DrヒロのPEC(歯科衛生士ペリオコース)に参加しました!
2017年3月15日
こんにちは岩国のつぼい歯科クリニック 歯科衛生士の前田です
2月26日と3月5日に、歯周病治療で有名な山本浩正先生の歯科衛生士ペリオコース(大阪)に行ってきました
全国から歯科衛生士が集まっています。こちらはコースが始まる前の風景です。
実は、歯を失ってしまう原因のナンバーワンは歯周病です。
虫歯が原因で歯を失ってしまう割合が30%なのに対して、歯周病は56%です。
なので、歯周病の治療や予防は歯を残す上でとっても大切です。
歯みがき中に血が出ることはありませんか?…それ、歯周病のサインです
歯周ポケットの測定検査を行っている時に、「最近歯を磨くと血が出るようになったんです」と仰る方も多いのですが、
これは、歯周病発症のサインです。
今回私が参加したセミナーでは、歯周ポケットの中の歯石と感染したセメント質を取る処置(SRP)がテーマでした。
SRPの目的は、歯周ポケット(緑の矢印部分)のプラーク(ばい菌の塊)と歯石(ばい菌の死骸にさらにばい菌が住み着いたもの)を取り除き、歯ぐきと歯の下の骨を正常に近づけていくことです。
歯周ポケットに細菌の塊(プラーク)や歯石があると歯にとって何が悪いの?
- プラークと歯石は、上にも書いた通り「ばい菌の塊」と「ばい菌の死骸にさらにばい菌が住み着いたもの」です。
特に歯石は毒素を出します。
- 毒素から逃げようとして、歯ぐきと歯を支える骨が下がっていきます。
- そうすると歯周ポケットがもっと深くなっていきます。
- 最終的には歯がグラグラになって抜けてしまいます。
逆に、歯周ポケットから細菌の塊(プラーク)と歯石を取り除くと、歯周ポケットがだんだん浅くなり、歯ぐきが引き締まって、人によっては骨も戻ってくることがあります。
その治療がSRPです。
歯周病菌は常に再発を狙っているので、健康なお口の状態を維持していくためには、生涯を通して定期的なお口のメンテナンスが不可欠です。
もし歯科医に「SRPしていきましょう」と言われたら、私たち歯科衛生士もしっかりケアさせていただきます。
一緒に歯を残す治療をがんばっていきましょう
SRPのことで、わからないことや不安なことがありましたら、ぜひお尋ねください
娘の卒業式に出てきました♪
2017年3月10日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 受付のじゅんちゃんです
昨日はお休みをいただき、娘の中学校の卒業式に出てきました
娘も自分の世界ができて、この1枚しか一緒に撮らせてくれなかったんですが、
ああこんなに大きくなってくれたんだな…と感無量です
つぼい歯科クリニックでは、若いスタッフ達が盛り上げてくれている一方、スタッフのママさん率も上がってきて、仕事と家庭の両立がすごくしやすくなりました
日曜日に積極的に県外の勉強会に行っているスタッフもいますし、パートスタッフのように勤務時間以外に勉強の時間が取れない人も勉強できるように、院内で歯科知識をアップする勉強会を外部講師を招いて月に1回行っています。
私は他院での歯科助手経験もあるのですが、当院に就職してから、以前よりメンテナンスの重要性や歯と全身の関係について勉強して、もっともっと患者さまにお伝えしていきたいと思うようになりました
診察室の中で聞きにくいことや聞き忘れたことがあれば、ぜひお気軽に受付でもお尋ねください
末っ子は虫歯が多い!? 兄弟がいるお子様にありがちな虫歯のできる理由
2017年3月6日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
最近、当院に妊婦歯科健診を受けにいらっしゃる方が多くなってきましたので、妊婦さんと赤ちゃんのためのお口の健康冊子をつくってみました。院内で無料配布しておりますので、ご興味がおありの方はもらってくださいね♪
3月から保育士さんが常駐するようになりましたので、ご出産後も通いやすい体制を整えております。
今日はお子様にあげるおやつのお話です。
おやつのお話は、以前 虫歯になりやすいおやつがあると聞きました。どんなものに注意すればいいですか?や虫歯になりにくい上手なおやつの食べ方についてお話しました。
皆さん、お砂糖たっぷりのおやつが虫歯を作るというのは良くご存じで、第一子のときは大抵の方がおやつ管理をしっかりなさいます。
しかし、第二子、第三子が誕生すると…忘れてしまうのです。
虫歯が多い末っ子あるある ~Aさん宅のおやつ習慣~
Aさん宅には5歳のお兄ちゃん、2歳半の妹ちゃんがいます。
