電話でのお問い合わせ 0827-32-7506

〒740-0034 山口県岩国市南岩国町2-78-36

診療時間
09:00 ~ 12:00 / / /
14:00 ~ 18:00 / / /
WEB予約
キービジュアル

menu

良くない口の習慣、「口呼吸」 ~風邪をひきやすく、虫歯・歯周病・口臭・出っ歯の原因にもなる~

2020年1月31日

こんにちは、つぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
あなたは、口呼吸と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?

対する言葉としては、鼻呼吸です。

鼻で呼吸するということはどういうことでしょうか?
鼻には体を守る色々な作用が備わっています。
加湿作用や、粘膜によるウイルス、細菌に対する防御作用などです。

口呼吸のデメリットはよく言われているように思います。

口で呼吸するので、鼻での作用の恩恵が受けられませんから、当然ながら感染しやすかったり、乾燥の原因となったりするようです。

口呼吸のデメリット…その1 口の乾燥

口の乾燥も、色々なリスクとなります。

虫歯ができやすくなる

唾液にはカルシウムが豊富に含まれ、口の中が虫歯になりやすい環境になったときに、歯を補修する働きがあります。

参考リンク:削らなくても治る虫歯があるって本当?

 

唾液が少なくなると、むし歯ができやすくなるのですが、同じように口呼吸による乾燥でもむし歯になりやすくなります。

歯周病になりやすくなる

歯周病も感染症です。唾液の抗菌作用が、口の乾燥によって低下してしまうので歯周病の危険が増してしまいます。

口臭が出やすくなる

口臭についても乾燥の影響で強くなってしまうようです。

参考リンク ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と自分での治し方

歯への着色が起こりやすい

口呼吸をされる方は、ちょうど前歯の唇が当たらない部分に、着色が起こりやすいです。

唾液の作用っていろいろな面に作用していて大きいのです。

口呼吸のデメリット…その2:歯並びが悪くなる

口呼吸は、歯ならびにも関係してきます。
口で呼吸しているということは、当然ながら口は開いているんですよね。
口を閉じるのは口の周りの筋肉(口輪筋)の作用ですので、この力が弱いのです。

舌の位置についても鼻で呼吸するのとは違い、口で呼吸しやすい位置に舌が移動してしまいます。

参考リンク:いつでもお口がポカンと開いている「口呼吸」

歯ならび、歯列というのは外からの力、頬や唇ですね。それと内からの力、舌の力のバランスによって大きく影響を受けます。
つまり、口で呼吸しているというのは、歯ならびが悪くなるリスクになるのです。
矯正治療をする場合でも「後戻り」の大きなリスクとなることがあります。

長い期間をかけて歯並びをキレイに整えて行くのが矯正治療ですが、歯に(骨に)力をかけることで歯が動いていきます。

矯正治療が終わった後でも、歯に力がかかっていると、当然歯は動いてしまいます。つまり、後戻りのリスクがあるとも言えます(後戻りのリスクが高いと判断される場合は、後戻り防止装置が外せないこともあります)。

力のバランスが取れていないと、治療した歯並びが変化してしまうということが起こってしまうのです。

鼻呼吸で、感染や歯並びのリスクを予防しましょう!

口で呼吸することにはデメリットがいっぱい。
可能であれば意識して鼻で呼吸するようにしていきましょう。

テレビを見るときなど、ボーッとしていてもお口はつむっているようにしていただくことが大事です。とはいえ…夢中になっている時に、意識できない…という声もあるかと思います。

口の周りの筋肉(口輪筋)が十分に発達していないと、口を閉じ続けるのが難しいことがあるのです。そんなときは、「口の周りの筋肉の筋トレ」が必要です。

参考リンク:口呼吸を改善する!「あいうべ体操」

筋トレなので、すぐに効果が出るわけではありませんが、「インフルエンザ予防に効果がある」として、取り入れている小学校も多い体操です。

歯科医師としてもおススメです!

まとめ

  • 口呼吸は、デメリットが多いので止めましょう
  • 口呼吸のデメリットとして、風邪をひきやすくなる、虫歯・歯周病・着色・口臭などの原因となることがあります。
  • 口呼吸は、出っ歯や矯正治療後の後戻りの原因となることがあります。
  • 鼻呼吸トレーニングとして「あいうべ体操」がおススメです。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

お子さんの歯医者さんトレーニングってどんなことをするの?

2020年1月11日

~おうちで出来る、TSD法(Tell言ってShow見せてDoやらせて 段階的に慣れさせる方法)~

こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニック 院長の坪井です。
今日はお子さんの歯医者さんトレーニングについてのお話です。

歯医者さんが怖いお子さん、…多いですよね。
理想は、もちろん最初から虫歯を作らないことです。

虫歯予防に関しては、過去にもブログでご紹介しています。
まだ読まれていない方はぜひお読みください。

★基本にして王道の「お子さんの虫歯予防法」★

  • お母さんが妊婦さんのうちから、ご家族で虫歯予防!

(参考リンク:こどもの口の中の虫歯菌はどこからくるの?

  • 1歳前後の卒乳、特に夜間授乳を避ける

(参考リンク:卒乳が遅くなると、こどもが虫歯になりやすいと聞きました。本当ですか?

  • 食生活管理によって、虫歯になりにくい生活へ

(参考リンク:虫歯になりやすいオヤツがあると聞きました。どんなものに注意すればいいですか?(食事管理 前編)

  • 年齢に応じた歯磨き・仕上げ磨きを行う

(参考リンク:こどもが歯磨きを嫌がってさせてくれません。どうすれば良いでしょうか?

