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乳児の虫歯予防のポイントは?歯磨きは何歳からがんばればいいの?

2019年6月6日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦和則です。

虫歯予防は生涯にわたって必要なことですが、今回は特に低年齢の虫歯予防について話を進めて行ってみようと思います。
第一回の今回は、乳幼児期についてです。

年齢別虫歯の予防方法について

乳児(0歳児)期

歯みがきより食生活が大事

この時期は、歯磨きよりもフッ素や食生活管理のほうが、確かな予防効果があります
授乳、卒乳の影響も大きいとされています。
卒乳が遅いと虫歯になりやすいということが、疫学的に分かっています。

食生活管理がちゃんとできていれば、この時期に虫歯になることはあまりありません。

ですから、この時期の歯磨きは「習慣づけ」の側面が大きいと言えます。

保護者の方が、赤ちゃんの口に指を入れて、お口の中をしっかり見ることが出来るよう、慣らしてあげましょう。

「どうしても泣いてしまって難しい」と言う場合は、歯磨きシートで代用することも可能ですが、少しずつ歯磨きトレーニングは始めて行きましょう。

また、低濃度フッ素の活用も効果的です。
赤ちゃん用のフッ素スプレーやジェルもありますので、ご興味がおありの方はお試しください。

離乳食が始まると、ミルクの飲ませ方が大事になる

虫歯というのは、お口の中の細菌の作用によって、「歯が溶ける」ということです。

母乳には乳糖という、糖の一種が含まれていますが、母乳の乳糖濃度のみでは虫歯はできないと言われています。
野生の動物の赤ちゃんが、母乳で虫歯にならないのと同じですね。

ただ、離乳食が始まれば話は別です。

離乳食に含まれる糖分と母乳の糖分が合わせ技で、虫歯をつくってしまうことは、珍しくありません。

母乳はお母さんと赤ちゃんの大切なスキンシップです。
しかし、離乳食が始まったあとは「だらだら飲み」になりやすく、特に、夜間授乳は非常に虫歯のリスクを高くしてしまうことで知られています。

また、1歳半を超えての夜間授乳は、歯科医師としては
「難しいのは承知ですが、それでも、できれば避けてください」と申し上げたいところです。

遅くなれば遅くなるほど、虫歯のリスクが上がってしまいます。
そして、4歳未満で虫歯を作ってしまうと、生涯を通して虫歯リスクが(乳歯が永久歯に生えかわった後も)高いままであることが、研究で分かっています。

でも、今日からすぐに卒乳は無理ですよね。
そんな時は、「歯を強くする、虫歯ができにくい環境をつくる」ということが、重要だと思います。

具体的には2つです。

  • 赤ちゃん用のフッ素を使う
  • 食事やおやつ、飲み物からの砂糖の量に気を配ること

ぜひお試しください。

1歳半~2歳

歯みがきトレーニングをしましょう

お口の中には前歯と横の歯あわせて16本程度の乳歯が生えてくる時期になります。
1歳半~2歳にかけての虫歯は上の前歯がほとんどです。
歯磨きに慣れながら虫歯予防をすすめていきましょう。

虫歯菌は、常在菌といって、お口のなかに定着している菌のひとつです。
3歳までに80%のお子さんで虫歯菌の定着がおこってしまいます。
虫歯菌の定着は遅いほうが虫歯予防には有利なので、保護者の方とお子様が1本のスプーンを共有して、お食事されるようなことは、避けた方が良いでしょう。

参考:院長ブログ こどもの虫歯菌はどこから来るの?

この時期も、まだ歯磨き(仕上げ磨き)より飲食習慣の管理の方が重要であるとされています。
お兄ちゃん、お姉ちゃんが甘いおやつを既に食べる時期になっていて、1~2歳の下のお子様が、上のお子様のおやつを欲しがるようになり、低年齢でアイスやチョコや飴を口にし始める…というケースもありますので、要注意です。

参考:末っ子は虫歯が多い!? 兄弟がいるお子様にありがちな虫歯のできる理由

この時期に市販のお砂糖たっぷりのオヤツを食べると、あっという間に虫歯になってしまいます。
「おやつは上のお子様が、下のお子様に合わせる」ようにすると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 低年齢では、歯磨きより食生活管理が大事
  • 離乳食が始まると、夜間授乳による虫歯リスクが高くなります
  • 赤ちゃんと保護者の方のスプーンは分けましょう

次回は、3歳以上のお子様の虫歯予防について、お話していく予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

フッ素入りの歯みがき粉や洗口剤などについて

2019年5月17日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
そろそろ企業や学校の歯科健診のシーズンですね。

今回はむし歯予防のための、フッ素についてお話していきます。

フッ素について

フッ素といえば、テレビCMなどでも、虫歯予防の代名詞のように言われていますね。

 

実際、フッ素は虫歯予防に対して、しっかりとした効果が得られることが明らかになっています。

参考 ドクターズブログ:フッ素は危険?3歳~6歳ぐらいの子どものフッ素についての話

フッ素が歯を丈夫にするメカニズム

フッ素の作用としては、歯の表面構造を丈夫で安定なフルオロアパタイトという構造に変化させて溶けにくい歯、虫歯に強い歯にするというものです。

 

虫歯を予防するという点からすると、欠かせない存在であることは確かです。
フッ素は食品にも含まれており、紅茶などにも含まれています。

参考 院長ブログ:お母さんが妊娠中に赤ちゃんの歯を丈夫にできる食べ物とは?