お兄ちゃんは5歳、そろそろ幼稚園でおやつを貰ったりして、市販のお菓子を口にし始めています。
Aさんも、幼稚園がお菓子を配るということはお菓子を食べるに問題ないからだろうし、実際にお兄ちゃんが市販のお菓子を食べても健診で虫歯の指摘がされないので、問題ないと思っています。
お兄ちゃんはお菓子を買ってあげるよと約束すると、とてもお利口さんにしてくれるので、Aさん宅にはご褒美用のお菓子がいつも置いてあります。
2歳の妹ちゃんも、お兄ちゃんがお菓子を貰うのを見て自分も欲しいと主張します。
お兄ちゃんも優しいので、よく妹ちゃんにお菓子を分けてあげます。
二人はお菓子を食べている間は静かにしてくれます。
ある日、歯科医院にフッ素を塗りに行ってみると、こう言われました。
「お兄ちゃんには初期虫歯多少ありますのでフッ素を頑張りましょう。
妹ちゃんには虫歯がたくさんありますので治療になります。」
参照記事 削らなくても治るむし歯があるって本当?
兄妹は同じおやつを食べていたのに、どうして妹ちゃんだけ虫歯だらけになってしまったのでしょうか?
生えたての歯は虫歯になりやすい
歯はいつも同じ形にみえていても、ミクロの世界では「溶ける(脱灰)」「修復する(再石灰化)」を繰り返しています。
口の中の虫歯菌が、おやつや食事の中の糖分を分解すると酸ができて、その酸が歯を溶かします。
その後、唾液が溶けた歯を修復します。
唾液は、フッ素以上の虫歯予防薬なのです。
それだけではありません。
口の中に酸が無い時も唾液は再石灰化を続けますから、歯は生えてから時間が経つにつれ、より丈夫になっていきます。
つまり、生えたての歯は生えてから何年も経った歯と比べて、虫歯になりやすいのです。
時間と量を決めて与えるおやつと、ご褒美用のおやつは別物!
Aさん宅の場合、お兄ちゃんが市販のおやつを口にし始めたきっかけは、幼稚園で市販のお菓子を食べる機会ができたことです。
幼稚園でゴマプリンや、ゼリーを貰うんだから、もうそろそろ問題ないかな?とAさんが思うのは無理もありません。
しかし、幼稚園ではおやつの時間や量を決めて、規則正しく食べさせています。
上でもご説明しました通り、歯は「溶ける(脱灰)」「修復する(再石灰化)」を繰り返しています。
脱灰するのは、口の中に食べ物が入っている間+その後40分間と言われています。
不規則におやつを食べさせたり、量を決めずに(袋ごとのお菓子、本人が食べるには多めの量のお菓子など)を与えると、お子様はだらだらと食べてしまいます。すると歯が溶ける時間が長くなりすぎるのです。
Aさん宅では、お兄ちゃんはフッ素を頑張れば良い程度の初期虫歯で済みましたが、ご褒美おやつを度々食べる食生活が続けば、初期虫歯が進行して虫歯になってしまう可能性もあるのです。
そして妹ちゃんは、生えたばかりの弱い乳歯が虫歯リスクの高い食生活に耐えられずに虫歯になってしまったのです。
お兄ちゃんは2歳半のころは、2歳児用のおやつを食べていた。妹ちゃんは、2歳にしてチョコやアイスを食べている…
上のお子様が市販のお菓子などを食べるようになると、年齢別にお子様のおやつを用意することが困難なため、一番上のお子様の食生活に下のお子様があわせる形になることが良く見られます。
上のお子様がチョコやアイスを食べている姿を見れば、当然、下のお子様も欲しがります。
「これはあなたにはまだ早いのよ」が、幼い下のお子様に通じることは、通常まずありません。
ですから、下のお子様の食生活に上のお子様をあわせましょう。
下のお子様が2歳半なら、まだ市販の甘いおやつは早すぎます。
果物やオニギリなど、より食事に近い形態のものをあげましょう。
上のお子様は、年齢があがるにつれ自分の世界を持ち始めます。
お友達とお菓子を食べたり、交換したりすることもあるでしょう。
その世界は大事にしてあげるとして、お家の中に他所で貰ったお菓子を持ち込むことはやめさせましょう。
お菓子を持ち帰ったら、いったん保護者の方が預かるようにして下のお子様の前で市販のお菓子を食べさせないようする、保護者の方用のお菓子がある場合は「これは大人の食べ物」と断言してお子様の手の届かない場所にしまうなどすると良いでしょう。
Aさん宅のお話はフィクションですが、当院にいらっしゃる患者様の中にも、ご兄弟・ご姉妹でいらして、下のお子様だけ虫歯がいっぱい…というパターンが多く見られます。
まだ虫歯治療が何のためにするものか理解も出来ない幼いお子様が泣きながら治療を受けるのは、心が痛みますよね。
規則正しい食生活、好ましいおやつ習慣で虫歯ゼロをめざしましょう!