  • フッ素を用いることで歯質を強化

(参考リンク:フッ素は危険?3歳~6歳ぐらいの子どものフッ素についての話)

(参考リンク:フッ素入りの歯みがき粉や洗口剤などについて

既に虫歯がある場合は、治療するしかありません。
また、定期検診に来られた時に「虫歯にならないように検診に来ているけど、泣いてしまってかわいそう…!」と思われることもあるかもしれません。

3歳が「歯科治療を理解できる」年齢

結論から言うと、治療のためのトレーニングは3歳以上が対象となります。
(治療のトレーニングに関してです。歯みがきトレーニングとは異なります。)

なぜなら、3歳未満のお子さんの場合、歯科治療についてあまり理解できません

そのため、3歳未満のお子さんには、歯科医師は治療時間が1秒でも短くて済むように、短時間でコンパクトな治療を心がけます。

早熟な女の子の場合は2歳半くらいから歯科治療が理解できる場合もあります。しかし、一般的に、3歳未満のお子さんには、歯医者さんトレーニングは、あまり効果がないと言われています。

(参考リンク:低年齢児の大きな虫歯治療は、お子さま、保護者の方、歯科スタッフの全員にとって大変!!
3歳を過ぎるとお子さんも歯科治療が理解できるようになってきます。

治療や検診よりも先にトレーニングをおすすめするケース

  • 虫歯がない方、またはすぐに治療が必要でないくらいの虫歯の方
  • 予防と検診で歯科受診を希望される方
  • 歯みがきでも泣いてしまう方

歯医者さんトレーニングを行うのが良い理由

想像してみてください。

「歯医者さん怖い!嫌!」で終始「恐怖と怒り」の中で号泣するお子さん。
そして、
「歯医者さん怖い!…でも、頑張ったら褒めてもらえるし、ご褒美ももらえる。お父さんやお母さんも、とっても嬉しそうにしてくれる。練習では頑張れたから、治療でも…」と、怖い気持ちとがんばる気持ちで揺れ動きながら治療に入るお子さん。
どちらがお子さんにとって「楽」でしょうか?

後者の子どもは、泣いていても、周囲を冷静に観察しています。
そして、
「あれ?動かないなら、押えられないんだ」
「上手にできたら、みんなに褒められる」
と気づき、少しずつ治療を受けられるようになります。
やがて、「自分は歯医者さんを頑張れる子だ」と自信をつけていきます。

この際の保護者のかたの声掛けのコツなどもあります。
ご興味のある方は、以下のページをご覧ください。
(参考リンク:お子さんを泣かせず上手に歯科医院に通わせるコツとは?)

自宅での歯医者さんトレーニングの方法

小児歯科では系統的に、少しずつ歯科の道具や治療に慣れてもらう方法をよく用います。
代表的な方法に「TSD法」(Tell言って、Show見せて、Doやらせて慣れさせる方法)があります。
ご自宅でも出来る方法なので、ぜひ試してみてください。

TSDの例
  • Tell 「●●ちゃん、お口の中を見せて。鏡さんを、お口の中に入れさせて。」
  • Show「見てごらん、お道具はこれだよ。鏡だね。●●ちゃんのお顔が写ってるね?ほら、見てみて!」
  • Do「鏡さん、自分で持ってごらん?そうそう、上手!じゃあ、自分でその鏡をお口に入れてごらん?ぱくーって、お口に入れてごらん?わぁ!上手だね!」

歯科治療と予防管理は、まずは口の中を見ることから始まります。

最初の歯医者さんトレーニングは、歯科用ミラーを口の中に入れ、上手に大きく口を開けられることです。

歯科用ミラーを口に入れて大きく口を開けるトレーニング

歯科用ミラーを、

  1. 「口の中に鏡を入れる」と『言って』
  2. 鏡を実際に『見せて』
  3. お子さんが『自分で鏡を口の中に入れるように』指示します。

POINT
3の段階で「お母さんにお口の中を見せて」と言ってはいけません。

あくまで主役はお子さん。
お子さんが、自分で自分の口に鏡を入れるように指示しましょう。

お子さんができたら、大げさなくらいに喜んで、褒めてあげてください。
本人が嬉しそうに、何度も鏡を口に入れて見せては「さぁ、褒めて!」という視線をくれるようになったら、次の段階に進みます。

3の段階で「●●ちゃん、本当にすごい~~!!ママにもちょっと持たせて!いい?ちょっとだけだから!」と、本人が持っている鏡に指を添え、すぐに離して「すごい!ママに持たせてくれた!ママ嬉しい!!」と褒めてあげます。

すると徐々に、お子さんは保護者の方が鏡で口の中を見ることを許してくれるようになっていきます。

基本的にはこの繰り返しです。

歯科用ミラーができるようになったら、歯科用ハンドピース(ドリルや回転ブラシを取り付ける道具)に挑戦します。

もちろん、ドリルはつけずに、本物の滅菌済みハンドピースを鏡の代わりに口に入れます。
保護者の方がハンドピースを口に入れて、口の中を覗き込んでも、お子さんが大きく口を開けて待っていられるようになれば、自宅でのトレーニングは完了です!

当院での取り組み

その1 保育士さんと一緒にトレーニング

アンパンマンベッドの部屋で保育士と一緒にトレーニング

つぼい歯科クリニックでのTSD法の取り組みは、保育士さんとアンパンマンベッドの部屋でTSD法をトレーニングを行います。(1枠20分。完全予約制)

お母さん、お父さんにも一緒にお部屋に入っていただき、ご自宅でもトレーニングできるように、保育士さんのやり方を見て学習していただきます。

歯医者さんトレーニングセットをレンタル(無料)

保育士さんとトレーニングした「歯医者さんトレーニングセット」をそのままレンタルして、ご自宅で練習していただきます。

「歯医者さんトレーニングセット」は、滅菌済み使い捨て歯科用ミラーと、本物の滅菌済み歯科用ハンドピース、トレーニング表のセットです。
次回受診時、または期日を設けて歯科用ハンドピースのみ返却していただきます。ハンドピースは動かない物を、トレーニング用に洗浄・滅菌して用います。

その2 ご自宅でトレーニング

次回のご予約日まで、トレーニングをしてトレーニング表にチェックをお願いします。

その3 自宅トレーニングが終わったら、再び医院でのトレーニング

自宅トレーニング用ハンドピースからは水は出ません。
また、ご自宅には水を吸うバキュームもありません。

「水」と「音」と「注射」が、お子さんが怖がる歯科医院の嫌われ3トップです。

注射だけは練習できませんが、「水」と「音」は練習できます。
「水」「音」のトレーニングも、基本的には上の①~③を、歯科医院の治療椅子で行う形になります。

具体的には、水を吸うバキュームを言って見せて触らせて、自分で自分の口に入れさせ、次に術者が入れるのを大きく口を開けてじっとできるか見ます。

バキュームの音を怖がる場合は、
手や頬をバキュームで吸って、「面白いねー!」としばらく遊んでから口に入れさせます。
本人の警戒心が強くて、手や頬を吸われるのを怖がる場合は、術者が同伴の保護者の手をバキュームで吸って、「怖くない、面白いよ!」と伝えます。