歯みがき粉とフッ素

フッ素はほとんどの歯磨き粉に配合されています。

市販品の約9割がフッ素配合みたいです。

逆に、フッ素入りではない歯磨き粉を探す方が困難なようです。

高濃度フッ素含有の歯みがき粉について

フッ素濃度が950ppm程度である歯磨き粉がほとんどでしたが、最近では高濃度フッ素と言われる1450ppm程度まで認可されました。

濃度が高い方が虫歯の予防効果は高いです。
しかし、注意も必要です。

高濃度のフッ素による副作用リスクもあるため、6歳未満のお子さまへは使用させない、また、保管も6歳未満のお子さんの手の届かないところにするように、厚生労働省より各歯科医院に通知が来ています。

小さなお子様がいるご家庭では、注意してご使用ください。

 

歯みがき後うがいをするとフッ素が洗い流されます。

フッ素入りであることを意識するのであれば、歯磨き後のうがいはほどほどにして、お口の中にフッ素が残る方が効果的です。

もっと確実な方法として、歯磨き後普通にしっかりうがいをして、唾液の分泌の少ない寝る前にフッ素入りのジェル歯に塗って寝るという方法もおススメです。

歯科医院でのフッ素塗布と自宅でのフッ素を併用しても大丈夫なの?

作用機序が違うので、併用して問題ありません。

歯科医院で使用しているフッ素の濃度は9000ppmです。

毎日ご自宅でフッ素で虫歯予防をして、あとは定期的に歯科医院で高濃度のフッ素を用いて予防を行っていくのがベストではないかと思います。

フッ素入りの洗口剤について

他にも洗口剤と言ったうがい薬のようなものによるフッ素の応用もオススメです。

 

洗口剤は歯磨き粉やフッ素入りジェルよりも細かい部分にフッ素が入り込んで虫歯を予防してくれるので、予防効果が高いです。

つぼい歯科クリニックではミラノールという洗口剤をおすすめしています。

就寝前にうがいをします。

お口の中にフッ素が残っている状態において、歯の表面構造が変化していきます。

先ほどの歯磨きの後のうがいもそうですが、お口の中にフッ素が残っているということが重要なんです。

寝る前洗口剤でうがいをして、そのまま寝るというのは理にかなっているように思います。

 

年齢やお口の中の状態によっても、より良いフッ素の使い方が異なりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

  • フッ素とは歯の表面に作用し、歯を丈夫にします。
  • 高含有量のフッ素入り歯磨き粉が発売されましたが、6歳未満のお子さまのいるご家庭では注意が必要です。
  • フッ素はお口の中に長時間残っていることが大事なので、寝る前にフッ素入り洗口剤の使用がおススメです。

歯周病は骨が溶けている!?自宅でできる治療法とは

2019年3月3日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
前回の虫歯のはなしに続いて、今回は歯周病をテーマにお話ししていきたいと思います。

歯周病ってよく聞くけど、結局どんな病気なの?

みなさんは歯周病をご存知ですか?
「テレビの歯みがき粉のCMで聞いたことあるよ」という方もいれば、
「知らないなぁ」という方もいらっしゃるかと思います。

歯周病=骨が溶けている

歯周病って歯を支えている骨が溶けてきているってことなんです。
こう聞くと、「ちょっと怖いな」と思った方もおられるかもしれませんね。

骨は溶けていないけど、歯の周りに炎症があって、歯ぐきが腫れている状態を歯肉炎と言います。
歯磨きしてて血が出る時は、歯肉炎かもしれません。

歯周病が悪化すると歯が抜けることも…

歯の周りの骨が溶けてくると、歯がグラグラしてきたり、ひどくなると歯を抜かないとならないケースも出てきます。

歯を抜かなくてはならない原因としては、40代以上では虫歯よりも歯周病の方が多いそうです。
歯の土台が弱っていく歯周病って怖いですね。。。

歯周病の原因とは

歯周病ってなんで起こるかって言いますと、歯の周りの汚れ(プラーク)が原因なんです。
歯の周りには溝があって(歯周ポケット)、そこに汚れが溜まりやすくなります。

歯の周りの汚れは細菌の集まりです。

虫歯は細菌が口の中の糖から酸を作って、歯を溶かします。
一方、歯周病は、細菌に対して自分のカラダを守ろうとする反応として炎症が起こります。
この炎症反応により、自分の骨が溶けちゃうんです。

骨が溶けてしまうと、歯の周りの溝の深さもさらに深くなっていきます。
そして、さらに汚れも取りにくくなる…と、悪循環に陥ってしまいます。

自宅でできる歯周病の治療法とは?

歯周病で骨が溶けてしまっていて歯の周りの溝が深くても、口腔ケアをがんばって歯ぐきが引き締まっていくと、溝の深さは浅くなり、汚れも溜まりにくくなります。
汚れが溜まりにくくなった状態で、口腔ケアをがんばっていると、次第に炎症も改善してきます。

具体的には何をしたら良いの?

では歯周病の症状を改善したり、歯肉炎から歯周病に進まないようにしたりするためには、何をしたら良いのでしょうか?