なかなか上手におやつがあげられない、どう工夫すれば忙しい中でもおやつ習慣を改善できるか個別に相談したい、などの場合は当院スタッフにお気軽にご相談くださいね。
まとめ
- おやつは一番下のお子様の年齢のものにあわせる
- 規則正しい食生活・おやつ習慣は体にも歯にも優しい
- 個別にご相談がある方はお気軽にどうぞ★
顎が外れる顎関節症 治し方・症状の違いは?
2017年2月17日
~顎関節症の種類と治療法~
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回は、顎関節の仕組みについてお話しました。
今回は顎関節症の種類と治療法についてのお話ししていこうと思います。
正常な顎関節の構造
下顎は大きく口を開けるときには前方に移動し、関節円板という軟骨が下顎の滑走を手助けするんでしたね。
顎関節の仕組みを参照
そして、下顎が元の位置に戻るとき、関節円板もスムーズに定位置に戻ります。
「カクッ」「ポキッ」と音が鳴る仕組み
ところが、この関節円板がスムーズに戻らない状態になることがあります。
関節円板が戻るときにちょっと引っかかって「カクッ」「ポキッ」という音が鳴ります。
この症状は顎関節症の一種です。
では、顎関節症にはどのような種類があるのでしょうか?
顎関節症の種類
顎関節症学会による顎関節症の分類をできるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
Ⅰ型
耳の上あたりにある筋肉や頬の耳に近い筋肉が痛い。顎の周りの筋が痛い。口が開きにくいことがある。
Ⅱ型
顎関節の関節を包む袋や、関節靱帯、関節円板が伸びたり、捻挫している。顎が痛い、動かしにくい、等。
Ⅲ型
関節円板の位置がずれたり、穴が開いたり、組織が病的に硬くなったりしている。
痛みは強くなかったり、痛みがないことも多い。
Ⅲ型a
関節円板の位置がずれるが、すぐに元に戻るタイプ「コキッ」「ポキッ」という軽い音が鳴る。
Ⅲ型b
関節円板の位置がずれたまま戻らない。口が開けにくくなる。
Ⅳ型
顎関節の骨が変形したり、関節円板が変形したりする重症例。「ジャリジャリ」「プチプチ」という音が鳴る。
Ⅴ型
上のⅠ~Ⅳ型以外のもの。心理的要因などによる顎関節による痛みなど。
さて、前回の最初にとりあげました
「痛くないし、口も開くけれど、音が「ポキッ」鳴るので大きく口を開けるのはちょっと抵抗がある」
というのは何型になるでしょう?
↓
↓
↓
答えはⅢ型aです!(実は私もこの症状があります!)
当院では、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の方が比較的多くいらっしゃいます。
顎関節症の治療
口が全く開かないなら理学療法を、多少なり口が開くならスプリント療法を行うことが多いです。
ただし、4cm程度口を開けることができて、日常生活に不便が無い場合は治療は必要ないと言われています。
私も、音は鳴るものの恵方巻の丸かぶりも出来る程度にしっかり開口できますし、不便も無いので治療はしていません。
Ⅳ型、Ⅴ型の場合は、重症度に応じて大学病院などとの連携が必要になる場合があります。
スプリント療法ってどんなもの?