バキュームが問題なくクリアできたら、次はハンドピース(今度は水も出るし動くもの)に回転ブラシをつけて、水を出しながら歯のクリーニングを行います。

ここをクリアできたら、チェアに動かず横になり、口を開け、水が出てくる回転器具を口に入れ、同時に水をバキュームで吸われ、音が怖いのを我慢する、ということができたことになります。

ここまで泣かずに頑張れたら、治療もほとんど問題なく受けられるようになるお子さんも多いです。

お子さんが上手に治療を受けられるよう、必要な方はぜひ、試していただければと思います。

まとめ

  • 歯科の治療トレーニングの対象年齢は3歳以上です。
  • 緊急の治療が必要ない3歳以上のお子さんは、トレーニングから入ると、少しずつ抵抗なく治療を受けられるようになりやすいです。
  • TSD法を使用して、お子さんと保護者の方がクリニックで学び、自宅でトレーニングして、段階的にできることを増やしていく方法もおすすめです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

院長ブログ一覧はこちら

乳児の虫歯予防のポイントは?歯磨きは何歳からがんばればいいの?

2019年6月6日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦和則です。

虫歯予防は生涯にわたって必要なことですが、今回は特に低年齢の虫歯予防について話を進めて行ってみようと思います。
第一回の今回は、乳幼児期についてです。

年齢別虫歯の予防方法について

乳児(0歳児)期

歯みがきより食生活が大事

この時期は、歯磨きよりもフッ素や食生活管理のほうが、確かな予防効果があります
授乳、卒乳の影響も大きいとされています。
卒乳が遅いと虫歯になりやすいということが、疫学的に分かっています。

食生活管理がちゃんとできていれば、この時期に虫歯になることはあまりありません。

ですから、この時期の歯磨きは「習慣づけ」の側面が大きいと言えます。

保護者の方が、赤ちゃんの口に指を入れて、お口の中をしっかり見ることが出来るよう、慣らしてあげましょう。

「どうしても泣いてしまって難しい」と言う場合は、歯磨きシートで代用することも可能ですが、少しずつ歯磨きトレーニングは始めて行きましょう。

また、低濃度フッ素の活用も効果的です。
赤ちゃん用のフッ素スプレーやジェルもありますので、ご興味がおありの方はお試しください。

離乳食が始まると、ミルクの飲ませ方が大事になる

虫歯というのは、お口の中の細菌の作用によって、「歯が溶ける」ということです。

母乳には乳糖という、糖の一種が含まれていますが、母乳の乳糖濃度のみでは虫歯はできないと言われています。
野生の動物の赤ちゃんが、母乳で虫歯にならないのと同じですね。

ただ、離乳食が始まれば話は別です。

離乳食に含まれる糖分と母乳の糖分が合わせ技で、虫歯をつくってしまうことは、珍しくありません。

母乳はお母さんと赤ちゃんの大切なスキンシップです。
しかし、離乳食が始まったあとは「だらだら飲み」になりやすく、特に、夜間授乳は非常に虫歯のリスクを高くしてしまうことで知られています。

また、1歳半を超えての夜間授乳は、歯科医師としては
「難しいのは承知ですが、それでも、できれば避けてください」と申し上げたいところです。

遅くなれば遅くなるほど、虫歯のリスクが上がってしまいます。
そして、4歳未満で虫歯を作ってしまうと、生涯を通して虫歯リスクが(乳歯が永久歯に生えかわった後も)高いままであることが、研究で分かっています。

でも、今日からすぐに卒乳は無理ですよね。
そんな時は、「歯を強くする、虫歯ができにくい環境をつくる」ということが、重要だと思います。

具体的には2つです。

  • 赤ちゃん用のフッ素を使う
  • 食事やおやつ、飲み物からの砂糖の量に気を配ること

ぜひお試しください。

1歳半~2歳

歯みがきトレーニングをしましょう

お口の中には前歯と横の歯あわせて16本程度の乳歯が生えてくる時期になります。
1歳半~2歳にかけての虫歯は上の前歯がほとんどです。
歯磨きに慣れながら虫歯予防をすすめていきましょう。

虫歯菌は、常在菌といって、お口のなかに定着している菌のひとつです。
3歳までに80%のお子さんで虫歯菌の定着がおこってしまいます。
虫歯菌の定着は遅いほうが虫歯予防には有利なので、保護者の方とお子様が1本のスプーンを共有して、お食事されるようなことは、避けた方が良いでしょう。

参考:院長ブログ こどもの虫歯菌はどこから来るの?

この時期も、まだ歯磨き(仕上げ磨き)より飲食習慣の管理の方が重要であるとされています。
お兄ちゃん、お姉ちゃんが甘いおやつを既に食べる時期になっていて、1~2歳の下のお子様が、上のお子様のおやつを欲しがるようになり、低年齢でアイスやチョコや飴を口にし始める…というケースもありますので、要注意です。

参考:末っ子は虫歯が多い!? 兄弟がいるお子様にありがちな虫歯のできる理由

この時期に市販のお砂糖たっぷりのオヤツを食べると、あっという間に虫歯になってしまいます。
「おやつは上のお子様が、下のお子様に合わせる」ようにすると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 低年齢では、歯磨きより食生活管理が大事
  • 離乳食が始まると、夜間授乳による虫歯リスクが高くなります
  • 赤ちゃんと保護者の方のスプーンは分けましょう

次回は、3歳以上のお子様の虫歯予防について、お話していく予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

フッ素入りの歯みがき粉や洗口剤などについて

2019年5月17日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
そろそろ企業や学校の歯科健診のシーズンですね。

今回はむし歯予防のための、フッ素についてお話していきます。

フッ素について

フッ素といえば、テレビCMなどでも、虫歯予防の代名詞のように言われていますね。

 

実際、フッ素は虫歯予防に対して、しっかりとした効果が得られることが明らかになっています。

参考 ドクターズブログ:フッ素は危険?3歳~6歳ぐらいの子どものフッ素についての話

フッ素が歯を丈夫にするメカニズム

フッ素の作用としては、歯の表面構造を丈夫で安定なフルオロアパタイトという構造に変化させて溶けにくい歯、虫歯に強い歯にするというものです。

 

虫歯を予防するという点からすると、欠かせない存在であることは確かです。
フッ素は食品にも含まれており、紅茶などにも含まれています。

参考 院長ブログ:お母さんが妊娠中に赤ちゃんの歯を丈夫にできる食べ物とは?