①自分にあった口腔ケアグッズを選ぶ

口腔ケアグッズには歯ブラシやフロス、歯間ブラシ、歯磨き粉、フッ素入りジェル、うがい薬、タブレットなど今は非常にたくさんの種類があります。
そしてそれぞれにたくさんの種類の商品があります。

色々試してみて、ご自分に合ったものを探すというのも一つの手ですが、
「たくさんありすぎてよくわからない。」
「良い商品のように思うけど、自分に合っているかどうかわからない」
という方もいらっしゃるかと思います。

歯みがきの癖、口の中の状態、年齢、ライフスタイル、体の状態によって、ご自分に合った口腔ケアグッズは変わります。

自分に合ったものがどんなものを知るためにも、歯科医院に定期検診で受診することをおススメします。

歯科医師や歯科衛生士がお口の状態やライフスタイルをチェックして、あなたに合った口腔ケアグッズの選び方や使い方のご相談に乗ります。

②口腔ケアグッズを正しく使う

日本人の大部分の方が毎日歯みがきをしているにもかかわらず、虫歯の方も歯周病の方もとても多いです。

実は、歯みがきや口腔ケアを「ちゃんと正しく行う」ことは、とっても難しいんです。

子どもの頃から毎日していることなので、簡単に感じている人もいるかもしれませんが、もし簡単なら、多くの人がこんなに虫歯や歯周病には罹っていないはずです。

自宅で取り切れない分は歯科医院でプロケアを行うのがおススメ

歯科医院で歯石を取り除きましょう

歯の汚れ、歯垢(プラーク)は細菌の塊ですが、その細菌の死骸が硬くなったものが歯石です。
歯石になってしまうと、ご自宅の歯みがきでは取り除くことができなくなります。

また、歯石は毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こし、骨が溶けてしまう歯周病の原因となります。歯石を除去すると、歯ぐきの炎症も改善します。

ご自宅で毎日の口腔ケアを行うとともに、定期的に歯科医院で検診を受けて、虫歯や歯周病のチェック、ご自分にあった口腔ケアの方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯周病は骨が溶けている怖い病気です。
  • 歯周病を自宅で治すためには、自分に合った口腔ケアグッズと正しい使い方を知ることが大切です。
  • 歯石の除去は歯科医院でしかできないので、口腔ケア方法と歯石除去のために、定期検診に受診されることをおススメします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「虫歯=歯が溶けている」ってご存知ですか?

2019年2月1日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

あなたは虫歯と聞くと何を思い浮かべますか?

虫歯になると歯に穴が開いてしまったり、痛くなってしまうイメージでしょうか?

そもそも虫歯ってどんなものなの?

虫歯を大まかに言うと、お口の中の細菌の作用によって歯が溶けるということです。

「虫歯は感染症」という言葉をお聞きになったことがある人もいるかもしれません。

 

歯を溶かす代表的な細菌としてミュータンス菌があげられます。

「ミュータンス菌という名前を聞いたことがある!」という人も多いのではないかと思います。

 

そうなんです。虫歯って歯が溶けているんです。

開いた穴は自然には埋まりません。

だから虫歯って自然には治らないんです。

ミュータンス菌が口の中にあるだけで虫歯になってしまうの?

細菌が歯をとかすには砂糖が必要です。

「キシリトールが歯に良い」とよく言われているのは、ミュータンス菌がキシリトールからは上手に歯を溶かす物質を作れないので、結果として、歯を溶かすことがなく虫歯にならないといった感じです。

生活の中で砂糖を取らないで生きていくのは無理なのでは…

しかし、生活の中で砂糖を全くとらないというのも無理がある話ですよね。

食事をすると歯が溶け始めます。(これを脱灰:『だっかい』と言います)
しかし、溶けてもある程度戻ります。(これを再石灰化『さいせっかいか』と言います)

実は、歯は溶けても、ある程度は元に戻る可能性があります。

この状態を初期う蝕(しょきうしょく)と言って、フッ素の活用や自宅でのお口のケアなどで、再石灰化優位な状態を保てたら、虫歯が進行していきません。

虫歯あるある、その1 「ショック!表面からは大きな虫歯に見えないのに、歯の中で大きな虫歯に広がっていた!」

歯は、表面からエナメル質、象牙質、歯髄(いわゆる神経ですね)と言った順になっています。

エナメル質は歯の表面にあるだけあって、象牙質と比べると虫歯に対しても強いです。(溶けにくい)

「歯の表面に少し黒いとこがあるなぁ」と思っていたら、実は歯の中にゴッポリ大穴があいているということも…。

 

虫歯が進行していくとエナメル質を溶かし、象牙質まで到達します。

エナメル質よりも象牙質の方が溶けやすいので、歯の中で大きく虫歯が広がってしまうことがあります。

中で虫歯が広がるなんて厄介ですよね。

歯と歯の間も、中で広がるという点では同じような感じです。

虫歯あるある、その2「しみるから知覚過敏だと思っていたら、虫歯だった…」

虫歯が進んでいくと神経近くまで溶けていきます。

象牙質に刺激が伝わると、しみたり神経の反応が起こります。

 

虫歯でしみたりする場合は、すでに象牙質まで虫歯が進行している可能性が高いかもしれません。

また、虫歯でしみているなら虫歯は大きいかもしれません。

 

しかし、しみるからといって、必ずしもむし歯ではないケースもあります。

知覚過敏や歯ブラシでゴシゴシこする人は、虫歯でなくても歯がしみることもあります。

虫歯あるある、その3「虫歯をほっておいたら、ズキズキした痛みが出てきた」

さらに進行して神経まで虫歯が影響を及ぼすと、ズキズキ痛むこともあります。
虫歯で歯に穴が開いてしまっていたら、さらに治療も大変になります。

神経の治療は、歯科医院で「長く治療がかかる治療ナンバー1」です。
患者さんも通うのが大変、治療する歯科医師もとても大変です。

虫歯を作らない・早めに治療することが、通院回数も痛みもかかるお金も少なく、歯も失わない方法です。

まずは定期的に虫歯のチェックにぜひいらしてください。

もしむし歯ができてしまっても、早めに見つけて、小さいうちに一緒に治してしまいましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 虫歯は、細菌と砂糖によって、歯を溶かされている状態です。
  • 一見小さなむし歯でも、歯の中で大きく広がっていることもあります。
  • 虫歯が進行すると、しみたり、ズキズキした痛みが出てくることがあります。
  • 検診で早めのチェックをして、通院回数も痛みもかかるお金も少ない予防を一緒に行いましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