スプリントはマウスピース型の「自分で着脱できる顎関節のギプス」と思っていただくと良いかと思います。
顎関節が炎症を起こしているのですから、軽く固定して安静にする必要があります。
顎関節は顔の外から固定することができません。
そこで、上下の歯の間に厚みのある硬いマウスピースを装着することで、強制的に「マウスピースの厚み分だけ口が開いた状態=顎関節に負荷がかからない状態」をキープできるようにします。
2回ほどで作成可能ですので、顎の痛みでお悩みの方は、一度ご相談ください。
顎が痛い 耳の下カクッ!っと音が鳴るんだけど大丈夫?
2017年2月6日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
皆さんの周りに、あるいは皆さんご自身に「顎が鳴る」という方はおられませんか?
実は、私も中学生頃から「コキッ」という音が鳴ります。
「痛くないし、口も開くけれど、音が鳴るので大きく口を開けるのはちょっと抵抗がある…」
これ、実は顎関節症の一種なのです。
今日は、意外にありふれている病気「顎関節症」についてお話していこうと思います。
~進化が招いた顎関節症~
顎関節症とは?
顎の関節にかかわる筋や骨、軟骨に異常を起こす慢性疾患群をまとめて「顎関節症」と呼びます。
顎関節症の症状
- 痛くないけど音が鳴る
- 口が開かない
- 口が開けにくい
- 顎の筋肉が痛い
顎関節の構造
まず、正常な顎関節を図解しますと下のような感じになっています。
水色の部分が「関節円板」という軟骨で、顎関節の骨の間に挟まって下顎が円滑に滑走する手助けをする
とともに、骨が直接擦れないようにして骨を保護する働きがあります。
関節の部分を拡大してみましょう。下顎頭というのは、顎関節の下顎の部分です。
画像参照:©コムネット
画像参照:©コムネット
面白いことに、口を大きく開けると下顎頭は関節からいったん外れて、前方に移動します。
画像参照:©コムネット
画像参照:©コムネット
普通の関節は、骨は定位置で蝶番運動しますが顎関節はソケットから出て行ってしまいます。
「顎が外れる」といいますが、誰でも大きく口を開ければ顎は外れます。
しかし、口を閉じたらすぐ元に戻ります。
(患者様は自力で戻せなくなった時に、「顎が外れた」と言われますが…)
自力で外して戻せる、不思議な関節が「顎関節」なのです。
顎関節は複雑に動くために、エラーも起こりやすいのです。
なんでそんなに複雑に動くの?
画像参照https://www.peppynet.com/library/archive/old/html/12aw_170
上の図は4足歩行の動物(犬)の骨格図です。
4足歩行の犬や猫は、威嚇するときにビックリするくらい大きく口を開けます。
人間はあんなに口は開きません。
それは骨格を見ると分かりやすいです。
4足歩行の動物は、思いっきり口を開けても、下顎は首になかなかぶつかりません。
対して、人間は口を大きく開けると下顎がすぐに首にぶつかってしまいます。
二足歩行のため、首が垂直に立っているせいです。
画像参照http://mitsunoy.jugem.jp/
でも、もっと口を開けたい!
類人猿や原始人だったころには、ナイフとフォークで切り分けて食べるとか、お箸で一口サイズに取り分けるとか、できなかったでしょうからね。
大きく口を開けてガブっと噛り付くことができる必要があったのです。
そこで編み出したのが、「顎を外して前に出す」。
口を一定以上開いて、首にぶつかりそうになったら下顎を前に移動させて、物理的に首と距離を取ります。
そうすれば、もっと口を開くことができます。
そして、複雑に動くようになったのはいいのですが、前に動いた下顎や関節円板が上手く戻らなかったり、炎症を起こしたりする「顎関節症」が生まれたのです。
まさに「進化が招いた病気」と言えますね。
次回は、タイプ別の顎関節症の治療法についてお話します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
祝☆1周年☆
2017年1月31日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック スタッフの前田です
1月25日につぼい歯科クリニックは満1年になりました
この1年、長いようなあっという間だったような、スタッフ全員で走り抜けたなぁと感慨深いです
「1年の記念にみんなで何かやりたいね~」ということになり、記念にパチリ
院長・室長がケーキを買ってきてくれたので、みんなでワイワイ食べました
ケーキはアンジェリックさんのものです
とってもおいしかったです
歯周病の勉強会に参加してきました☆
2017年1月23日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 衛生士の前田です
日曜日は、院長と一緒に、広島大学歯学部卒後研修に参加してきました
講師は東京医科歯科大学臨床教授の内山先生です。
内山先生は歯周病治療でとても有名な先生です。
300人収容のホールに、500人くらいの大勢の歯科医師・歯科衛生士が参加した大盛況の勉強会でした。
つぼい歯科クリニックは、開業当初から
「予防歯科こそ大事」
「歯を失わないためにおいしくご飯を食べてもらえるために私たちができることは何か」
という理念で治療を行っています。
患者さまのデンタルIQを上げるために、私たち歯科衛生士もよりわかりやすく・ホームケアが楽しくなるような説明力を高めていきたいと思っています!