歯みがき粉とフッ素

フッ素はほとんどの歯磨き粉に配合されています。

市販品の約9割がフッ素配合みたいです。

逆に、フッ素入りではない歯磨き粉を探す方が困難なようです。

高濃度フッ素含有の歯みがき粉について

フッ素濃度が950ppm程度である歯磨き粉がほとんどでしたが、最近では高濃度フッ素と言われる1450ppm程度まで認可されました。

濃度が高い方が虫歯の予防効果は高いです。
しかし、注意も必要です。

高濃度のフッ素による副作用リスクもあるため、6歳未満のお子さまへは使用させない、また、保管も6歳未満のお子さんの手の届かないところにするように、厚生労働省より各歯科医院に通知が来ています。

小さなお子様がいるご家庭では、注意してご使用ください。

 

歯みがき後うがいをするとフッ素が洗い流されます。

フッ素入りであることを意識するのであれば、歯磨き後のうがいはほどほどにして、お口の中にフッ素が残る方が効果的です。

もっと確実な方法として、歯磨き後普通にしっかりうがいをして、唾液の分泌の少ない寝る前にフッ素入りのジェル歯に塗って寝るという方法もおススメです。

歯科医院でのフッ素塗布と自宅でのフッ素を併用しても大丈夫なの?

作用機序が違うので、併用して問題ありません。

歯科医院で使用しているフッ素の濃度は9000ppmです。

毎日ご自宅でフッ素で虫歯予防をして、あとは定期的に歯科医院で高濃度のフッ素を用いて予防を行っていくのがベストではないかと思います。

フッ素入りの洗口剤について

他にも洗口剤と言ったうがい薬のようなものによるフッ素の応用もオススメです。

 

洗口剤は歯磨き粉やフッ素入りジェルよりも細かい部分にフッ素が入り込んで虫歯を予防してくれるので、予防効果が高いです。

つぼい歯科クリニックではミラノールという洗口剤をおすすめしています。

就寝前にうがいをします。

お口の中にフッ素が残っている状態において、歯の表面構造が変化していきます。

先ほどの歯磨きの後のうがいもそうですが、お口の中にフッ素が残っているということが重要なんです。

寝る前洗口剤でうがいをして、そのまま寝るというのは理にかなっているように思います。

 

年齢やお口の中の状態によっても、より良いフッ素の使い方が異なりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

  • フッ素とは歯の表面に作用し、歯を丈夫にします。
  • 高含有量のフッ素入り歯磨き粉が発売されましたが、6歳未満のお子さまのいるご家庭では注意が必要です。
  • フッ素はお口の中に長時間残っていることが大事なので、寝る前にフッ素入り洗口剤の使用がおススメです。

歯周病は骨が溶けている!?自宅でできる治療法とは

2019年3月3日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
前回の虫歯のはなしに続いて、今回は歯周病をテーマにお話ししていきたいと思います。

歯周病ってよく聞くけど、結局どんな病気なの?

みなさんは歯周病をご存知ですか?
「テレビの歯みがき粉のCMで聞いたことあるよ」という方もいれば、
「知らないなぁ」という方もいらっしゃるかと思います。

歯周病=骨が溶けている

歯周病って歯を支えている骨が溶けてきているってことなんです。
こう聞くと、「ちょっと怖いな」と思った方もおられるかもしれませんね。

骨は溶けていないけど、歯の周りに炎症があって、歯ぐきが腫れている状態を歯肉炎と言います。
歯磨きしてて血が出る時は、歯肉炎かもしれません。

歯周病が悪化すると歯が抜けることも…

歯の周りの骨が溶けてくると、歯がグラグラしてきたり、ひどくなると歯を抜かないとならないケースも出てきます。

歯を抜かなくてはならない原因としては、40代以上では虫歯よりも歯周病の方が多いそうです。
歯の土台が弱っていく歯周病って怖いですね。。。

歯周病の原因とは

歯周病ってなんで起こるかって言いますと、歯の周りの汚れ(プラーク)が原因なんです。
歯の周りには溝があって(歯周ポケット)、そこに汚れが溜まりやすくなります。

歯の周りの汚れは細菌の集まりです。

虫歯は細菌が口の中の糖から酸を作って、歯を溶かします。
一方、歯周病は、細菌に対して自分のカラダを守ろうとする反応として炎症が起こります。
この炎症反応により、自分の骨が溶けちゃうんです。

骨が溶けてしまうと、歯の周りの溝の深さもさらに深くなっていきます。
そして、さらに汚れも取りにくくなる…と、悪循環に陥ってしまいます。

自宅でできる歯周病の治療法とは?

歯周病で骨が溶けてしまっていて歯の周りの溝が深くても、口腔ケアをがんばって歯ぐきが引き締まっていくと、溝の深さは浅くなり、汚れも溜まりにくくなります。
汚れが溜まりにくくなった状態で、口腔ケアをがんばっていると、次第に炎症も改善してきます。

具体的には何をしたら良いの?

では歯周病の症状を改善したり、歯肉炎から歯周病に進まないようにしたりするためには、何をしたら良いのでしょうか?

