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お子さんの成長に寄り添う小児歯科・小児矯正

2026年10月31日

岩国市 小児歯科 矯正
こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医 副院長の吉村です。

お子さんの口の問題は、一人ひとり異なります。

  • ・歯並びの問題だけ
  • ・むし歯の問題だけ
  • ・生まれついての歯の本数の問題だけ

というお子さんも多いですが、患者さんによっては、

歯並び・むし歯・過剰歯・上唇小帯・中心結節と問題がたくさんある…

という方もおられます。

それも、一度に問題が出てくるのではなく、発育・発達・生活習慣によって、順番に問題が出てくることがあります。

今回は、5年間にわたって成長を見守ってきた、そんなお子さんの症例をご紹介します。

乳歯の時期から永久歯に生え替わる時期にかけて、口の変化を確認しながら、お子さんに寄り添い、その時々に必要な予防や治療を行ってきました。

お子さんの口は、成長とともに変わります。むし歯の有無だけでなく、歯の本数や生える位置、噛み合わせなども、成長に合わせて確認することが大切です。

当院では、こうした変化を捉え、お子さんの発達段階に合わせて対応することで、健やかな口の発達を支えています。

1)当院が大切にしている「3つの予防」

当院では、小児期から「むし歯予防」「歯周病予防」「歯並び予防」の3つを大切にしています。

痛くなってから治療するだけでなく、問題がない時期から予防のために通っていただくことを重視しています。

歯磨きや食習慣についてお伝えするとともに、歯の生え替わりや噛み合わせも確認します。歯並びについても、経過を見守る時期と、治療が必要な時期を見極め、一人ひとりに合わせて対応を考えます。

2)実際の症例 3歳から8歳までの5年間の軌跡

2-1)3歳:予防のお話と、歯の生え替わりを見据えた確認

3歳の初診時には、むし歯は認められず、口の清掃やむし歯予防についてお話ししました。

また、初診時から上の前歯の部分に「過剰歯」があることを把握していました。過剰歯とは、本来の歯の本数よりも多く存在する歯のことです。

このお子さんの過剰歯は、通常の歯と同じ方向を向く「順生」のタイプだったため、自然に生えてくると予測していました。

そのため、すぐに外科的な摘出を行うのではなく、生える位置や永久歯への影響を確認しながら、抜歯に適した時期を待つことにしました。

2-2)4歳:通院再開時に見つかったむし歯への対応

初診時には、過剰歯が永久歯に影響しないか、定期的に確認することをおすすめしていました。その後、通院の間隔が空き、4歳で再び受診したときには、複数の乳歯にむし歯が見つかりました。
岩国市 小児歯科 矯正

写真では、次の部分に色をつけています。
岩国市 小児歯科 矯正

  • ・ピンク:過剰歯
  • ・黄色:むし歯
  • ・みどり:中心結節

中心結節とは、歯の噛む面にできる突起のことです。突起の中まで神経が伸びていることがあり、折れると痛みや炎症につながることがあります。

永久歯の前歯が、過剰歯のある場所をよけて、本来とは違う位置に生えてくる可能性がありました。

そのため、過剰歯や生え替わりの定期的な確認を再開しつつ、まずは見つかったむし歯の治療から進めました。

まだ幼く、治療への不安もあったため、緊張を和らげる「笑気吸入鎮静法」を取り入れ、お子さんの様子を見ながら治療を行いました。

用語:笑気吸入鎮静法

笑気ガスを吸引しながら、ウトウトした状態でむし歯治療を行うこと。

治療に協力するつもりはあるものの、そのままでは治療が怖くて苦手なお子さんに有効です。

ただし、治療を本気で拒否しているお子さんや3歳以下のお子さんには、効果がないことが多いです。

この経過からもお伝えしたいのは、「今はむし歯がないから大丈夫」と通院をやめないでほしい、ということです。

歯並びや生え替わりの管理のために「定期的に見せてくださいね」とお伝えしたときは、どうかそのまま通院を続けてください。定期的に口の中を確認できていれば、むし歯を早い段階で見つけたり防いだりすることができ、お子さんが大変な治療をせずに済みます。

歯磨きやフッ素(フッ化物)の使用、食習慣といった家庭でのケアと、歯科医院での定期的な管理を組み合わせて、お子さんの口の健康を一緒に守っていきましょう。

2-3)5歳:予測していた過剰歯の萌出に合わせて抜歯

5歳になると、経過を見ていた過剰歯が、当初の予測どおり自然に生えてきました。そこで、後から生えてくる永久歯への影響を考慮し、過剰歯を抜歯しました。
岩国市 小児歯科 矯正

過剰歯を抜歯することで、あとから生えてくる予定の永久歯の位置が改善しています(☆印の歯の位置が、左右対称に近づいている)。
岩国市 小児歯科 矯正

この症例では、過剰歯の向きや永久歯との位置関係を確認しながら待つことで、永久歯が適切に生えるための環境を整えました。

用語:過剰歯

過剰歯とは、本来の本数よりも多くできた、余分な歯のことです。永久歯が生えるのを妨げたり、歯並びに影響したりすることがあります。代表的なものに、上の前歯の中央付近にできる「正中過剰歯」があります。

口の中に生えてくる場合もあれば、骨の中に埋まったままの場合もあります。レントゲンや、必要に応じたCT検査で見つかることもあります。

原因はまだはっきりとわかっていませんが、歯のもとになる組織の発育や、遺伝などが関係すると考えられています。

2-4)6〜7歳:永久歯の生え方に伴う噛み合わせの変化に対応

もともとの前歯の噛み合わせは、上下の歯の先端が接する「切端咬合(せったんこうごう)」で、経過を見守っていました。

6歳ごろ、上の左右の永久前歯が内側に傾いて生えてきたことで、前歯の噛み合わせが逆になる「反対咬合(はんたいこうごう)」になってしまいました。
岩国市 小児歯科 矯正