勉強会のテーマは、より良い歯のプロフェッショナルケア(PMTC)と、長期メンテナンスのプロトコールなどでした。
すでに当院のシステムで取り入れていることも多かったですが、院長から教わった内容があらためて勉強できてより深く理解できました
日本では40~70歳の30年間に失う歯の本数は平均で10.5本。
(平成23年歯科疾患実態調査報告により)
それに対して、お口のメンテナンスの習慣のあるスウェーデンでは0.4本~1.8本。
しかもこれは1981年の調査の数字です。
日本も頑張ってお口のメンテナンス習慣の普及と、その結果として歯を失わない社会を作っていく必要があると改めて思いました
その他、私は当院未採用の新しい道具がたくさん見られて面白かったです
より優しいプロフェッショナルケアを行うために、プロケア用ブラシの種類を変えるのもいいかもと思いました。
歯を失ってしまった後、どんな治療法があるの?
2017年1月16日
ブリッジ・インプラント・入れ歯…「欠損補綴(けっそんほてつ)」の種類を知ろう!
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井 文です。
前回は、若いうちから予防歯科をやっておいた方が歯を失うリスクが減るというお話でしたね。
今回は、「すでに歯を失ってしまった場合はどうすればいいの?」というテーマでお送りしたいと思います。
歯を失った後に、咬める(かめる)ようにする治療が「欠損補綴(けっそんほてつ)」
前回、歯の数が減ったり、入れ歯を使ってなかったりすると要介護になるリスクが増す、というお話をしました。
言い換えれば、歯を失ってもきちんと咬める(かめる)ように治療すれば、要介護のリスクを減らすことができるのです。
歯を失った後に噛めるようにする治療として、「ブリッジ」「インプラント」「入れ歯」があります。
クリニックで患者さんがよくされる質問に「抜いた部分に保険で差し歯を入れることはできますか?」というものがあります。
残念ながらこれはできません。
差し歯とは、天然の歯の根っこの上に土台を作って、その上に歯の被せもの(かぶせもの)をつけていく治療を指します。
歯を失う=歯の根っこも無い状態ですから、差し歯をすることはできないのです。
次に、代表的な欠損補綴の特徴を簡単にご説明します。
ブリッジ(保険)
画像 コムネット
失った歯のとなりの歯を土台として、ダミーの歯を入れる治療のことです。
ダミーの歯と、両隣の被せ物は一塊になっています。
ブリッジの長所
着脱しなくてよく、使い心地が良い。
ブリッジの短所
- 前歯の表側のみ白くできるが、前歯以外は銀色になる。
- 取り外して洗えないので、しっかりホームケアをしないとむし歯などになりやすい。
ブリッジをセットするには、虫歯のない隣の歯も削る必要がある。
- 歯の残り本数が少ない場合はそもそも選ぶことができない。
ブリッジ(自費診療)
基本的な設計と長所・短所は保険のブリッジと同じですが、保険で認められていない白い材料を選ぶことができます。
保険との違いは
自費のブリッジの長所
セラミックやジルコニアなど、白くて体に優しい材料を選ぶことができる。
自費のブリッジの短所
保険が効かない。
インプラント(自費診療)
顎骨にチタン製の人工の根っこを植えて、その上に歯の被せ(かぶせ)を入れる治療です。
※当院では現在、インプラント治療は承っておりません※
長所
隣の歯を削らなくて済む。
短所
- 手術が必要。保険が効かない。自費診療の中でも特に高価。
- 術式によっては、人口歯根の埋入術と上部構造の装着とで2回の手術が必要となることがある。
- お手入れを怠るとインプラント周囲炎になることがある。
入れ歯(保険)
入れ歯は、あらゆる症例に使える欠損補綴(けっそんほてつ)です。
歯が部分的に残っている場合は部分入れ歯に、
歯が1本も残っていない場合は総入れ歯になります。
部分入れ歯の場合は、残っている歯に金属製のバネをかけて、外れたり揺れたりしないよう、取り外しやすいようにしてあります。
長所
- ほぼ全ての症例に使用できる。
- 取り外して洗えるので衛生的。
- ブリッジと違い、隣の歯を傷つけずに治療できる。
短所
- インプラントほどでは無いが完成までに時間がかかる。
- 取り外して清掃しなければいけない。
- 総入れ歯の場合は、食事の際に温度が感じにくい(熱いもの、冷たいものの感覚が鈍くなる)
- 部分入れ歯の場合は、銀色のバネの見た目が悪い(他の人の目から入れ歯を入れていると分かってしまう)
入れ歯(自費診療)
基本的な特徴は保険の入れ歯と同じですが、以下の特徴があります。
長所
- 総入れ歯でも、食事の際に温度が感じられる(熱々のものは熱々のまま、冷えたものは冷えたままで感じられる)
- 部分入れ歯では、バネが歯茎と同じ色なので他人に気付かれにくい。
短所
- 保険が効かない。
- もし壊してしまったら、保険のものより修理に時間がかかることが多い。
まとめ
いかがでしたか?