①自分にあった口腔ケアグッズを選ぶ

口腔ケアグッズには歯ブラシやフロス、歯間ブラシ、歯磨き粉、フッ素入りジェル、うがい薬、タブレットなど今は非常にたくさんの種類があります。
そしてそれぞれにたくさんの種類の商品があります。

色々試してみて、ご自分に合ったものを探すというのも一つの手ですが、
「たくさんありすぎてよくわからない。」
「良い商品のように思うけど、自分に合っているかどうかわからない」
という方もいらっしゃるかと思います。

歯みがきの癖、口の中の状態、年齢、ライフスタイル、体の状態によって、ご自分に合った口腔ケアグッズは変わります。

自分に合ったものがどんなものを知るためにも、歯科医院に定期検診で受診することをおススメします。

歯科医師や歯科衛生士がお口の状態やライフスタイルをチェックして、あなたに合った口腔ケアグッズの選び方や使い方のご相談に乗ります。

②口腔ケアグッズを正しく使う

日本人の大部分の方が毎日歯みがきをしているにもかかわらず、虫歯の方も歯周病の方もとても多いです。

実は、歯みがきや口腔ケアを「ちゃんと正しく行う」ことは、とっても難しいんです。

子どもの頃から毎日していることなので、簡単に感じている人もいるかもしれませんが、もし簡単なら、多くの人がこんなに虫歯や歯周病には罹っていないはずです。

自宅で取り切れない分は歯科医院でプロケアを行うのがおススメ

歯科医院で歯石を取り除きましょう

歯の汚れ、歯垢(プラーク)は細菌の塊ですが、その細菌の死骸が硬くなったものが歯石です。
歯石になってしまうと、ご自宅の歯みがきでは取り除くことができなくなります。

また、歯石は毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こし、骨が溶けてしまう歯周病の原因となります。歯石を除去すると、歯ぐきの炎症も改善します。

ご自宅で毎日の口腔ケアを行うとともに、定期的に歯科医院で検診を受けて、虫歯や歯周病のチェック、ご自分にあった口腔ケアの方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯周病は骨が溶けている怖い病気です。
  • 歯周病を自宅で治すためには、自分に合った口腔ケアグッズと正しい使い方を知ることが大切です。
  • 歯石の除去は歯科医院でしかできないので、口腔ケア方法と歯石除去のために、定期検診に受診されることをおススメします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「虫歯=歯が溶けている」ってご存知ですか?

2019年2月1日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

あなたは虫歯と聞くと何を思い浮かべますか?

虫歯になると歯に穴が開いてしまったり、痛くなってしまうイメージでしょうか?

そもそも虫歯ってどんなものなの?

虫歯を大まかに言うと、お口の中の細菌の作用によって歯が溶けるということです。

「虫歯は感染症」という言葉をお聞きになったことがある人もいるかもしれません。

 

歯を溶かす代表的な細菌としてミュータンス菌があげられます。

「ミュータンス菌という名前を聞いたことがある!」という人も多いのではないかと思います。

 

そうなんです。虫歯って歯が溶けているんです。

開いた穴は自然には埋まりません。

だから虫歯って自然には治らないんです。

ミュータンス菌が口の中にあるだけで虫歯になってしまうの?

細菌が歯をとかすには砂糖が必要です。

「キシリトールが歯に良い」とよく言われているのは、ミュータンス菌がキシリトールからは上手に歯を溶かす物質を作れないので、結果として、歯を溶かすことがなく虫歯にならないといった感じです。

生活の中で砂糖を取らないで生きていくのは無理なのでは…

しかし、生活の中で砂糖を全くとらないというのも無理がある話ですよね。

食事をすると歯が溶け始めます。(これを脱灰:『だっかい』と言います)
しかし、溶けてもある程度戻ります。(これを再石灰化『さいせっかいか』と言います)

実は、歯は溶けても、ある程度は元に戻る可能性があります。

この状態を初期う蝕(しょきうしょく)と言って、フッ素の活用や自宅でのお口のケアなどで、再石灰化優位な状態を保てたら、虫歯が進行していきません。

虫歯あるある、その1 「ショック!表面からは大きな虫歯に見えないのに、歯の中で大きな虫歯に広がっていた!」

歯は、表面からエナメル質、象牙質、歯髄(いわゆる神経ですね)と言った順になっています。

エナメル質は歯の表面にあるだけあって、象牙質と比べると虫歯に対しても強いです。(溶けにくい)

「歯の表面に少し黒いとこがあるなぁ」と思っていたら、実は歯の中にゴッポリ大穴があいているということも…。

 

虫歯が進行していくとエナメル質を溶かし、象牙質まで到達します。

エナメル質よりも象牙質の方が溶けやすいので、歯の中で大きく虫歯が広がってしまうことがあります。

中で虫歯が広がるなんて厄介ですよね。

歯と歯の間も、中で広がるという点では同じような感じです。

虫歯あるある、その2「しみるから知覚過敏だと思っていたら、虫歯だった…」

虫歯が進んでいくと神経近くまで溶けていきます。

象牙質に刺激が伝わると、しみたり神経の反応が起こります。

 

虫歯でしみたりする場合は、すでに象牙質まで虫歯が進行している可能性が高いかもしれません。

また、虫歯でしみているなら虫歯は大きいかもしれません。

 

しかし、しみるからといって、必ずしもむし歯ではないケースもあります。

知覚過敏や歯ブラシでゴシゴシこする人は、虫歯でなくても歯がしみることもあります。

虫歯あるある、その3「虫歯をほっておいたら、ズキズキした痛みが出てきた」

さらに進行して神経まで虫歯が影響を及ぼすと、ズキズキ痛むこともあります。
虫歯で歯に穴が開いてしまっていたら、さらに治療も大変になります。

神経の治療は、歯科医院で「長く治療がかかる治療ナンバー1」です。
患者さんも通うのが大変、治療する歯科医師もとても大変です。

虫歯を作らない・早めに治療することが、通院回数も痛みもかかるお金も少なく、歯も失わない方法です。

まずは定期的に虫歯のチェックにぜひいらしてください。

もしむし歯ができてしまっても、早めに見つけて、小さいうちに一緒に治してしまいましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 虫歯は、細菌と砂糖によって、歯を溶かされている状態です。
  • 一見小さなむし歯でも、歯の中で大きく広がっていることもあります。
  • 虫歯が進行すると、しみたり、ズキズキした痛みが出てくることがあります。
  • 検診で早めのチェックをして、通院回数も痛みもかかるお金も少ない予防を一緒に行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