3歳~6歳ぐらいの子どものおやつの話

2018年10月26日

こんにちは!つぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。

10月31日はハロウインです。
最近はだいぶ定着してきましたね。

個人的にはおやつを配る社会習慣は、どうかと思っているのですが、文化として定着しつつある以上、皆さんにもおやつの食べ方やそれらの個別の虫歯のリスクを知っていただきたく思い、今回のブログのテーマにしました。

今回は一般的な内容で、個別の口腔内状況等に当てはまらない人もいます。
歯科医院に定期的にメインテナンスで通院されている方は、かかりつけの歯科医院の指導内容を一番の参考にしてください。

最もだいじなこと、それはわが家の「おやつルール」を作ること

虫歯を作らない基本は、虫歯菌が酸を出す機会を減らすことです。
それには、おやつのあげ方が重要です。

具体的には、次のようなことに気を付けましょう。

 おやつの時間を決める

時間を決めずにだらだらとおやつを与えてしまうと、口の中に常に食べ物があるので、虫歯菌が酸を作りやすい環境になってしまいます。リスクが少ない、大事なご飯が食べられないことにもつながりますので、おやつは時間を決めましょう。
特に唾液が減る夜は食べないようにしましょう。

楽しみのための飲み物と、水分補給のための飲み物を分ける

甘い乳酸飲料、炭酸飲料はもちろんのこと、清涼飲料水や普通の100%ジュースにも糖分がたくさん含まれています。
普段の水分補給はお茶や水を中心にしましょう。

食後のケア

おやつ後には歯磨きをするのがベストですが、難しければ、せめてお茶で口をゆすぐようにしましょう。

おやつ危険度分類

おやつルールでも書きましたが、飲食をすると口の中が酸性になります。
酸性のお口の中で虫歯菌が糖分と出会うと、歯の表面でさらに酸が出され、虫歯の原因になります。

ではここで、クイズです!
虫歯になりにくいおやつとは、なんでしょう?

 

そうです!
糖分が少なく口の中に残る時間が短い、歯にくっつきにくいおやつということです。

以下、『虫歯のなりやすさ=危険度』として、★分類していきます。

1)虫歯に要注意! 危険度MAX:★★★★★ のおやつ

アメ・ガム・キャラメル・グミ 乳酸飲料(ヨーグルトドリンク・ヤクルト・カルピスなど)、炭酸飲料など

<キケンポイント>

  • 糖分がとても高い。
  • 口の中に長い間ある(アメ)
  • 歯にくっつきやすい(キャラメル)

これらのおやつは、子ども大好きだけど虫歯菌の大好物です。
また、酸をベースにし、爽やかさを出した乳酸、炭酸飲料はリスク大です。

2)虫歯注意! 危険度高:★★★★☆ のおやつ

チョコレート・ドーナツ・クッキー・和菓子・ケーキ・マカロンなどのお菓子

<キケンポイント>
糖分が多く口の中に残りやすい

個人的には、チョコレート>ドーナッツ>クッキー>和菓子>ケーキ>マカロンの順で歯にくっつきやすいように思います。
食べた後は、うがいや歯磨き、殺菌成分の含まれる緑茶などをコップ1杯飲む事で、虫歯になるリスクを減らせます。

3)油断大敵! 危険度中:★★★☆☆ のおやつ

プリン・ゼリー・バニラアイスなど

<キケンポイント>
アイスに関しては、チョコチップやクッキーが入っていたりすると危険度アップ!

食べてすぐにうがいやコップ1杯のお茶、お水を飲んで糖分を流せば、より効果的!

4)意外と虫歯になりにくい! 危険度低:★★☆☆☆のうれしいおやつ

おせんべい・クラッカー・スナック菓子、おしゃぶり昆布やするめなど

<うれしいポイント>
甘みが少なくてサクサクとすぐに砕け、簡単に飲み込める。
中でも、硬くて歯ごたえのあるおせんべいや昆布、するめなどは、よく噛むことで唾液(殺菌成分があります)の分泌を促し、満腹感もでます。

5)虫歯にならないおやつ! 危険度なし:★☆☆☆☆の安全なおやつ

砂糖を使わず、甘味料としてキシリトールを100%使っているものです。

例えば、キシリトールガム(トクホ・特定保健用食品)、キシリトール100%のタブレットやチョコレートなどがあります。
これらは食後の虫歯予防にもお勧めですし、最近商品も増えてきています。

チェックポイントとしては、キシリトール配合と記載されているけど、実は砂糖が入っている商品でないかどうか(還元水あめは大丈夫です)。

1回や2回、楽しみでケーキなどたべたらすぐに虫歯になる、ということはありませんが、何事も習慣とそのバランスです。
メリハリをつけていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • まずはおやつルールを作り、食べる時間や内容を決めましょう。
  • おやつは『糖分が少ない』『口の中に残る時間が短い』『歯にくっつきにくい』というポイントで選びましょう。

5歳から6歳児の熱中症対策としての飲み物について

2018年7月28日

こんにちは!岩国市のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

あまりにも暑い日が続きますね。みなさまはいかがお過ごしですか?こんな中でも、先日の豪雨災害の後片付けや、お子さんの体を動かす習い事など、暑い中で作業や運動を行い、大量の汗をかいている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本日はたくさん汗をかく時期の飲み物について歯科医師の立場からお話していきたいと思います。

歯とスポーツドリンクについて

脱水を予防するには塩分も必要

汗をかくと、体内の水分と一緒に塩分が失われます。
水分と塩分の両方が過度に減少すると、いわゆる脱水症状になってしまいます。
汗をかく季節の水分補給は、通常の水分補給とは異なり、意識して塩分の補給もしなくてはいけません。
そのため、学校などではスポーツドリンクなどが推奨される場合があります。

スポーツドリンクに含まれる砂糖の量は角砂糖11個分!?

