忙しい中で、痛くもない歯のために時間を作るのは難しいなぁ~」

・・・よく、お気持ちはわかります。

↑のように思われた方のために、次回は「予防しなきゃ怖い!歯科疾患 ~糖尿病、脳血管障害、要介護度まで あれこれ関わっているお口の病気~」をお送りします。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

なるべく削らない、抜かない治療を目指して

2017年1月5日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今日は当院の治療理念の一つでもあります「MI=Minimal Intervention ミニマルインターベンション」についてお話していこうと思います。
いきなり横文字が出てきましたが、要は「なるべく削らずに歯を残したい!」という考えのことです。

ミニマルインターベーションって何?

MIが登場する前の歯科治療

虫歯の穴がすでに開いてしまっている場合、まず、虫歯は取り除かねばなりません。そして開いた穴を埋めていきます。
昔は「接着技術(歯と詰め物を科学的にひっつける技術)」が未発達だったため、詰め物は機械的な凹凸にはまり込んでくっつける「合着(ごうちゃく)」という方法でつけるしかありませんでした。

合着は力が弱いので、詰め物が取れないように様々な工夫がなされました。
虫歯を取り除き終えた後に詰め物が取れにくいように「保持形態(とれにくい形)」を削っておく、などが代表例です。
これは釘を使わずに木をくっつける大工さんの技法ととても良く似ています。
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画像:http://ameblo.jp/ghostripon/entry-11953176433.html

接着技術の向上とともにMI時代が幕開けた

1977年、ついに歯科界に接着技術が日本のクラレ社から登場します。
初めて歯と詰め物が、科学的にひっつくようになったのです。

接着で詰め物が外れないなら保持形態を削らなくて良いのでは?と、この時の多くの歯医者さんが考えたのではないかと思います(ちなみに当時、私はまだ生まれておりません)。
虫歯になってしまった部分は仕方ないとしましても、虫歯じゃない部分でできれば削りたくないですからね。

しかし実際は、すぐには普及しませんでした。まだまだ接着の力が弱く、接着させるための作業も煩雑だったのです。

けれど接着技術の登場を機に、MI=なるべく削らなくて済む治療を目指して、世界中の研究者と歯科メーカーと歯科医師の努力の結果、接着技術はどんどん向上していきました。
いまでは保持形態は必要最小限、どうしても必要と思われる症例のみ、最小限にとどめる形で使わる程度になりました。

接着だけではMIは達成できない!

さて、接着技術の進歩により虫歯でない部分まで余分に削る必要は少なくなりました。
しかしそれではまだ不十分なのです。
まだ、削りすぎなのです。
もっともっと、削らずに済む方法があるのです。

それは・・・

  • 神経に近いところまで進行したむし歯でも、神経をなるべく残す治療を試みること
  • 削る量を最小限にするための詰め物の材質を選ぶこと
  • 初期むし歯はあえて削らず、食習慣・歯磨き習慣の改善とフッ素で修復させること
  • そもそもむし歯にしないようにする=予防歯科こそが究極のMI!

 

次回は、さらなるMIを進めるための4つのポイントについてお話いたします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

削らなくても治る虫歯があるって本当?

2016年9月30日

こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今日は初期むし歯をテーマにお話していこうと思います。

初期むし歯とは?

歯と歯茎の境目や、前歯の先端付近などに、チョークのように白く濁った部分を見たことはありませんか?

実はこれは、「初期虫歯」と呼ばれる“治る虫歯”。

 

目に見えない小さな穴が歯の表面に無数にできることで歯の表面がスリガラスのようになってしまっている状態です。

 

写真の赤丸をしているところが初期むし歯です。

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写真はご本人の同意を得て掲載しています。

初期虫歯が進行していくと、目に見えない小さな穴は徐々に増えていき、スリガラス状から「すが入った」ような状態になっていき、ついに小さな穴がつながって目に見えるサイズの穴が開きます。

ここまで進行すると、元通りに治りません。

穴が開くか、元に戻るかの分岐点が「初期虫歯」と言えます。

初期むし歯はどうすれば元に戻せるの?

