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市の歯科健診や学校健診と、歯科医院での検診のできることの違いと、PMTCについて

2022年7月26日

市の歯科健診や学校健診と、歯科医院での検診のできることの違いと、PMTCについて

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
この度、政府の骨太の方針の中に、年1回程度の歯科健診を勧めることを打ち出されました!

まだ詳細は決まっていないようですが、歯科健診の重要性が話題になったことはうれしいことです。

歯科医師としては、これをきっかけに色々と考えてもらいたいこともあり、まとめてみることにしました。

 

1)健診では何を見る?

 

健康診断の略です。

健康かどうかを診断するのが目的です。

一次予防とも言われます。

 

岩国市の場合、いい歯おとなの歯科健診、妊婦歯科健診、後期高齢者用の歯科健診、企業によっては企業健診の券が、皆さんに配られています。

これら券を使って歯科医院に受診します。

また、各学校などに歯科医師が訪問して行う、学校歯科健診もあります。

 

歯科健診では、チェックするポイントが県ごとで決まっており、目視のみで病気を探していきます。

よって、通常の歯科診療のレントゲンやCT、その他機器を使用した診察と比較すると、精度は低いものになります。

 

2)歯科検診では何をする?

 

こちらは検診の字が違います。

特定の病気にかかっていないか「検」査して「診」断することを指します。

二次予防とも言われます。

 

代表的な検診に「がん検診」がありますね。

特定の病気を早期発見して治療することが目的です。

検診の種類にもよりますが、その病気を特定することができる機器(レントゲンなど)を使用することが可能です。

 

検査結果をもとに治療計画を立てて、治療していくことを前提にしています。

 

3)歯科医院での治療が一段落ついて、病状を悪化させないための「管理治療」

 

歯石は、時間とともにどうしても歯についてしまいます。

一度歯周病になった方で、歯科医院での治療の甲斐あって歯茎の状態が落ち着いたけれど、ほっておくとまた歯石がついてしまって、歯茎の状態が悪くなる…というケースは、とても多いです。

 

初期虫歯も同じで、今は安定しているけれど、ほっておくと進行してしまいそう…という部位がある方はとても多いのです。

このような場合、病状が悪化しないように「歯科管理治療」を保険治療で受けることができます。

 

よく、「〇か月後くらいに、また歯石を取りに来てくださいね」「〇か月後くらいに、この歯をまた診せてくださいね」などと歯科医院で言われることがあると思いますが、あれが「歯科管理治療」です。

 

この場合も、歯周病や虫歯という特定の病気が悪くなっていないか、必要に応じて検査して診断するので、ある意味「検診」と言えるかもしれません。

 

レントゲンは必要に応じて、目視ではわからない部分や、骨、詰め物部分に変化や異常がないか確認する方が良いと思います。

そして、歯周状態のチェックを行い、これまた「検査結果に応じて」PMTC(歯科医師・衛生士による専門の機器を使用した、口の中の菌が作るバイオフィルムの除去)や、スケーリング(歯石除去)、歯ブラシ指導などを行います。

歯周状態が悪ければ、歯周ポケットの内部まで掃除する必要があり、時間や麻酔などが必要になります。

 

保険診療では、昔は虫歯や歯周病などの病気ができてから・悪化してから治療するという考えが基本でした。

 

現在は、病気を早く見つけて治療したり、悪化させないように管理したり、歯や歯茎だけでなく、食べる機能そのものを改善したり衰えないようにする、という考えが主流になっています。

 

また、歯周病はアルツハイマー型認知症や糖尿病、心臓病、骨粗鬆症、肺炎、低体重早産などが引き起こすことがわかっています。

これらの病気が日本の医療費を上げる原因にもなっています。

 

歯周病を改善したり予防することが、高齢化が進む日本の医療費増加も予防できるのではと期待されています。

 

4)PMTCはなぜ必要なの?

 

PMTCとは、プロによる機械的な歯の細菌除去の略です。

PMTCは口の中のバイオフィルムを破壊します。

 

バイオフィルムとは

三角コーナーやお風呂、排水溝など、細菌が溜まりやすいところにヌルっとした感触のものが付くことってありませんか?