しかし、そのスポーツドリンク、虫歯の原因となるため飲みすぎは危険です。
スポーツドリンクには、確かに熱中症に有効なミネラル(主にナトリウム)が多くふくまれます。

一方で、糖分を見ると、砂糖や果糖ぶどう糖液糖、甘味料(スクロース)などが記載されています。
ポカリスエットの糖分は、500ml(ペットボトル)中で33.5g。
角砂糖(3g)の約11個分です。

この量は、風邪における栄養補給としては適量ですが、ふだんの飲料としてはとっても多めです。
スポーツドリンクは薬として捉えて飲むぐらいの意識が必要です。
飲んだ後には少し水やお茶なども飲み、お口から洗い流すなど工夫しましょう。

歯と炭酸飲料について

炭酸飲料もむし歯のリスクが高い飲み物です。
炭酸飲料は水とは違う喉での動きがあるようで、炭酸ガスと酸性度によるのど越し(定義があいまいです)と、糖分によるリラックス効果が美味しさの秘訣なようです。

実際、この『のど越し』というのは最近の飲料ではキーワードで、最近のノンアルコールビールは酸性度を高くして、さわやかさを演出しているようです。

炭酸飲料の酸性度は歯によくない

この酸性度も歯にとっては危険です。
pH7で中性、7以下になればなるほど酸性になります。
人間の歯はpH5.5を下回ると溶けだします。
上にあげたスポーツドリンクのpHは3-4、炭酸飲料はpH2付近なので、簡単に歯が溶けます。
酸性+砂糖で、虫歯リスクは大変高いものになります。

歯にとって良い水分補給のできる飲料とは?

では、結局どうしたらいいのでしょうか。
まず、熱中症には、ナトリウムの摂取を意識したほうが良いようです。
麦茶にも大目のナトリウムが入っており、砂糖0、pHにも問題なく、歯科医としては最もおすすめです。

ただし、厚生省の発表している熱中症予防でとるべき塩分量(50mgを30分-1時間ごとに摂取)をとるためには、500ml(ペットボトル1本)とる必要があります。
一方のスポーツドリンクでは、ナトリウム、砂糖も濃すぎるくらい入っているので、一口ぐらいで十分だと言えます。

歯にとって良く、熱中症予防にもなる塩麦茶

今回いろいろ調べたところ、虫歯にならないお子様の熱中症対策として最も良いのは、麦茶1リットルに塩一つまみ(2g)ぐらいの塩麦茶です。

どうしてもスポーツドリンクにしたい場合、スポーツドリンクを水で2-3倍ぐらいに薄めて下さい
炭酸飲料が飲みたい場合には、砂糖や風味も何も添加されていない、ただの炭酸水、これは歯科医師として推奨できます。
少しだけpHは低いのですが(pH5付近)、砂糖が入ってないので、虫歯にはなりません。

日々の飲み物、これはかなり歯にも影響があります。
体にも、歯にも、バランスが大事です。
理解した上で、上手に水分補給をすることをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?

  • 汗をかくと、体内の水分と一緒に塩分が失われ脱水症状になることがあります。
  • 学校などではスポーツドリンクが推奨されることがありますが、歯には良くないです。
  • ジュースを飲んだ直後に水を飲む、お茶にほんの少し塩を加えた自家製の予防ドリンクを作るなど工夫をすることがおススメです。
  • 日々の飲み物は歯にもかなりの影響があり、体にも、歯にも、バランスが大事です。
    工夫して上手に暑い季節を乗り切りましょう!

ご質問等があればお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

キシリトールガムが危険ってホント?

2018年7月14日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今日はキシリトールガムの話題です。

 

キシリトールってすごいですよね、甘いのに虫歯を作らないなんて!

皆さんはキシリトールと聞くと、何を連想されますか?

ネットではキシリトールの危険性について調べていらっしゃる方が多いようです。

今回はキシリトールとはそもそもどんな物質で、危険性の噂が本当かどうかについてお話していきます。

キシリトールってそもそも何?

キシリトールとは、糖アルコールと呼ばれる物質の一つです。

簡単に言うと糖に近い分子構造を持っているので甘く感じるけれど、虫歯菌が消化出来ず、人間も消化しにくい甘味料です。

危険性は無いのですが、消化に悪いものを一度にたくさん食べると、下痢を起こしやすくなります。

キシリトールガムやキシリトールのど飴などに「一度にたくさん食べると、お腹が緩くなることがあります」と書いてあるのは、この理由からです。

 

糖アルコールは人間も消化しにくい甘味料なので、虫歯予防の他にダイエットや糖尿病の方の食べられる甘味料としても利用されています。ドラッグストアなどで売られているエリスリトールなども、糖アルコールです。
エリスリトールはキシリトールと比べて下痢を起こしにくいため、家庭用の代用糖として袋売りできるんですね。

 

キシリトールを「天然素材」「天然由来甘味料」と解説されているウェブサイトをたまに見かけますが、天然にあるものを抽出して売られているわけではありません。白樺やトウモロコシの芯を原料にキシランという成分を抽出し、それを加工することでキシリトールが作られます。キシリトールは非常に安全性が高く、摂取上限も特にありません。

分類で言うと、「糖質系甘味料」の仲間です。

人工甘味料は危険!?

さて、太らない・虫歯にならない・糖尿病の方も安心というキシリトールですが、どうして「危険」説があるのでしょうか?