このお子さんの場合は、永久歯への生え替わりに伴って、前歯の傾きによる噛み合わせの問題が現れたという経過です。その変化に対応するため、上の前歯を唇側へ誘導し、噛み合わせを整える治療を進めました。
岩国市 小児歯科 矯正

反対咬合を治療するための矯正装置

また、上の前歯の中央にすき間がある「正中離開」も認められました。

上唇の内側と歯ぐきをつなぐ筋を「上唇小帯」といいます。このお子さんでは、上唇小帯が前歯の間に入り込んでいたため、治療の進め方を考え、6歳のときに切除しました。

7歳のときには、反対咬合と前歯のすき間の治療に加えて、舌や口周りの筋肉の使い方を練習する「MFT(口腔筋機能療法)」も取り入れました。
岩国市 小児歯科 矯正

上唇小帯切除前

上の真ん中の部分に、強い繊維が入り込むことで、前歯の間にすき間ができてしまっています。
岩国市 小児歯科 矯正

上唇小帯切除後

上の真ん中の繊維を切るだけで、すき間が閉じてきました。同時並行で反対咬合の治療も行っています。
岩国市 小児歯科 矯正

治癒後

成長に伴って現れた複数の課題に一つずつ対応しながら、口の発育を適切な方向へ導いてきました。

治療内容:固定装置を用いた小児矯正、費用44万円(税込み)、治療期間:小児矯正部分に関しては約1年、リスク:思春期成長の後、反対咬合は後戻りの可能性がある、適切な歯磨きをしない場合は虫歯になることがある

 

3)お子さんの発達段階に合わせて、治療方法も柔軟に

お子さんは同じ年齢でも、治療への理解や装置への慣れ方は一人ひとり異なります。必要な治療を進めるとともに、お子さんの気持ちや発達段階に寄り添うことも大切にしています。

このお子さんは、口に装置を入れると「オエッ」となる反射が出ることもあり、マウスピース型の装置に慣れるまで配慮が必要でした。経過の中では、装置を一度作り直したこともあります。

その都度、お子さんが受け入れられる方法や取り組める範囲を確認し、状態に合わせて対応することを大事にして、治療を進めていきました。

また小児歯科では明らかになった問題点を、年齢や発達、歯列の状態に応じて順次解決していき、正常な成長軌道に乗せていく、といった方法をとります。お子さんの成長にあわせて、寄り添うようにサポートをすることが重要だと考えています。

4)これからの生え替わりも、予防とともに見守ります

今後も、永久歯への生え替わりや顎の成長に伴う変化を確認していきます。

現在8歳になり、前歯の噛み合わせは整いましたが、これからも成長に合わせた確認は続きます。

このお子さんでは、今後生えてくる小臼歯(犬歯の後ろに並ぶ永久歯)の噛む面に「中心結節」という突起がある可能性があるため、生えてきた際に確認し、折れないための注意や必要な対応を検討していく予定です。また、前歯の噛み合わせが再び反対にならないかについても、継続して見守っていきます。

小児歯科で大切なのは、そのときの問題を治療することに加え、次の成長段階を見据えて予防と管理を続けることです。

当院では、むし歯・歯周病・歯並びの3つの予防を大切にしながら、お子さんの成長を支えていきます。痛がるなどの気になる症状がない時期から、口の状態や発育の確認のために、定期的に歯科医院を受診されることをおすすめします。

5)まとめ

  • ・小児歯科では、むし歯や歯の本数、噛み合わせなどの問題について、原因を調べ、成長に合わせて必要な治療を進めます。
  • ・むし歯の治療、顎の成長や噛み合わせへの対応、歯が並ぶスペースの確保など、治療の内容や順序は、お子さんの口の状態に合わせて決めます。
  • ・過剰歯は、永久歯が生えるのを妨げたり、歯並びに影響したりすることがあります。歯の向きや位置を確認し、抜歯が必要か、いつ抜くかを判断します。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

こどもの反対咬合はプレオルソでどう治る? 実際の症例を紹介

2026年9月20日

岩国市 プレオルソ 反対咬合
岩国市 受け口 プレオルソ
こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医で副院長の吉村剛です。

前回は、こどもの反対咬合(はんたいこうごう:下の歯が上の歯より前に出て噛み合う状態。受け口とも呼ばれ、下顎前突を伴う場合もあります)の原因や、早期治療を行う目的、プレオルソによる治療が適している症例について解説しました。

参考リンク: プレオルソで、こどもの受け口は治せる?
岩国市 小児矯正 プレオルソ

前回に引き続き、今回は実際にプレオルソで反対咬合を改善した3症例について解説します。

今回ご紹介するのは、姉と二卵性双生児(弟・妹)という、3姉弟の症例です。

同じ「受け口」であっても、反対咬合の原因や歯の傾き、顎の成長方向、舌の位置などは一人ひとり異なります。

そのため、3人に同じ治療を行ったわけではありません。

プレオルソを中心に、必要に応じてリンガルアーチやMFT(口腔筋機能訓練)を組み合わせました。

※掲載する症例は、患者さんと保護者の方の同意を得たうえで、個人が特定されないよう配慮しています。治療結果には個人差があります。

1.家族性の反対咬合

今回のご家族では、お父さんとお母さんには反対咬合がありませんでした。

父方のいとこに受け口の傾向があったそうです。

そして、姉と二卵性双生児の弟妹の3人全員に、反対咬合が認められました。

二卵性双生児だからといって、遺伝情報が完全に同じではありません。

双子の2人に反対咬合があり、年齢の異なる姉にも同じ傾向がみられたため、遺伝的な要因が関係している可能性を考えた症例でした。

ただし、兄弟姉妹で同じ噛み合わせになったからといって、原因や治療方法まで同じとは限りません。

実際に診査すると、前歯の傾き、顎の成長方向、舌や口周りの筋肉の使い方には、それぞれ違いがありました。

2.実際の症例

2-1)症例1 8歳女児 受け口が3か月で正常な噛み合わせに改善
岩国市 小児矯正 プレオルソ初診時年齢:8歳7ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:3か月/治療費総額42万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など