あれがバイオフィルムです。細菌が膜を作っています。

 

三角コーナーやお風呂のヌルっとしたものをしっかり落とさないと、ヌルヌルはもっとひどくなっていくのを経験した人はいませんか?

キュキュッと音がするまで、しっかりこすり洗いをしたら、しばらくはヌルヌルは付きませんよね。

 

お口の中も同じです。

3ヶ月に一回くらい、プロによって、口のすみずみまでバイオフィルムを専用の機械で破壊しておけば、プラークや歯石が付きにくくなります。

 

プラークがある状態のまま放置すると、プラークは歯石になります。

歯石は硬く、プラークやバイオフィルムを取るよりもずっと除去しにくいのです。

 

歯茎の下にできた歯石は、麻酔をして、器具を歯茎下まで入れ込んで掻き出す必要も出てきます。

PMTCは「マッサージを受けているようで気持ちいい」と言われる方もいます。

麻酔をして歯茎の下の歯石を取る場合は、結構痛いことが多いです。

 

 

5)気をつけて歯磨きしているのに、虫歯になりやすい人がいるのはなぜ?

また、何も気をつけていないのに、虫歯にならない人がいるのはなぜ?

 

歯や歯周に関する病気は、口腔内のプラーク(歯垢・細菌)が原因です。

虫歯のなりやすさ、歯周病のなりやすさは個人差が大きいです。

 

個人差の中には、以下のようなものがあります。

 

・食生活の差

砂糖をたくさん取るような食生活(ジュース、おやつなど。スポーツドリンク、栄養ドリンク、健康ドリンクや酵素ドリンクなども、糖分が多く含まれるものもあるので注意)

 

・口の中の細菌の差

もともと虫歯菌を持っていることや、悪玉菌の割合が高い、細菌の量が多い、唾液の量が少ない(口呼吸、唾液が出にくい病気や薬の副作用など)

 

・ライフスタイルの差

喫煙、ストレス、睡眠不足、歯磨き習慣、歯磨きの上手さ、フロスや歯間ブラシなどの使用の有無、フッ素の使用の有無

 

・加齢

加齢と共に歯周ポケットが深くなり、歯周病細菌が増えれば歯周病が悪化します。

そのどちらにおいても、たばこはプラークの質の悪化に大きく貢献してしまっているようです。

 

年に何人かは、40歳まで虫歯知らずで、40歳を超えたとたん、急に歯が抜けて、パニックになりながら歯科受診される方がいます。

虫歯菌を持っていなかったので、40歳になるまでは、食生活も歯磨きもあまりがんばらなくても虫歯知らずで、歯科医院も受診したことがないタイプの方です。

ところが、歯周病菌は持っていたので、40歳をすぎたら、これまでのお手入れ不足もあって、一気に歯がグラグラになってしまうのです。

今までの人生で歯に困らなかったので、昔の歯医者=虫歯治療をする場所、という昭和の価値観のまま来てしまったんですね。

 

虫歯も歯周病の対策においても、プラークの破壊が最も大事です。

日頃のケアはその再付着をできるだけ防ぐ作業であり、付着しにくい生活習慣もまた重要です。

歯石やプラークが簡単に取れるサイクルは、個人差はありますが3か月前後が理想とされており、継続した人としてない人で80歳になったときの残存歯数の圧倒的な差がでています。

 

上手に歯医者さんを利用して健康維持をしていきましょう。

 

まとめ

 

・歯科健診(市や学校などでの健診事業)で診察できる内容は限られ、目に見える病気の状態(穴が開いているレベルの虫歯や、歯茎の出血、腫脹)になっているものを明らかにします。

・歯科検診では必要に応じた検査をした上で、検査結果に応じて歯面上のプラーク・バイオフィルムの破壊や歯石除去などを後で行うことが多いです。

・プラークの質は生活習慣・年齢・たばこの喫煙の有無等で悪化します。

定期管理による検査・診断(3か月に1回程度)・歯周病治療とご自宅での口腔ケアをお勧めします。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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