 

これは憶測になるのですが、人工甘味料にまつわるいくつかのエピソードが関係していると思っています。

キシリトールは人工甘味料の分類ではなく、糖質系甘味料の一種ですが、人工的に加工された甘味料ですので、混同されているのですね。

「人工甘味料」と聞いて「健康的!子どもに食べさせたい!」というイメージ、…あんまりないですよね。

 

これは「サッカリン」「アスパルテーム」という、物議をかもしたことがある人工甘味料によって、人工甘味料全体のイメージが悪くなってしまったことによるかと思います。

 

サッカリン…1960年代以前に、代用糖と言えばコレ!というくらいに人気があった人工甘味料。

1960年代に発がん性があるというセンセーショナルな実験結果が出て、大騒ぎになりました。日本では1973年に食品への使用が禁止されました。

 

アスパルテーム…ペットボトル飲料や市販のお菓子に現在でもよく使用されています。

コーヒーシュガーとしても良く使用され、家庭用では「パルスウィート」という商品名等で袋売りされています。

フェニルアラニンとアスパラギン酸というアミノ酸からできている人工甘味料で、発がん性は現在のところ確認されていません。
一方で、自然な食事では起こりえない、単一のアミノ酸を特別に多く摂取する生活を長期間続けることへの懸念は、今でも払拭されていません(安全だ、という論文もたくさんあります)。

 

この二つの人工甘味料はあちこちで批判されましたので、人工甘味料や代用糖そのもののイメージを大きく損なう原因となりました。
しかし、人工甘味料や代用糖そのものが悪いというわけでは無く、安全な物を選んで使用することは賢い選択だと思います。

出典:https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm

 

その他の代用糖(特に手軽に入手できるもの)

還元水飴…糖アルコールの一種。虫歯を作らない。市販のキシリトールガムやノンシュガー飴によく使われている。糖アルコールなので虫歯を作らず低カロリー。

 

羅漢果(らかんか)…ウリ科の植物の実を乾燥させたもの。100%羅漢果粉末はなかなかお目にかかれませんが、エリスリトールとブレンドしたものがドラッグストアで売られています(商品名:ラカントなど)

 

マルチトール…これも糖アルコールの一種です。

スクラロース…安全性の高い人工甘味料と言われていて、よくお菓子や清涼飲料水に含まれています。

 

また、これらの人工甘味料の原材料が気になるという意見もよくあります。

ただ、個人的な意見では、原材料の問題は人工甘味料だけに言えることではなく、市販の加工食品やおかし、パンなど全般的に言えることだと思います。市販のお菓子やパンやジュースをお子さまに与える場合、同じように原材料の問題は発生します。

もちろん、「砂糖=悪」ではない!

カロリーが高いというのは言い換えると栄養価が高いということですし、虫歯になりやすい一方で消化によく、お砂糖がすなわち悪、というわけではありません。

取り方さえ間違えなければ、問題ありません。
歯科に関係することでは、歯にやさしいお砂糖の摂り方は、だらだらとお砂糖の入ったお菓子やジュースを飲んだり食べたりせず、時間を決めて食べる。
食べた後は歯みがきするなどです。

大切なのことは、メリット・デメリットを理解した上で選んだり、上手に組み合わせることだと思います。

まとめ

  • キシリトールもキシリトールガムも安全であるが、一度にたくさん食べるとお腹が緩くなることがある。
  • 甘味料にはたくさんの種類があり、虫歯になりにくいもの、カロリーが少ないものなどもある。
  • お砂糖と甘味料を、上手に使い分けましょう!

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歯の強さは遺伝するの?

2018年6月28日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

季節も変わり、暑い日も増えてきましたね。
ジュースやアイスクリームに誘惑される季節ですが、気をつけてくださいね。

最近質問をお受けしたものの中に、以下のものがありました。

Q「うちの子は歯が弱いんです。気にしていない家庭もあるのにどうして?

私も歯が弱いので遺伝でしょうか?」

 

Aお答えとしては、一部は遺伝であり、一部は遺伝でないものがあります。

 

今回は歯の強さと遺伝というテーマでお話していきます。

 

具体的にどんなものがあるのか解説していきます。

遺伝するもの

1)歯の性質

実際に歯の性質が強い方は存在します。

しかし実際に診療室でお見かけするのは、親子で歯の弱い方で、その方たちのほうが遺伝要素が強いです。
エナメル質や象牙質の厚さや質、こういったものが遺伝しています。

2)噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質

あごの大きさや歯の大きさは遺伝要素が強いため、結果的に歯並びやかみ合わせはかなり似てきます。
また、鼻炎などがあると、お口での呼吸(口呼吸)となり、口の中が乾燥しやすくなることで、虫歯にになりやすくなる原因となります。

3)唾液の性質

唾液の性質は年齢で変化していく部分が大きいのですが、遺伝も多少関係ありそうです。
唾液の量が少なく、さらに粘ついていると唾液の自浄作用(何もしなくても歯の清潔が保たれるという作用)が減り、虫歯になりやすくなります。

遺伝ではないもの(家庭環境によるもの)

1)生活環境

一緒に生活している以上、食べ物の好みや選択は、家庭によって大きく異なり、また家族で似てきます。

ご両親が飴などをよく食べる、間食が多い、お茶やお水でなくジュースが多い生活だと、お子さんも似てくる結果、虫歯が増えてきます。

小さいお子さんの場合だと、もともと生まれ持った歯が弱さより、良くない生活習慣によるものの方が、より口腔の状態を悪化させます。

2)虫歯菌の性質

虫歯菌は家族内で伝播する(伝わる)と言われています。

お子さんに伝わる約半分が母親から、20~30%が父親からと言われています。

菌の種類や組み合わせによっても、虫歯になりやすい部位などが変わっていくと言われています。

 