8歳7ヵ月で、反対咬合の治療をスタートしました。

8歳7ヵ月 プレオルソ+リンガルアーチで矯正スタートです
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3か月後 前歯の反対咬合が改善しました
岩国市 小児矯正 プレオルソ

1年後
岩国市 小児矯正 プレオルソ

プレオルソは、歯を一本ずつ移動させる装置ではありません。

上下の歯の噛み合わせや、舌・唇・頬の筋肉のバランスを整えながら、反対咬合の改善をめざす装置です。

姉のお子さんには、上の前歯を積極的に外側へ動かす必要があったため、固定式のリンガルアーチを併用しました。

また、低位舌(ていいぜつ:舌が本来の位置より低いところにあり、舌を上へ持ち上げる動きが苦手な状態)がみられたため、MFT(口腔筋機能訓練)も併用しました。

ただし、現時点で前歯の反対咬合が改善していても、将来の下顎の成長まで確定したわけではありません。

永久歯への生え変わりや思春期の成長を確認するため、治療後も定期的に経過を観察しています。

2-2)症例2 5歳男児 受け口が10か月で正常な噛み合わせに改善
岩国市 小児矯正 プレオルソ初診時年齢:5歳2ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:10か月/治療費総額25万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など

5歳2ヵ月でプレオルソ+リンガルアーチで治療スタート
岩国市 小児矯正 プレオルソ

6か月後
岩国市 小児矯正 プレオルソ

10か月後 前歯の反対咬合が改善しました
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3姉弟の中では、前歯の反対咬合が改善するまでに最も時間を要した症例でした。

このお子さんに対してもMFTを併用しました。

MFTによって舌や口周りの筋肉の使い方が整ったことも、噛み合わせの維持に役立った可能性があります。

その後、上顎の前歯は永久歯に生え変わりましたが、正常な噛み合わせを維持できています。

2-3)症例3 5歳女児 受け口が6か月で正常な噛み合わせに改善
岩国市 小児矯正 プレオルソ初診時年齢:5歳6ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:6か月/治療費総額37万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など

5歳6ヵ月でプレオルソ+リンガルアーチで治療スタート
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3か月後
岩国市 小児矯正 プレオルソ

6か月後 前歯の反対咬合が改善しました
岩国市 小児矯正 プレオルソ

3.3症例を比較して分かること

プレオルソだけでは十分でない症例もある

プレオルソは、噛み合わせと口周りの筋肉のバランスを整えるために有効な選択肢です。

しかし、内側へ傾いた上顎前歯を積極的に動かす必要がある場合などには、リンガルアーチのような固定式装置を併用することがあります。

「受け口にはプレオルソ」と一律に考えるのではなく、歯をどの方向へ、どの程度動かす必要があるのかを診断することが重要です。

歯並びだけでなく、舌や唇の使い方も確認する

装置によって前歯の反対咬合が改善しても、低位舌や口呼吸、口唇閉鎖不全(こうしんへいさふぜん:安静時に唇を自然に閉じにくい状態)などが残っていることがあります。

MFT(口腔筋機能訓練)は、舌、唇、頬などを適切に使うためのトレーニングです。MFTだけで、顎の骨格差が関係する反対咬合を改善することは困難ですが、必要に応じて矯正装置と組み合わせることで、口腔機能の改善をめざします。

4.まとめ

  • ・下顎前突(かがくぜんとつ:下顎が上顎より前方に位置している状態)は、遺伝的な要因が強く関係していることもある不正咬合(ふせいこうごう:歯並びや噛み合わせに問題がある状態)です。
  • ・プレオルソを含むマウスピース型の矯正装置には、骨格の特徴によって向き・不向きがあります。そのため、治療前の診査・診断が重要です。
  • ・当院では、マウスピース、リンガルアーチ、MFTを症状に応じて組み合わせています。遺伝的な要因が関係すると考えられる反対咬合でも、一定の改善がみられる場合があります。

お子様の受け口が気になる方へ

子どもの反対咬合には、歯の傾きが中心となっているもの、顎を前へずらして噛むことで起こるもの、上下の顎の骨格差が関係するものなどがあります。

見た目だけで、プレオルソが適しているかどうかを判断することはできません。

当院では、歯並びや噛み合わせだけでなく、顎の成長方向、永久歯の状態、舌や口周りの筋肉の使い方などを確認したうえで、治療の必要性や開始時期をご説明します。

「乳歯の受け口をそのままにしてよいか分からない」

「兄弟に受け口があり、ほかの子も心配」

「プレオルソだけで治療できるか知りたい」

このような場合は、まずは無料矯正相談をご利用ください。

▶ 無料矯正相談について詳しく見る

https://tsuboikyousei.com/soudankai/

▶ 当院の小児矯正について詳しく見る

https://tsuboidental.com/pediatric/

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

プレオルソでこどもの受け口は治せる?