3歳~6歳ぐらいの子どものおやつの話

2018年10月26日

こんにちは!つぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。

10月31日はハロウインです。
最近はだいぶ定着してきましたね。

個人的にはおやつを配る社会習慣は、どうかと思っているのですが、文化として定着しつつある以上、皆さんにもおやつの食べ方やそれらの個別の虫歯のリスクを知っていただきたく思い、今回のブログのテーマにしました。

今回は一般的な内容で、個別の口腔内状況等に当てはまらない人もいます。
歯科医院に定期的にメインテナンスで通院されている方は、かかりつけの歯科医院の指導内容を一番の参考にしてください。

最もだいじなこと、それはわが家の「おやつルール」を作ること

虫歯を作らない基本は、虫歯菌が酸を出す機会を減らすことです。
それには、おやつのあげ方が重要です。

具体的には、次のようなことに気を付けましょう。

 おやつの時間を決める

時間を決めずにだらだらとおやつを与えてしまうと、口の中に常に食べ物があるので、虫歯菌が酸を作りやすい環境になってしまいます。リスクが少ない、大事なご飯が食べられないことにもつながりますので、おやつは時間を決めましょう。
特に唾液が減る夜は食べないようにしましょう。

楽しみのための飲み物と、水分補給のための飲み物を分ける

甘い乳酸飲料、炭酸飲料はもちろんのこと、清涼飲料水や普通の100%ジュースにも糖分がたくさん含まれています。
普段の水分補給はお茶や水を中心にしましょう。

食後のケア

おやつ後には歯磨きをするのがベストですが、難しければ、せめてお茶で口をゆすぐようにしましょう。

おやつ危険度分類

おやつルールでも書きましたが、飲食をすると口の中が酸性になります。
酸性のお口の中で虫歯菌が糖分と出会うと、歯の表面でさらに酸が出され、虫歯の原因になります。

ではここで、クイズです!
虫歯になりにくいおやつとは、なんでしょう?

 

そうです!
糖分が少なく口の中に残る時間が短い、歯にくっつきにくいおやつということです。

以下、『虫歯のなりやすさ=危険度』として、★分類していきます。

1)虫歯に要注意! 危険度MAX:★★★★★ のおやつ

アメ・ガム・キャラメル・グミ 乳酸飲料(ヨーグルトドリンク・ヤクルト・カルピスなど)、炭酸飲料など

<キケンポイント>

  • 糖分がとても高い。
  • 口の中に長い間ある(アメ)
  • 歯にくっつきやすい(キャラメル)

これらのおやつは、子ども大好きだけど虫歯菌の大好物です。
また、酸をベースにし、爽やかさを出した乳酸、炭酸飲料はリスク大です。

2)虫歯注意! 危険度高:★★★★☆ のおやつ

チョコレート・ドーナツ・クッキー・和菓子・ケーキ・マカロンなどのお菓子

<キケンポイント>
糖分が多く口の中に残りやすい

個人的には、チョコレート>ドーナッツ>クッキー>和菓子>ケーキ>マカロンの順で歯にくっつきやすいように思います。
食べた後は、うがいや歯磨き、殺菌成分の含まれる緑茶などをコップ1杯飲む事で、虫歯になるリスクを減らせます。

3)油断大敵! 危険度中:★★★☆☆ のおやつ

プリン・ゼリー・バニラアイスなど

<キケンポイント>
アイスに関しては、チョコチップやクッキーが入っていたりすると危険度アップ!

食べてすぐにうがいやコップ1杯のお茶、お水を飲んで糖分を流せば、より効果的!

4)意外と虫歯になりにくい! 危険度低:★★☆☆☆のうれしいおやつ

おせんべい・クラッカー・スナック菓子、おしゃぶり昆布やするめなど

<うれしいポイント>
甘みが少なくてサクサクとすぐに砕け、簡単に飲み込める。
中でも、硬くて歯ごたえのあるおせんべいや昆布、するめなどは、よく噛むことで唾液(殺菌成分があります)の分泌を促し、満腹感もでます。

5)虫歯にならないおやつ! 危険度なし:★☆☆☆☆の安全なおやつ

砂糖を使わず、甘味料としてキシリトールを100%使っているものです。

例えば、キシリトールガム(トクホ・特定保健用食品)、キシリトール100%のタブレットやチョコレートなどがあります。
これらは食後の虫歯予防にもお勧めですし、最近商品も増えてきています。

チェックポイントとしては、キシリトール配合と記載されているけど、実は砂糖が入っている商品でないかどうか(還元水あめは大丈夫です)。

1回や2回、楽しみでケーキなどたべたらすぐに虫歯になる、ということはありませんが、何事も習慣とそのバランスです。
メリハリをつけていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • まずはおやつルールを作り、食べる時間や内容を決めましょう。
  • おやつは『糖分が少ない』『口の中に残る時間が短い』『歯にくっつきにくい』というポイントで選びましょう。

5歳から6歳児の熱中症対策としての飲み物について

2018年7月28日

こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

あまりにも暑い日が続きますね。みなさまはいかがお過ごしですか?こんな中でも、先日の豪雨災害の後片付けや、お子さんの体を動かす習い事など、暑い中で作業や運動を行い、大量の汗をかいている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本日はたくさん汗をかく時期の飲み物について歯科医師の立場からお話していきたいと思います。

歯とスポーツドリンクについて

脱水を予防するには塩分も必要

汗をかくと、体内の水分と一緒に塩分が失われます。
水分と塩分の両方が過度に減少すると、いわゆる脱水症状になってしまいます。
汗をかく季節の水分補給は、通常の水分補給とは異なり、意識して塩分の補給もしなくてはいけません。
そのため、学校などではスポーツドリンクなどが推奨される場合があります。

スポーツドリンクに含まれる砂糖の量は角砂糖11個分!?