それぞれに長所短所がありますので、これも「これを選んでおいたら間違いない!」というものは無く、個々の患者様のご希望や重視するポイントによって最良の選択肢は変わるものと思います。
つぼい歯科クリニックでは、どういった治療法が良いか患者様と相談しながら治療方針を決めております。
また「診察室だと緊張して訊きたいことが言えない・・・」という患者様につきましては、ご希望に応じて補綴カウンセリングのお時間を設けさせて頂いております。
ご希望の方は、お気軽にスタッフまでお申し付けください。
歯科と糖尿病、脳血管障害、要介護度は関係が深い!?あれこれ関わっているお口の病気
2017年1月10日
こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回まで2回に渡って「MI=なるべく削らずに済む歯科治療」についてお話させていただきました。
究極のMI(ミニマルインターベンション できるだけ歯を残す治療)は予防歯科、そもそも虫歯を作らないようにすることが大事…ということで、定期的に歯科医院でプロケアを受けることをお勧めします。
※プロケアとはお家でのむし歯・歯周病対策のホームケアに対して、歯科医院で行うケアのことです。詳しくは別の機会にお話ししていこうと思います。※
MI(ミニマルインターベンション)そう・・・たとえお忙しい会社員さんでも、主婦の方でも!お子様からお年寄りまで、皆さんに歯科検診を受けて頂きたい、そして虫歯や歯周病で歯がなくならないようにしたい!
皆さまが歯科検診を受けたくなるように、今日はちょっと怖~いお話をしていこうと思います。
「歯の定期健診を受ければ良かった」と歳をとってから後悔する人が多い日本
PRESIDENT 2012年11月12月号に「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20という興味深い記事が掲載されました。
55~74歳の男女1000人にアンケートを行い、人生の先輩方の「後悔していること」と教えて頂くという内容です。
画像:http://president.jp/
健康部門で「歯の定期健診を受ければ良かった」が1位!