親子ですから似てくるものは多いのですが、環境の因子が多く、ある程度自分でコントロールできます。

 

その証拠に、オーストラリアでは、先住民族のアボリジニの方々は砂糖の無い、原始的な生活をしている時代はほぼ虫歯がありませんでした。

しかし、西洋式生活と砂糖の入った食生活になってからは、虫歯が非常に増えたという歴史があります。

つまり、遺伝よりも環境の方が虫歯への影響力が大きいということですね。

 

以上の理由から、

絶対に虫歯にならないとは言い切れませんが、虫歯になりにくい環境を作ることができます。

ご自分やお子さんのリスクを把握しながら、そういった生活を目指していくことをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?

  • 遺伝するものには、歯の性質、噛み合わせ、歯並び、鼻炎などの体質、唾液の性質などがある。
  • 遺伝しないが、家族間で似てくるものには、生活環境、虫歯菌の性質などがあげられる。
  • 虫歯への影響は、遺伝よりも環境の因子が強い。
  • 従って自分のリスクを把握できれば、虫歯にならない生活を逆算できるので、それを目指しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

口腔崩壊とは?学校歯科検診結果で治療が必要な子どもの半数が受診していない日テレの報道について

2018年6月8日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

6月7日の日テレニュース24で、『学校歯科健診で治療が必要と判断された子どものうち半数以上が、その後歯科に通っていなかった』という報道がありました。

歯科医としては、とても残念なニュースです。

原因としては、歯科医院に通院する時間を捻出することができなかったり、医療費を捻出することができないなど、ご家庭のやむを得ない状況が反映されているものと思われます。
また、部活や習い事などでお子さん本人がお忙しい場合もあるかと思います。

大人の方の場合、日本のほとんどの地方自治体で節目検診として歯科健診を無料で受けることができます。
関連記事 歯科の妊婦健診やおとなの歯科健診ってなんのためにあるの?
しかし、無料の歯科健診を受けられる方は全体の4.3パーセント程度( 平成27年の推定)と言われています。
無料でも、痛みがないのに歯の健診に時間の割くことが難しい社会人の方が多いのではないかと思います。

今回は、口腔崩壊をテーマにお話ししていきたいと思います。

口腔崩壊ってどのような状態?

さて、このニュースでは口腔崩壊という言葉が登場します。

奥歯が虫歯だらけになってしまった、あるいは根っこだけの状態になってしまった場合などで、本来の咬み合わせが分からなくなってしまった状態を、我々歯科の業界では咬合(コウゴウ、咬み合わせ)が崩壊したと言ったり、咬合が喪失した状態と言います。
番組では、これを一般の方に分かりやすく言い換えたのでしょう。

番組では子どもの口腔崩壊をテーマにしていましたが、口腔崩壊は全年齢に当てはまります。

口腔崩壊を起こしてしまったらどんなデメリットがあるの?

治療費がかかる/治療期間が長くかかる

口腔崩壊と言う状態まで行ってしまうと、治すのは大変です。

まず元の噛み合わせの高さが分からなくなっていますので、たくさんの歯を治療しながら、仮歯を使って咬み合わせを戻す治療を行います。
治療する歯の本数が10〜15本の場合、保険診療でも数万円かかってしまうことも珍しくありません。
(歯科の詰め物、被せ物は貴金属を使用していることが多いです。よって保険診療でも被せ物が3割負担でもで5000円程度してしまいます。)
また、治療期間も半年ほどもかかってしまうことも…。

子どもの口腔崩壊のリスクとは?

大人と異なり、子どもは歯が生え変わります。
しかし、乳歯に大きな虫歯ができると、以下のことが起こる可能性があります。

  • 永久歯が変色や変形をしている状態(ターナー歯)で生える。
  • 永久歯の生える方向がズレてしまったり、生えるスペースが失われて歯並びが崩れてしまう。

乳歯は生え変わりますが、永久歯や大人になってからの歯並びに重大な影響を及ぼすのです。

歯科健診、今は痛くないし時間もないし…
けれど、悪くなってからだと時間も費用ももっともっとかかってしまいます。

何より、一度失った歯は2度と戻りません。
時間も費用も歯も、みんなもったいないですよね。

病気を悪化させて痛くなってから治療するより、痛くないうちに検診で悪いところがないかチェックする、あるいは軽微なうちに治してしまうことをおススメします。

まとめ

  • 学校歯科健診の紙をもらっても歯科受診しない子どもの割合が多く、口腔崩壊の一つの原因となっている
  • 大人の場合も自治体の歯科健診を受けている人はまだまだ少ない
  • 口腔崩壊を起こすと、治療費がかさんだり、治療期間が長くなるリスクがある
  • 子どもの口腔崩壊は永久歯や大人になってからの歯並びに悪影響を及ぼすリスクがある
  • 早期発見早期治療がおススメです。

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虫歯はないって思っていたのに、急に激痛が!?

2018年3月2日

神経の入った歯の「おでき」中心結節(ちゅうしんけっせつ)ってなんだろう?