しかし、そのスポーツドリンク、虫歯の原因となるため飲みすぎは危険です。
スポーツドリンクには、確かに熱中症に有効なミネラル(主にナトリウム)が多くふくまれます。

一方で、糖分を見ると、砂糖や果糖ぶどう糖液糖、甘味料(スクロース)などが記載されています。
ポカリスエットの糖分は、500ml(ペットボトル)中で33.5g。
角砂糖(3g)の約11個分です。

この量は、風邪における栄養補給としては適量ですが、ふだんの飲料としてはとっても多めです。
スポーツドリンクは薬として捉えて飲むぐらいの意識が必要です。
飲んだ後には少し水やお茶なども飲み、お口から洗い流すなど工夫しましょう。

歯と炭酸飲料について

炭酸飲料もむし歯のリスクが高い飲み物です。
炭酸飲料は水とは違う喉での動きがあるようで、炭酸ガスと酸性度によるのど越し(定義があいまいです)と、糖分によるリラックス効果が美味しさの秘訣なようです。

実際、この『のど越し』というのは最近の飲料ではキーワードで、最近のノンアルコールビールは酸性度を高くして、さわやかさを演出しているようです。

炭酸飲料の酸性度は歯によくない

この酸性度も歯にとっては危険です。
pH7で中性、7以下になればなるほど酸性になります。
人間の歯はpH5.5を下回ると溶けだします。
上にあげたスポーツドリンクのpHは3-4、炭酸飲料はpH2付近なので、簡単に歯が溶けます。
酸性+砂糖で、虫歯リスクは大変高いものになります。

歯にとって良い水分補給のできる飲料とは?

では、結局どうしたらいいのでしょうか。
まず、熱中症には、ナトリウムの摂取を意識したほうが良いようです。
麦茶にも大目のナトリウムが入っており、砂糖0、pHにも問題なく、歯科医としては最もおすすめです。

ただし、厚生省の発表している熱中症予防でとるべき塩分量(50mgを30分-1時間ごとに摂取)をとるためには、500ml(ペットボトル1本)とる必要があります。
一方のスポーツドリンクでは、ナトリウム、砂糖も濃すぎるくらい入っているので、一口ぐらいで十分だと言えます。

歯にとって良く、熱中症予防にもなる塩麦茶

今回いろいろ調べたところ、虫歯にならないお子様の熱中症対策として最も良いのは、麦茶1リットルに塩一つまみ(2g)ぐらいの塩麦茶です。

どうしてもスポーツドリンクにしたい場合、スポーツドリンクを水で2-3倍ぐらいに薄めて下さい
炭酸飲料が飲みたい場合には、砂糖や風味も何も添加されていない、ただの炭酸水、これは歯科医師として推奨できます。
少しだけpHは低いのですが(pH5付近)、砂糖が入ってないので、虫歯にはなりません。

日々の飲み物、これはかなり歯にも影響があります。
体にも、歯にも、バランスが大事です。
理解した上で、上手に水分補給をすることをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?

  • 汗をかくと、体内の水分と一緒に塩分が失われ脱水症状になることがあります。
  • 学校などではスポーツドリンクが推奨されることがありますが、歯には良くないです。
  • ジュースを飲んだ直後に水を飲む、お茶にほんの少し塩を加えた自家製の予防ドリンクを作るなど工夫をすることがおススメです。
  • 日々の飲み物は歯にもかなりの影響があり、体にも、歯にも、バランスが大事です。
    工夫して上手に暑い季節を乗り切りましょう!

ご質問等があればお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

キシリトールガムが危険ってホント?

2018年7月14日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今日はキシリトールガムの話題です。

 

キシリトールってすごいですよね、甘いのに虫歯を作らないなんて!

皆さんはキシリトールと聞くと、何を連想されますか?

ネットではキシリトールの危険性について調べていらっしゃる方が多いようです。

今回はキシリトールとはそもそもどんな物質で、危険性の噂が本当かどうかについてお話していきます。

キシリトールってそもそも何?

キシリトールとは、糖アルコールと呼ばれる物質の一つです。

簡単に言うと糖に近い分子構造を持っているので甘く感じるけれど、虫歯菌が消化出来ず、人間も消化しにくい甘味料です。

危険性は無いのですが、消化に悪いものを一度にたくさん食べると、下痢を起こしやすくなります。

キシリトールガムやキシリトールのど飴などに「一度にたくさん食べると、お腹が緩くなることがあります」と書いてあるのは、この理由からです。

 

糖アルコールは人間も消化しにくい甘味料なので、虫歯予防の他にダイエットや糖尿病の方の食べられる甘味料としても利用されています。ドラッグストアなどで売られているエリスリトールなども、糖アルコールです。
エリスリトールはキシリトールと比べて下痢を起こしにくいため、家庭用の代用糖として袋売りできるんですね。

 

キシリトールを「天然素材」「天然由来甘味料」と解説されているウェブサイトをたまに見かけますが、天然にあるものを抽出して売られているわけではありません。白樺やトウモロコシの芯を原料にキシランという成分を抽出し、それを加工することでキシリトールが作られます。キシリトールは非常に安全性が高く、摂取上限も特にありません。

分類で言うと、「糖質系甘味料」の仲間です。

人工甘味料は危険!?

さて、太らない・虫歯にならない・糖尿病の方も安心というキシリトールですが、どうして「危険」説があるのでしょうか?