2026年9月16日

岩国市 受け口 プレオルソ
岩国市 小児矯正 プレオルソ

こんにちは。医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。

今回は、プレオルソを使ったこどもの反対咬合(はんたいこうごう:下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせ)の矯正治療についてお話しします。反対咬合は『受け口』とも呼ばれ、下顎前突(かがくぜんとつ:下顎が上顎より前方に出ている状態)を伴うこともあります。

先に結論を知りたい方へ

プレオルソで改善を目指せる受け口もあります。ただし、すべての反対咬合に適しているわけではありません。

歯の傾き、顎の骨格や成長方向、舌の使い方などを確認したうえで、治療方法を判断します。

知りたい内容から読む

※掲載する症例は、患者さんと保護者の方の同意を得たうえで、個人が特定されないよう配慮しています。治療結果には個人差があります。

1)反対咬合(受け口・下顎前突)は遺伝的な要因が関係することがあります

反対咬合(下顎前突)は、不正咬合(ふせいこうごう:歯並びや噛み合わせに問題がある状態)の中でも遺伝的な要因が関係しやすいと考えられています。

親子や兄弟姉妹など、同じ家族の中に反対咬合の人がいることは珍しくありません。ご両親に受け口がなくても、祖父母や親戚に同じような骨格的特徴がみられることもあります。

反対咬合の家族性を説明するとき、歴史上の有名な例として挙げられるのが、ヨーロッパの王家であるハプスブルク家です。

ハプスブルク家の人々を描いた肖像画には、下唇や下顎が前方へ出て見える特徴的な顔立ちが、何世代にもわたって描かれています。この特徴は、歴史的に「ハプスブルク家の顎(Habsburg jaw)」と呼ばれてきました。
岩国市 受け口 プレオルソ

ハプスブルク家では、王家の血統や領土を維持するため、血縁関係の近い人同士の結婚が繰り返されました。その結果、顎や顔立ちに関する遺伝的な特徴が、家系内で現れやすくなった可能性があると考えられています。実際に、ハプスブルク家15名を描いた66点の肖像画を、複数の顎顔面外科医が評価した研究があります。この研究では、『ハプスブルク家の顎』には下顎前突だけでなく、上顎の成長不足も関係している可能性が示されています。

参考文献:Vilas R, et al. Is the “Habsburg jaw” related to inbreeding? Annals of Human Biology. 2019.

2)反対咬合には、舌の位置や使い方も関係します

多くの反対咬合のお子さんを診察していると、骨格や歯の傾きだけでなく、舌の位置や動かし方にも特徴がみられます。

舌は何もしていないとき、先端が上の前歯のすぐ後ろ付近にあり、舌全体が上顎の内側へ軽く触れている状態が望ましいとされています。

正常
岩国市 小児矯正 プレオルソ

一方、受け口のお子さんでは、舌が低い位置にあり、下の前歯を前方へ押すような動きをしていることがあります。

低位舌(ていいぜつ:舌が本来より低い位置にある状態)
岩国市 小児矯正 プレオルソ

また、話し方や食べ方、飲み込み方は、幼少期に家庭内で身につけていくものでもあります。

顎や舌の形といった遺伝的な要素に、家庭内で身につく発音や食べ方などの環境的な要素が重なることで、兄弟姉妹に似た口の使い方や噛み合わせが現れる可能性があります。

ただし、舌の位置だけが反対咬合の原因とは限りません。骨格や噛み合わせの影響で、結果として舌が低い位置(低位舌)になっていることもあります。

そのため当院では、歯並びだけでなく、舌の位置や動き、飲み込み方、発音なども確認します。必要に応じて、MFT(口腔筋機能訓練)を行っています。
岩国市 小児矯正 プレオルソ

関連記事 MFT特集その7 舌癖と歯列不正のメカニズムについて

https://tsuboidental.com/blogs/archives/6811

3)反対咬合は思春期に悪化することがあります

反対咬合には、思春期に身長や手足が伸びる時期とともに、下顎の成長が目立ってくることがあるという特徴があります。

そのため、思春期を迎える前に前歯の反対咬合を一度改善し、上顎や永久歯が正常に成長しやすい環境を整えておくことは、将来の噛み合わせを考えるうえで大切です。

上下の前歯の噛み合わせがいったん正常になれば、噛むことそのものが「上の歯が下顎を引っ込め、下の歯が上の歯を外側に押す」という矯正力として働くためです。

その後の思春期成長で、反対咬合が再発したとしても、小児期に一度も治療しなかった場合とくらべて軽症で済む可能性が高いのです。その結果、将来的に顎の骨を手術で動かす外科的矯正治療を避けられる場合もあります。

もちろん、幼少期に治療を行えば、将来の骨切り手術(顎の骨を手術で動かす外科的矯正治療)を絶対に回避できるわけではありません。下顎の成長そのものを完全に止めることはできないため、早期に反対咬合が改善しても、思春期以降まで経過を確認する必要があります。

それでも、将来の悪化を少しでも抑えるため、成長期の治療は大切な選択肢だと考えています。

4)反対咬合の特徴をおさらい

反対咬合には、主に次のような要因が関係します。

  • ・上の前歯が内側へ傾いている
  • ・下の前歯が外側へ傾いている
  • ・上顎の成長が小さい
  • ・下顎の成長が強い
  • ・噛み合わせによって下顎が前方へ誘導されている
  • ・舌の位置や口周りの筋肉の使い方に偏りがある

実際には、1つの要因だけでなく、複数の要因が重なっていることもあります。

歯の傾きが中心となっている反対咬合と、上下の顎の骨格差が大きい反対咬合とでは、治療方法も将来の見通しも異なります。そのため、「受け口だから同じ装置で治療する」のではなく、原因を見極めるための診断が重要です。

5)プレオルソとは?