初期虫歯ができた原因を排除する

●初期むし歯の原因

  • 磨き残し
  • ジュースやスポーツドリンク、加糖コーヒーなどを頻繁に飲む
  • 口呼吸

しかし、運動部で先生にスポーツドリンクをみんなで飲むよう言われると、自分だけ飲まないというのも難しいでしょうし、口呼吸などの習慣性のものは改めるのが難しい側面もありますよね・・・

 

そういう方には、

フッ素で歯質強化がおススメです。

 

まず、初期むし歯の原因を取り除くことにできる範囲で取り組んでください。

そして、補助的にフッ素を取り入れましょう。

フッ素はうがい薬タイプやジェルタイプなど、様々な味や形状のものがありますので、長く続けていける好みのものを選びましょう。

 

歯科医院で塗るタイプのフッ素と、家庭用フッ素は作用機序が異なり、併用することができます。

 

初期虫歯がある人は、ぜひご検討ください。

初期虫歯が進行していないか、ちゃんとお手入れできているかのチェックとフッ素塗布を兼ねて、歯科定期検診をお勧めします。

 

岩国のやさしい歯医者さん つぼい歯科クリニック

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神経に近いところまで進行してしまった虫歯 歯の神経を残す方法♪

2016年9月10日

こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニック 院長の坪井です。

今日は、大きな虫歯を治すときのお話です。

 

下の写真はの横の歯に大きな虫歯ができてしまっている状態です。

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歯の中ほどまで、虫歯が進行していますね。

茶色い虫歯部分は濡れたクッキーのような柔らかさです。

「齲蝕検知液」(うしょくけんちえき)という、虫歯だけ染め出す薬液で何度も染め出しながら、慎重に虫歯を取り除きます。

中央の飴色の部分は、「二次象牙質」と呼ばれる、元は神経があった部分です。大人の虫歯は比較的ゆっくりと進行しますから、体が防御反応を起こして、歯質を作りながら歯の神経を逃がすのです。体ってスゴイですね!

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おかげで、かろうじて神経を触らずに済みました。

しかし、削ってできた穴と歯の神経は、まさに「紙一重」!

できれば、神経にはもっと逃げておいて欲しいものです。

このような場合、「水酸化カルシウム製剤」という、神経が歯質を作りながら逃げてくれるのを手伝ってくれるお薬を貼り付けて、その上から詰め物をします。これを「間接覆髄」(紙一重の歯質の上から間接的に、歯髄=神経を覆う、という意味です)と言います。

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上からコンポジットレジンと呼ばれる、白い詰め物をしたところです。

1回の受診で治療完了です!

歯の神経を守れて本当に良かったです。

では何故、歯の神経は残したほうが良いのでしょう?

歯が「かたく・もろく」なる

歯の神経がある歯が生きている木の枝とすると、神経を取った歯は枯れ枝のようなもの。

歯への血流が途絶え、枯れた枝のように「かたく・もろく」なるため、割れやすくなってしまいます。

 
歯が黒っぽく変色してしまう

これは人によって程度が違いますし、変色してくる時期も異なるのですが、変色は歯の神経を取った後の非常にポピュラーな症状の一つです。歯の象牙質とよばれる部分が黒くなってしまうことで起きます。

 
歯の根っこの病気になりやすい

歯の根の神経は、先端で網目状の構造になっており、治療で一番太い管はキレイにお掃除できるのですが、側枝と呼ばれる細い管は触れません。その側枝に感染源が残ってしまいますと、根っこの病気が再発してしまうことがあります。

 

まとめ

大きな虫歯の場合でも、神経の保護剤で神経を守れることがある。

歯の神経は、残せるなら残したほうが良い!

 

でもその前に・・・

 

大きな虫歯になる前に、早期発見!

予防歯科で、大きな虫歯を未然に防ぎましょう♪

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初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

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