 

これは憶測になるのですが、人工甘味料にまつわるいくつかのエピソードが関係していると思っています。

キシリトールは人工甘味料の分類ではなく、糖質系甘味料の一種ですが、人工的に加工された甘味料ですので、混同されているのですね。

「人工甘味料」と聞いて「健康的!子どもに食べさせたい!」というイメージ、…あんまりないですよね。

 

これは「サッカリン」「アスパルテーム」という、物議をかもしたことがある人工甘味料によって、人工甘味料全体のイメージが悪くなってしまったことによるかと思います。

 

サッカリン…1960年代以前に、代用糖と言えばコレ!というくらいに人気があった人工甘味料。

1960年代に発がん性があるというセンセーショナルな実験結果が出て、大騒ぎになりました。日本では1973年に食品への使用が禁止されました。

 

アスパルテーム…ペットボトル飲料や市販のお菓子に現在でもよく使用されています。

コーヒーシュガーとしても良く使用され、家庭用では「パルスウィート」という商品名等で袋売りされています。

フェニルアラニンとアスパラギン酸というアミノ酸からできている人工甘味料で、発がん性は現在のところ確認されていません。
一方で、自然な食事では起こりえない、単一のアミノ酸を特別に多く摂取する生活を長期間続けることへの懸念は、今でも払拭されていません(安全だ、という論文もたくさんあります)。

 

この二つの人工甘味料はあちこちで批判されましたので、人工甘味料や代用糖そのもののイメージを大きく損なう原因となりました。
しかし、人工甘味料や代用糖そのものが悪いというわけでは無く、安全な物を選んで使用することは賢い選択だと思います。

出典:https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm

 

その他の代用糖(特に手軽に入手できるもの)

還元水飴…糖アルコールの一種。虫歯を作らない。市販のキシリトールガムやノンシュガー飴によく使われている。糖アルコールなので虫歯を作らず低カロリー。

 

羅漢果(らかんか)…ウリ科の植物の実を乾燥させたもの。100%羅漢果粉末はなかなかお目にかかれませんが、エリスリトールとブレンドしたものがドラッグストアで売られています(商品名:ラカントなど)

 

マルチトール…これも糖アルコールの一種です。

スクラロース…安全性の高い人工甘味料と言われていて、よくお菓子や清涼飲料水に含まれています。

 

また、これらの人工甘味料の原材料が気になるという意見もよくあります。

ただ、個人的な意見では、原材料の問題は人工甘味料だけに言えることではなく、市販の加工食品やおかし、パンなど全般的に言えることだと思います。市販のお菓子やパンやジュースをお子さまに与える場合、同じように原材料の問題は発生します。

もちろん、「砂糖=悪」ではない!

カロリーが高いというのは言い換えると栄養価が高いということですし、虫歯になりやすい一方で消化によく、お砂糖がすなわち悪、というわけではありません。

取り方さえ間違えなければ、問題ありません。
歯科に関係することでは、歯にやさしいお砂糖の摂り方は、だらだらとお砂糖の入ったお菓子やジュースを飲んだり食べたりせず、時間を決めて食べる。
食べた後は歯みがきするなどです。

大切なのことは、メリット・デメリットを理解した上で選んだり、上手に組み合わせることだと思います。

まとめ

  • キシリトールもキシリトールガムも安全であるが、一度にたくさん食べるとお腹が緩くなることがある。
  • 甘味料にはたくさんの種類があり、虫歯になりにくいもの、カロリーが少ないものなどもある。
  • お砂糖と甘味料を、上手に使い分けましょう!

院長ブログ一覧

歯の強さは遺伝するの?

2018年6月28日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

季節も変わり、暑い日も増えてきましたね。
ジュースやアイスクリームに誘惑される季節ですが、気をつけてくださいね。

最近質問をお受けしたものの中に、以下のものがありました。

Q「うちの子は歯が弱いんです。気にしていない家庭もあるのにどうして?

私も歯が弱いので遺伝でしょうか?」

 

Aお答えとしては、一部は遺伝であり、一部は遺伝でないものがあります。

 

今回は歯の強さと遺伝というテーマでお話していきます。

 

具体的にどんなものがあるのか解説していきます。

遺伝するもの

1)歯の性質

実際に歯の性質が強い方は存在します。

しかし実際に診療室でお見かけするのは、親子で歯の弱い方で、その方たちのほうが遺伝要素が強いです。
エナメル質や象牙質の厚さや質、こういったものが遺伝しています。

2)噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質

あごの大きさや歯の大きさは遺伝要素が強いため、結果的に歯並びやかみ合わせはかなり似てきます。
また、鼻炎などがあると、お口での呼吸(口呼吸)となり、口の中が乾燥しやすくなることで、虫歯にになりやすくなる原因となります。

3)唾液の性質

唾液の性質は年齢で変化していく部分が大きいのですが、遺伝も多少関係ありそうです。
唾液の量が少なく、さらに粘ついていると唾液の自浄作用(何もしなくても歯の清潔が保たれるという作用)が減り、虫歯になりやすくなります。

遺伝ではないもの(家庭環境によるもの)

1)生活環境

一緒に生活している以上、食べ物の好みや選択は、家庭によって大きく異なり、また家族で似てきます。

ご両親が飴などをよく食べる、間食が多い、お茶やお水でなくジュースが多い生活だと、お子さんも似てくる結果、虫歯が増えてきます。

小さいお子さんの場合だと、もともと生まれ持った歯が弱さより、良くない生活習慣によるものの方が、より口腔の状態を悪化させます。

2)虫歯菌の性質

虫歯菌は家族内で伝播する(伝わる)と言われています。

お子さんに伝わる約半分が母親から、20~30%が父親からと言われています。

菌の種類や組み合わせによっても、虫歯になりやすい部位などが変わっていくと言われています。

 

親子ですから似てくるものは多いのですが、環境の因子が多く、ある程度自分でコントロールできます。

 

その証拠に、オーストラリアでは、先住民族のアボリジニの方々は砂糖の無い、原始的な生活をしている時代はほぼ虫歯がありませんでした。

しかし、西洋式生活と砂糖の入った食生活になってからは、虫歯が非常に増えたという歴史があります。

つまり、遺伝よりも環境の方が虫歯への影響力が大きいということですね。

 

以上の理由から、

絶対に虫歯にならないとは言い切れませんが、虫歯になりにくい環境を作ることができます。

ご自分やお子さんのリスクを把握しながら、そういった生活を目指していくことをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?

  • 遺伝するものには、歯の性質、噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質、唾液の性質などがある。
  • 遺伝しないが、家族間で似てくるものには、生活環境、虫歯菌の性質などがあげられる。
  • 虫歯への影響は、遺伝よりも環境の因子が強い。
  • 従って自分のリスクを把握できれば、虫歯にならない生活を逆算できるので、それを目指しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

0827-32-7506

24時間WEB予約

医院住所
〒740-0034
山口県岩国市南岩国町2-78-36

このページのトップへ