岩国市 小児矯正 プレオルソ

プレオルソは、主に成長期のこどもに使用する、やわらかい素材でできたマウスピース型の矯正装置です。

歯を1本ずつ細かく動かす成人用のマウスピース型矯正装置とは、役割が異なります。プレオルソは、口周りの筋肉や舌の使い方を整えながら、噛み合わせや歯並びの改善を目指します。

一般的には、日中の1〜2時間と寝ている間に装着します。ただし、必要な装着時間や使用期間は、お子さんの年齢、症状、使用する装置によって異なります。

また、プレオルソだけですべての反対咬合を治療できるわけではありません。前歯をより積極的に動かす必要がある場合や、歯列の形を整える必要がある場合には、固定式の装置を併用することがあります。当院でも、プレオルソに加えて、歯の裏側に装着する固定式装置のリンガルアーチや、上顎の歯列を横に広げる固定式装置のクワドヘリックス、MFT(口腔筋機能訓練)を症状に応じて組み合わせることで、より良い成果を上げています。
岩国市 小児矯正 プレオルソ

6)プレオルソと相性のよい反対咬合とは?

顔や顎の成長方向には個人差があります。

矯正歯科では、顔が縦方向に成長する傾向を『ドリコフェイシャル』、横方向の幅があり、噛む力が強く、深い噛み合わせになりやすい傾向を『ブラキフェイシャル』と呼ぶことがあります。

ドリコフェイシャル傾向

  • ・顔が縦長になりやすい
  • ・噛み合わせが浅い、または前歯が噛み合わない開咬になりやすい
  • ・歯が並ぶスペースが不足しやすい
  • ・治療によって噛み合わせの高さが増えすぎないよう注意が必要

ブラキフェイシャル傾向

  • ・顔の横幅が比較的広い
  • ・噛む力が強い傾向がある
  • ・噛み合わせが深くなりやすい
  • ・顎関節や歯に強い力が加わることがある

プレオルソを含むマウスピース型の装置は、深い噛み合わせを浅くすることが得意です。つまり、お子さんがブラキフェイシャル傾向の場合、プレオルソとの相性が良いのです。
岩国市 受け口 プレオルソ

一方、縦方向への成長が強いお子さんでは、噛み合わせがさらに浅くなったり、顔の縦方向の成長が強くなったりしないか、慎重に確認しながら使用する必要があります。

装置がお口の状況に適しているかどうかの選択は、見た目だけでは判断できません。当院では、お口の中の診査やレントゲン検査、必要に応じたセファロ分析(頭部のレントゲン写真を使って、顎の大きさや位置、成長方向などを調べる検査)などをもとに治療方法を検討します。

7)この記事のまとめ

  • ・反対咬合は、下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせです。
  • ・反対咬合には、歯の傾き、顎の骨格、遺伝、舌の使い方などが関係します。
  • ・プレオルソだけでなく、リンガルアーチやMFTを組み合わせる必要がある場合があります。
  • ・早期治療には、前歯の噛み合わせや顎の成長環境を整える目的があります。
  • ・治療後も思春期の下顎成長を確認するため、長期的な経過観察が必要です。

8)よくある質問

Q1.こどもの受け口は、自然に治ることがありますか?

乳歯の生え方や噛む位置によって一時的に反対咬合に見えるケースでは、成長や歯の生え変わりに伴って改善することがあります。

しかし、自然に改善するかどうかを家庭で判断するのは困難です。骨格的な要因がある場合や、下顎を前方へずらして噛む習慣がある場合には、早めに診断を受けることをおすすめします。

Q2.何歳から相談するのがいいですか?

乳歯が生えそろい、反対咬合が確認できる3〜5歳頃からご相談いただけます。

ただし、診断を受けたら必ずすぐに装置を使用するわけではありません。お子さんの成長、症状、装置を使用できるかどうかを確認し、治療開始時期を検討します。

Q3.プレオルソだけで受け口を治せますか?

プレオルソだけで改善を目指せる症例もありますが、すべての反対咬合に対応できるわけではありません。

前歯を積極的に動かす必要がある場合には、リンガルアーチなどの固定式装置を併用することがあります。骨格的な問題が大きい場合には、別の治療方法を検討します。

Q4.プレオルソは1日に何時間使用しますか?

一般的には、日中の1〜2時間と寝ている間に使用します。

ただし、具体的な装着時間は、お子さんの症状や治療計画によって異なります。当院では、診断後に使用方法をご説明します。

Q5.治療期間はどのくらいですか?

前歯の反対咬合の改善には、半年〜1年程度かかることがあります。ただし、症状や成長の状態、装置の使用状況によって治療期間は異なります。

前歯の噛み合わせが改善した後も、永久歯への生え変わりや思春期の成長を確認するため、長期的な経過観察が必要です。

Q6.プレオルソの治療は痛いですか?

装置を使い始めた直後には、締めつけられる感じや歯や顎の違和感が生じることがあります。また、唾液が増えたり、話しにくくなったりすることもあります。

通常は使用に慣れるにつれて軽減しますが、強い痛みや粘膜の傷がある場合には、装置の調整が必要です。

Q7.MFTとは何をする治療ですか?

MFTは「口腔筋機能訓練」といい、舌、唇、頬などの筋肉を適切に使うためのトレーニングです。

お子さんの正常な発達を促すために、舌の安静時の位置、飲み込み方、口の閉じ方などを、さまざまなトレーニングを通して身につけていくプログラムです4歳~12歳の間であれば、口呼吸を鼻呼吸に改善したり、矯正の後戻りを引き起こす良くない舌癖などの改善をめざすことができます。MFTだけで骨格的な反対咬合を治すものではなく、必要に応じて矯正装置と組み合わせて行います。

Q8.両親が受け口でなくても、こどもが受け口になることはありますか?

あります。

顎や歯並びに関係する特徴は、両親だけでなく祖父母などから受け継ぐことがあります。また、遺伝以外にも、歯の生え方、顎の成長、舌や口周りの筋肉の使い方などが関係します。

Q9.早く治療すれば、将来の手術を避けられますか?