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。

今回は歯の形のバリエーション、中でも歯に生まれつきついている「おでき」のお話です。

歯にはおおよその決まった形があります。しかし、細かい部分ではひとりひとり形が違います。
手相と同じように、溝の位置がちょっと違ったり、大きさが違ったり。

その中で「結節」と呼ばれる、生まれつき歯についている「おでき」があります。

「おでき」といっても腫れたり引っ込んだりするわけではなく、生まれつきそういう形になっている、というものです。

結節の種類

 

  1. 基底結節
    上の前歯の舌側にできる。虫歯になりやすいことがあるので注意。
    中心結節横の歯(小臼歯)の、溝の真ん中にできる。知らずに折れて、時差でとても痛くなることも。
  2. カラベリー結節
    上の6歳臼歯の舌側にできる。あって困ることは別に無い。
  3. 臼傍結節
    上の12歳臼歯や親知らずの頬側にできるおでき。歯磨きがしにくい。
  4. プロスタイリッド
    下の奥歯の頬側にできる。あっても困らない。

たくさん種類ありますね。

「あ~、色んな形の歯があるんだな~」くらいに思ってください。

ほとんどの場合、「おでき」があったとしても特に何も不都合はありません。
あったとしても、ない人と比べて歯磨きが難しくなるとか、虫歯になりやすい程度です。

しかし、一つだけそれだけではすまないものがあります

中心結節 ~知らずに折れて、あとでとても痛くなることがある~

*症例写真は、患者様および保護者の方の許可を頂いています。症例については、解説しやすいようにフィクションも交えています*

小学5年生A君の場合

小学校5年生のA君は、とてもキレイ好きで毎日の歯磨きも頑張っています。

学校検診でも虫歯は指摘されませんでした。
ところが、ある日、歯が急に痛くなりました。

そういえば昼食のとき、何か違和感を感じたような気もします。
その日のうちに、お母さんがすぐに歯科医院に連れて行ってくれましたが、歯科医院に行ったときは痛みが落ち着いていたこともあり、「少し様子をみましょう」というお話になったそうです。

その日と翌日、しみる感じはするものの、そのまま様子をみていました。

しかし2日後、今度はズキズキと夜も寝られない程の痛みになってきたため、翌朝、たまたま予約のとれた当院に急患来院されました。
その時の写真です。

いったい、どこが痛みの原因でしょうか?
写真はご本人の許可を得て掲載しています。
拡大して見てみましょう。矢印の先です。
写真はご本人の許可を得て掲載しています。

小さな穴が開いているのが分かりますでしょうか?
よ~く目をこらしてみて、初めて気づくほどの小ささです。

実は中心結節が折れています

食事中の違和感というのが、たぶん中心結節が折れた瞬間と思われます。
敏感な人は「ポキっ」と折れたのが分かる場合もあるようですが、ほとんどの方が「何もしてないのに(心当たりがないのに)急に痛くなった」とおっしゃいます。

その日のレントゲン写真がこちら。
写真はご本人の許可を得て掲載しています。

赤丸がついているところが中心結節が折れた歯の根っこの先です。
黄色丸のついた反対側の歯の根っこの先と比べて、赤丸の方には影があるのが分かります。

中心結節が折れて、歯の神経が口の中に出てしまった結果、神経の管から根っこの先まで細菌に感染してしまったのです。

写真はご本人の許可を得て掲載しています。

電気的歯髄診(でんきてきしずいしん)という、歯に微弱な電気を流して神経が生きているかどうかを判定する試験でも、神経が既に死んでしまっているという結果が出たので、この歯は 根っこの処置をすることになりました。

後から痛みが出たり、神経を取りましょうという話になりますと「違和感を感じた直後に何かすれば、神経を取ることは避けられたのでは?」と考えてしまう方もいるでしょう。

この症例では、中心結節が折れた直後=根っこまで感染が広がっていない時期はこのようにレントゲンに影が出ていなかったと思われますし、しみると感じていたということは神経は生きていたはずです。

神経の処置をするかどうかを決める電気的歯髄診という検査でも、おそらく多少なり反応があり「神経を温存できる可能性がある」として様子見するしかなかったと思います。

折れた中心結節の中に神経が見えている(出血している)わけでないなら、折れた衝撃で違和感がしばらくあるものの、落ち着くこともあります。

もちろん、今回のケースのように目で見えないほどの小さな穴で神経が口の中に露出して、後で痛みがでることもあります。

中心結節が折れるのは、予防できないの?

折れてしまったあとに出来ることは、症状が出るなら神経の処置、症状が出なければ様子見…程度ですが、実は最初から「中心結節が折れないように予防」することはできます

出典https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd1963/34/4/34_842/_pdf

黄色の丸で囲んだ部分が中心結節です。
まだ乳歯が上にあって、中心結節の生えた永久歯は生えていません。
歯はレントゲンに写りますので、中心結節も生える前からレントゲンで確認することができます。

そして、中心結節が折れるタイミング…これは歯が生えてきて、お向かいの歯と噛むようになってから。

つまり、6~8歳くらいの時期にレントゲン撮影をしたら、まだ生えていない小臼歯に中心結節がないかあらかじめチェックしておき、生え変わりのタイミングに歯科医院で予防処置を受ければ良いのです。

中心結節が折れないようにする予防処置って?

とてもシンプルな方法で「少しずつ中心結節を削る」という方法を取ります。

生えたばかりの歯は、とても生命力に満ちていて「中心結節をわずかに削られる」という刺激を受けると、中心結節の中の神経が歯の質(二次象牙質)を作って逃げてくれます。

上下の歯が噛み合うほど生える前に、少しづつ中心結節を削っていき、最終的に結節をほぼ削り取ってしまうのです。
だいたい、1年半~2年ほどかけて、ゆっくり少しずつ、歯の中の神経が逃げてくれる速度に合わせて削っていきます。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯の形には色々なバリエーションがある
  • バリエーションの一つである「中心結節」は、折れると大変
  • 中心結節が無いか、生え変わえり前にレントゲンでチェックができる
  • 中心結節のある歯が生えたら、少しづつ削ることで折れるのを予防できる

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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