どうしてこんなに皆さん後悔していらっしゃるんでしょうか。
歯の定期健診を受ける習慣の有無で変わる、歯の本数
前回の記事で歯の定期健診の習慣がある人が多い国では歯を失う本数が少なく、日本のように歯の定期健診が普及していない国では歯を失う本数が多いというお話をしました。
特にスウェーデンは、キシリトールガムのCMなどでも出てくるので、何となく歯の予防に力を入れていそうなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
スウェーデンも昔は日本と同じく虫歯や歯周病が多い国でしたが、1970年代に「セルフケアとプロフェッショナルケアを併用した方が歯科疾患を防げる」という研究がなされたあと、国家をあげて予防歯科に取り組みました。
19歳までの歯科治療を無料にし、全国民が歯科定期健診を受けられる体制を整え、代わりに成人の歯科治療費をうんと高額にしました。結果、スウェーデン国民のほとんどが積極的に歯科定期健診を受け、予防歯科に取り組むようになり、80歳の平均の歯の本数が25本(日本は8.8本)という素晴らしい歯科先進国となったのです。
日本のリタイア世代の方の後悔「歯の定期健診を受ければ良かった」は、歯の本数が減ってしまってからの後悔と思われます。
では、歯を失うとどんなことが起きるのでしょうか。
歯を失って噛めなくなるのは、要介護への入り口
東京都医師会連盟のサイトからの引用ですが、介護が必要になった主な原因は認知症と骨折・転倒で全体の25%を占めますが、その認知症、骨折・転倒ともに歯の数が減ったり、入れ歯を使っていなかったりするとリスクが増すことが示されています。
画像は全てhttp://toshiren.or.tv/pdf/dmt_11.pdfより引用
つまり、咬めない(かめない)ことは要介護への入り口と言えるのです。
本日この日記を書いていたら、タイムリーな話題が。
「歯が全くない人」は、「歯が20本以上ある人」に比べて1.28倍、抑うつ状態になるリスクが高い
こちらもニュースになっていますね。
食べる楽しみが失われると、毎日の刺激も減りますね。
お家で実験していただきたいのですが、
①まず片方の側だけでご飯を食べてみてください。
次に
②普通にご飯を食べてみてください。
ごはんの味が全く違うはずです。
普通に食べると舌の上に食べ物を転がしながら食べるので味がよりわかりますが、片方の側だけで食べると舌に対して触れないので味が薄く感じます。
私もやってみましたが、甘みも塩味もすごく薄く感じました。
なので、片方で食べるだけでも食事が濃い味付けになって、高血圧になる方もいらっしゃるそうです。
また、口の中は手の次に神経の多い部位ですから、歯がなくなり、噛めなくなり、食べることを忘れると、認知症が悪化し、一日中意識がはっきりしない・・・なんてことになります。
そんな方に噛める入れ歯を入れただけで、噛んで飲み込む本能を思い出して、寝たきりの人が普通に生活できるまで戻ることもあるそうです。
入れ歯が入っただけでも、もちろん入れ歯も入れない人に比べると劇的に差がありますが、入れ歯と自前の歯でも全然違います。
部分入れ歯になっただけでも、『びっくりするほどご飯がおいしくなくなった』と仰る方も多いです。
メタボリックシンドロームと歯周病の深い関係
歯周病は、歯石によって起きる病気です。
参考 歯石って何?どうしてほっといてはいけないの?
特に糖尿病とは相互関係が強く、糖尿病が悪化すれば歯周病も悪化しやすく、また歯周病が悪化すると糖尿病も悪化するという関係にあります。
他にも心臓病の手術をした人や、心臓の弁膜などに障害がある人の場合、歯周病菌が原因で心内膜炎を起こすことがありますので、注意が必要です。
また、歯を失い十分に咬め(かめ)ないことから満腹感が得られず、食べ過ぎて肥満になったり、お肉や野菜が食べにくいことから炭水化物ばかりを食べて「痩せてないのに栄養失調(カロリーは取れているけど、ビタミン・ミネラル・たんぱく質が欠乏する高齢者の新型栄養失調)」になったりと、歯とメタボリックシンドロームは深い関係にあるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
- 歯の本数を維持することは、生涯おいしくごはんを食べられるだけでなく、糖尿病、認知症、骨折、心臓、脳血管、メタボリックシンドロームなどを悪化させないという意味でも大切。
- 歯を失わないように予防するのが一番!