早期治療によって現在の噛み合わせを改善し、顎が成長しやすい環境を整えることはできますが、将来の外科手術を絶対に避けられるわけではありません。

下顎の成長が非常に強い場合や、上下の顎の骨格差が大きい場合には、成長終了後に外科的矯正治療が必要になることがあります。

Q10.治療後に受け口へ戻ることはありますか?

あります。

とくに骨格的な下顎前突では、思春期の下顎成長によって反対咬合が再び現れることがあります。そのため、前歯の噛み合わせが改善しても、成長終了まで定期的な確認が必要です。

9)お子さんの受け口が気になる方へ

反対咬合は、見た目だけで自然に改善するか、早めに治療を検討した方がよいかを判断することは困難です。

また、同じ受け口でも、プレオルソが適しているお子さんもいれば、別の装置や経過観察が適しているお子さんもいます。

当院では、歯並びだけでなく、顎の成長方向、永久歯の状態、舌や口周りの筋肉の使い方まで確認したうえで、治療の必要性や開始時期をご説明します。

「乳歯だから、まだ様子を見てよいのか分からない」

「家族に受け口の人がいるので心配」

「プレオルソがこどもに合うか知りたい」

このような場合は、まずは無料矯正相談をご利用ください。

無料矯正相談について詳しく見る https://tsuboikyousei.com/soudankai/

当院の小児矯正について詳しく見る https://tsuboidental.com/pediatric/

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

次回は、実際にプレオルソで反対咬合を改善した3症例について、解説します。

ぜひ、次回の記事もご覧ください。

前歯で噛めない「開咬(かいこう)」は小児期の治療が大切です

2026年7月2日


「前歯で麺類が噛み切れない」
「噛んでも、前歯が閉じない」
「いつも口が開いている(お口ポカン)」

このようなお悩みでご相談いただくお子さんが近年増えています。

背景には、食生活の変化や口の筋肉の発達不足、舌の癖など、さまざまな要因が関係していると考えられています。こうした口腔機能の問題は、2018年から口腔機能発達不全症として保険診療の対象となり、多くの歯科医院で診断・指導が行われています。

こんにちは、医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。
今回は、奥歯を噛んだ状態でも前歯が噛めない「開咬(かいこう)」についてご紹介します。

1)開咬(かいこう)とは?

開咬とは、奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わない状態をいいます。
前歯で食べ物を噛み切ることが難しく、麺類やサンドイッチなどが食べにくいだけでなく、発音や飲み込みにも影響することがあります。
一方で奥歯には強い負担がかかるため、奥歯だけがすり減っているケースもたまに見られます。

2)開咬は大人になってからの治療では大掛かりになることも

永久歯が生えそろった後の重度の開咬では、

  • ・抜歯を伴う矯正治療
  • ・顎の骨を手術で移動する外科矯正

などが必要になることがあります。

しかし、小児期は顎の骨が成長している途中です。
この時期であれば、

  • ・歯並びを適切な方向へ誘導する矯正治療
  • ・舌の癖や飲み込み方を改善する口腔筋機能療法(MFT)

を組み合わせることで、顎の成長を利用しながら改善が期待できる場合があります。

もちろん、すべての症例で手術を回避できるわけではありません。しかし、小児期に適切な治療を早めに行うことで、将来の治療の負担を軽減できる可能性があります。

では、矯正とトレーニングを頑張った結果、改善が見られた実際の症例をご紹介します。

3)実際の症例

3-1)症例1:8歳女児

定期管理で通院されていた患者さんです。
「前歯でパスタなどが噛み切れない」という症状がありました。

術前
岩国市 こども 矯正

術後(2年後)
岩国市 こども 矯正

まず、治療前(術前)の状態をご説明します。
大臼歯(奥歯)の噛み合わせは正常(Ⅰ級咬合)でしたが、舌を前へ押し出す癖(舌突出癖)が強く、それによって前歯が噛めない状態になっていました。また、上唇小帯(前歯の中央にある筋)が強く付着していました。
岩国市 こども 矯正
上唇小帯の付着が強い
岩国市 こども 矯正前歯が噛んでいない

以下の治療を併用しました。

  • ・上唇小帯の処置(ヒダがついている部分を切除する)
  • ・舌の癖を改善する柵付きの取り外し式矯正装置
  • ・下顎の軽度拡大
  • ・口腔筋機能療法(MFT)

下図:使用した装置(タンクリブ付き拡大床装置)

岩国市 矯正 こども

岩国市 矯正 こども

約2年後には前歯がしっかり噛み合うようになりました。
岩国市 矯正 こども

レントゲンによる骨格の比較では、特に上顎前歯の傾きが大きく改善し、成長を利用した良好な変化が得られました。
岩国市 矯正 こども

  • ・緑:術前 上の前歯が唇側に大きく傾斜している
  • ・赤:術後 上の前歯の傾きが改善し、歯並びが良い人の平均値にかなり近い形になった
  • ・青:歯並びが良い人の平均的な形
    岩国市 矯正 こども歯並びが改善しただけでなく、口角が上がるようになりました。
    笑うと前歯がきれいに見えるようになり、笑顔がハツラツとした印象になりました。

3-2)症例2:7歳女児

こちらも定期健診で通院されていた患者さんです。
永久歯への生え変わりとともに開咬がさらに強くなり、矯正相談にいらっしゃいました。
診査では前歯4本がまったく噛み合っておらず、このまま成長すると、将来的に抜歯矯正や外科矯正が必要になる可能性もある状態でした。

術前
岩国市 矯正 こども

2年後
岩国市 矯正 こども

まず治療前(術前)の状態をご説明します。
岩国市 矯正 こども

開咬の原因として、以下が認められました。

  • ・舌突出癖
  • ・上唇小帯の強い付着
  • ・舌小帯の強い付着

次の治療を並行して行いました。

  • ・上唇小帯・舌小帯の処置
  • ・舌の癖を改善する取り外し式矯正装置
  • ・下顎の軽度拡大
  • ・口腔筋機能療法(MFT)

約2年後には前歯が噛み始め、骨格分析でも上顎前歯の角度が大きく改善しました。
岩国市 矯正 こども

*写真はワイヤーが一部外れています。この後、修理しました。

レントゲンによる骨格の比較では、特に上顎前歯の傾きが大きく改善し、成長を利用した良好な変化が得られました。

  • ・黄色:術前 上の前歯が唇側に大きく傾斜している
  • ・緑色:術後 上の前歯の傾きが改善した
    岩国市 矯正 こども

骨格的には大きな変化が見られ、外科的な処置が必要となる可能性は低くなったと考えられます。
現在は上顎の装置を変更して、より深く噛み合うように、矯正と指導を継続しています。

この患者さんには軽度の発達特性があり、矯正装置とトレーニングを継続することは決して簡単ではありませんでした。それでも、ご本人とご家族が一緒に頑張ってくださり、大きな改善につながりました。

4)開咬は「形」と「機能」の両方を治すことが大切です

開咬では、

前歯で噛めないために舌の癖が悪化し、舌の癖によってさらに噛めなくなる

という悪循環が起こります。

歯並びや顎の形(形態)が変われば、お口の使い方(機能)も変わります。
そして、お口の機能が改善すれば、改善した歯並びも安定しやすくなります。

そのため、当院では矯正治療だけでなく、MFT(口腔筋機能療法)も組み合わせながら、お子さん一人ひとりに合わせた治療を行っています。

「前歯で噛めない」
「食べ物が噛み切れない」
「お口がいつも開いている」

このような症状が気になる場合は、お早めにご相談ください。
成長期だからこそできる治療があります。

5)まとめ

  • ✓ 開咬(前歯が噛み合わない状態)は、小児期に改善できる可能性があります。
  • ✓ 原因は歯並びだけではなく、舌の癖や口の筋肉の使い方が大きく関係しています。
  • ✓ 矯正治療と口腔筋機能療法(MFT)を組み合わせることで、顎の成長を利用した改善が期待できます。
  • ✓ 早い時期に治療を始めることで、将来の抜歯矯正や外科手術が必要となる可能性を減らせる場合があります。
  • ✓ 「前歯で噛めない」「食べ物が噛み切れない」「お口ポカン」が気になるお子さんは、一度ご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

小児の部分矯正とは?少数歯を短期間で整える「MTM」について

2026年4月23日

岩国市 歯科 部分矯正

 

こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。

今回は、小児の部分矯正についてお話しします。

たとえば、

  • ・この1本だけ、なかなか生えてこない
  • ・12歳臼歯が手前の歯にひっかかって、まっすぐ生えてこない

このように、一部の歯だけにトラブルが起きていることがあります。

こうした場合に行うのが、MTM(マイナー・トゥース・ムーブメント)です。

MTMとは、少数の歯だけを動かして整える部分的な矯正治療のことです。

今回は、実際の症例も交えながら、できるだけわかりやすくご紹介します。

1)全顎矯正と部分矯正

矯正には「全体を整える治療(全顎矯正)」と「一部だけ整える治療(部分矯正)」があります。
岩国市 小児歯科 矯正

1-1)全顎矯正

お口全体のかみ合わせや歯並びを整える治療です。

  • ・ワイヤー矯正
  • ・アライナー矯正(インビザライン、クリアコレクト、SMARTEEなど)
  • ・小児予防矯正(プレオルソ、マイオブレイス、ムーシールドなどの既成マウスピース)
  • ・小児矯正(固定式・取り外し式の拡大装置を用いて、顎の大きさや歯の並ぶスペースを整える治療)

1-2)部分矯正

気になる一部分だけを治療する方法です。

  • ・前歯だけなど、限られた範囲を整える部分矯正
  • ・自然には正しい位置に生えにくい永久歯を、正しい方向へ導く小児部分矯正

2)小児矯正における「全顎矯正」と「部分矯正」の違い

  • お口ぽかん
  • 口呼吸
  • 舌の癖
  • 飲み込み方や姿勢の問題
  • 顎の成長バランス

こうした問題に対して、MFT(口腔筋機能療法)や既成のマウスピース型装置を使いながら、顎全体やお口の機能を育てていく治療は、全体をみる矯正治療にあたります。

一方で、永久歯への生え変わりの時期には、

  • ・歯の生え方のトラブル
  • ・歯が本来と違う場所・向きに生えてくること

といった問題が起こることがあります。

このような場合には、まず特に問題のある1本、あるいは限られた数本の歯を優先して治療することがあります。

全体を一度に動かすのではなく、まずはトラブルの大きい部分を整えることで、その後の治療が進めやすくなることもあるためです。

このような、少数の歯を対象にした矯正治療がMTMです。
岩国市 小児歯科 矯正

3)実際の小児MTM症例

12歳臼歯(第二大臼歯)が斜めに生えてきたケース

ここからは、当院で実際に治療した症例をご紹介します。

この患者さんは、ほかの歯並びやかみ合わせには大きな問題がなかった一方で、12歳臼歯(第二大臼歯)だけが手前の歯にひっかかり、自力ではうまく生えてこられない状態でした。
岩国市 小児歯科 矯正