もし、すでに歯を何本か失ってしまっているならば、これ以上失わずに済むように治療とメンテナンスが必要です。しばらく歯科医院に受診していないな・・・という方は、歯科健診を受けることをお勧めいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なるべく削らない、抜かない治療を目指して ②
2017年1月5日
岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
前回、接着技術の進歩とともに「MI=Minimal Intervention ミニマルインターベンション」つまり、「なるべく削らずに歯を残したい!」を実現する治療が進歩してきた、というお話をしました。
なるべく削らない、抜かない治療を目指して①
接着技術の進歩で「保持形態」とよばれる、詰め物が外れにくくなる形を余分に削ることは少なくなりました。(まったく必要なくなったわけではありません)。
しかし、それはMI:ミニマルインターベンションの「入り口」。
もっと根本的に削らずに済む方法について一緒に考えていきましょう。
その1 神経に近いところまで進行したむし歯でも、神経をなるべく残す治療を試みること
歯の神経は、刺激を受けると「二次象牙質(にじぞうげしつ)」と呼ばれる歯の質を作って、虫歯などの刺激の原因から逃げる性質があります。
人間がまだ野生動物だったころは、生の食べ物をガリガリがじって歯が「咬耗(こうもう:噛むことによって歯が摩耗してしまうこと)」することが珍しくありませんでした。
しかし、歯の神経が刺激を受けて歯の質を作って逃げることで、歯が咬耗により削れても、歯の神経がむき出しにならずに食事ができたのです。
この「刺激により神経を逃がす」ことは、薬品を用いて人工的に行うことができます。
詳しくは以前の記事をご覧ください。
神経に近いところまで進行してしまった虫歯 歯の神経を残す方法♪
神経を温存する、これも立派なMIです。
その2 削る量を最小限にするための詰め物の材質を選ぶこと
削る量を最小にするため材質を選ぶ上で考えないといけないことは、以下の2点になります。
- 強度が弱い材質の詰め物を使う場合
⇒詰め物が割れないように多めに削って詰め物に厚みをもたせなければならない
- 歯と比べて詰め物が硬すぎると、歯が割れやすくなる
以前の記事でもお話しましたが、
参考 保険の効く歯科治療と効かない歯科治療 その2
- 見た目や費用を気にしない場合
- 歯を傷つけない
- むし歯が再発しにくい
- 詰め物が割れるリスクのために必要以上に歯を削らなくて良い
という点では金が最も優れています。
ただ、金の欠点…保険が効かない、非常に目立つという側面もあります。
以下、他の素材の詰め物の特徴を上げていきます。
CR(コンポジットレジン)
- 保険が効く
- 症例を選びますが、あてはまる症例ならとても良い
金銀パラジウム合金
- 保険が効く
- 硬すぎて歯を傷つけてしまいやすい
- 色も銀色で目立つ
e-MAX(セラミックの詰め物)
- もっとも歯の色に近く非常に美しい
- 強度が弱いために「詰め物が割れない厚みを得るために」多くを削る必要がある
- 保険が効かない
ジルコニア
- e-MAXほどではないが色は白くて美しい
- 強度があるので多めに歯を削らずに済む
- むし歯の再発を起こしにくい材料
- 保険が効かない
それぞれ、一長一短の特徴があるので、これを選んでおけば間違いは無い!という全ての症例に最適な材料というのは存在しません。
ですから、見た目やむし歯再発のしやすさ、強度や費用などを考慮して、個別に患者さまご本人に選んでいただくのが良いと思います。
その3 初期むし歯はあえて削らず、食習慣・歯磨き習慣の改善とフッ素で修復させること
穴が開く前の、ごく初期の虫歯は実は削らずに治すことが可能です。
参考 削らなくても治る虫歯があるって本当?
削らずに治せる虫歯は削らない、これもMIの基本になります。
その4 そもそもむし歯にしないようにする=予防歯科こそが究極のMI!
「うちの家系は虫歯が多くって・・・虫歯って遺伝するんですか?」
ときおり、診療室で患者さまから訊かれる質問です。
答えはNOです。
虫歯は生活習慣病であり、遺伝要因は非常にまれです。
虫歯になりやすい生活習慣、食習慣、歯磨き習慣の積み重ねで虫歯になってしまうんです。
自分なりに頑張って歯磨きをしているつもりでも、虫歯がすぐに出来てしまうなら、磨き方の癖や食習慣に問題があるのかもしれません。
もしくは、歯ぎしりや口呼吸など、良くない癖のために詰め物が痛んだり、虫歯になりやすくなっていたりする場合もあるでしょう。
定期的に歯科医院で詰め物が悪くなっている場所がないか、初期虫歯ができていないかチェックして、歯磨きの悪い癖や、磨き足りない場所があれば歯磨き指導を受ける、必要あればフッ素を塗り、歯石も取って歯周病も予防する・・・
これこそが、究極のMIと言えます。
実際、歯の定期健診の習慣がある人が90%もあるスウェーデンでは、80歳の歯の平均数が25本、定期健診に行く人が80%のアメリカでは80歳の歯の平均数が17本、定期健診に行く人が10%未満の日本では8.8本と、歯を失う数と定期健診の受診率には相関性があります。
「でも、育児に仕事に忙しい中で、痛くもない歯のために時間を作るのは難しいなぁ~」
・・・よく、お気持ちはわかります。
↑のように思われた方のために、次回は「予防しなきゃ怖い!歯科疾患 ~糖尿病、脳血管障害、要介護度まで あれこれ関わっているお口の病気~」をお送りします。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。