術前の写真では、12歳臼歯が斜めの方向に傾いたまま生えてきていることがわかります。

このままでは自然な改善が難しいため、その歯だけを対象に矯正治療を行いました。
岩国市 小児歯科 矯正

治療開始から6か月後には、12歳臼歯が起き上がってきて、正しい方向へ近づいています。

この患者さんは、臨床上問題ないレベルまで歯が起き上がったタイミングで装置を取り外し、あとは歯の根っこの完成を見守りつつ、上下の歯が噛み合う中での「噛み合わせの完成」を待つことになりました。

 

僕は大学時代にもよく似た症例を何度も経験しており、実は論文も書いています(大臼歯の近心傾斜および萌出不全に対する効率的な咬合誘導 吉村剛ら 小児歯科学雑誌 47巻5号)。
岩国市 小児歯科 矯正

この症例でも、論文で発表した設計の矯正装置を用いました。
岩国市 小児歯科 矯正

この装置は、

  • ・シンプル
  • ・歯の裏に装置が来るので目立たない
  • ・歯みがきがしやすい
  • ・違和感が少ない

といった特徴があります。

装置装着後、右側の奥歯は約3か月、左側も約6か月ほどで生える方向が修正されました。

岩国市 小児歯科 矯正

4)第二大臼歯の近心傾斜は比較的よくみられるトラブル

第二大臼歯の近心傾斜は、決して珍しいものではなく、比較的よく問題になります。

今回は、歯列のガタガタや、受け口、出っ歯といった全体的な歯並びの問題がなかったため、この部分的な治療だけで終了しました。

ただし、患者さんによっては、

  • ・歯が並ぶスペースが足りない
  • ・全体のかみ合わせにも問題がある

といったケースもあります。

その場合は、MTMで一部分の問題を改善したあとに、さらに全体の矯正治療が必要になることもあります。
岩国市 小児歯科 矯正

5)当院の矯正治療について

今回は比較的シンプルな装置で改善できた症例でしたが、矯正治療はいつも同じ方法で対応できるものではありません。

大切なのは、矯正の基本原則を踏まえながら、その患者さんに合った方法を考えることです。

当院では、矯正治療について複数の歯科医師が院内でカンファレンスを行い、それぞれの得意分野や治療経験を持ち寄って、よりよい治療法を検討しています。

「この歯だけ、少し気になる」

「自然に生えてくるのを待っていいのか心配」

そのような場合も、まずは一度ご相談ください。

6)まとめ

いかがでしたか?

  • ・矯正治療には、お口全体を整える全顎矯正と、一部だけを整える部分矯正があります。
  • ・小児では、永久歯の生え変わりの時期に、歯の生え方のトラブルや生える位置のずれが起こることがあります。
  • ・そのような場合、まず問題のある歯だけを優先的に治療する方法があり、これをMTM(少数歯の移動)といいます。
  • ・まずは「様子を見てよいのか」「治療が必要なのか」を確認するためにも、早めの相談がおすすめです。

最後までお読みいただきありがとうございました

こどもの歯並び相談は何歳から? 歯科医が答える0歳〜12歳の年齢別Q and A

2026年3月5日

岩国市 歯科 小児矯正
岩国市 歯科 小児矯正
こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 院長の坪井です。

「うちの子、少し受け口気味かも?」

「周りの子は矯正を始めているけれど、うちはまだ早い?」

 

大切なお子さんの歯並びだからこそ、「最善のタイミングで相談したい」と思うのは自然なことです。

でも、いつ歯科医院に行けばいいのか、迷ってしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、小児矯正には『その年齢でしかできない治療』があり、相談のタイミングはお子さんの成長段階によって異なります。

本記事では、歯科医師の視点から0歳から12歳までの年齢別に『よくある悩み』と『歯科医院での診断基準』をQ&A形式でまとめました。お子さんの年齢に合わせて、まずは今チェックするポイントを確認してみてくださいね。
岩国市 歯科 小児矯正

1. 【0~2歳】乳歯が生え揃うまでの時期

Q. 下の前歯が出ている(受け口)気がします。すぐに矯正が必要ですか?

A. いいえ、この時期はまだ心配ありません。

0〜1歳頃は、赤ちゃんが遊びで下顎を前に出しているだけのことが多く、骨格的な受け口(反対咬合)と診断するには早い時期です。

本格的な治療は一般的に3歳頃から検討しますので、まずは見守りましょう。
岩国市 歯科 小児矯正

Q. 歯が生えるのが遅いのが心配です。/歯が生える順番が違うようで不安です。

A. 歯が生える時期が半年程度ズレることは問題ありません。

たとえ将来的に歯が足りない(先天性欠如)などの可能性があっても、この年齢ではレントゲン撮影や矯正治療が難しいのが実情です。検査をしても、検査結果によらず経過観察となることが多いです。

まずは3歳を過ぎるまでは、焦らず経過を見ていきましょう。

★この時期のポイント

「お口ポカン」や「口呼吸」の癖がないか確認しましょう。

また、離乳食では「スプーンを口に入れない」「手掴み食べさせる」「食材を大きいまま・長いまま出す」ことで、上唇で捕食する力、噛む力を育てることが大切です。

参考リンク:

授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?

授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?


2. 【3~4歳】歯列早期治療の検討期

Q. 「お口ポカン」や「いびき」が気になります。歯並びに関係ありますか?

A. 大いに関係があります。

口呼吸や指しゃぶりのクセは、顎の成長をさまたげ、将来的な歯並びの乱れにつながります。

3歳を過ぎると、マウスピース型の装置などを使って、こうした「悪習癖」を改善する早期治療が可能になります。

また、口腔機能発達不全が認められる場合は、MFT(口腔筋機能訓練)を通して、口腔機能を育てることも重要です。

参考リンク:

MFT特集 その4 お口ポカンの影響と直し方について

MFT特集 その4 お口ポカンの影響と直し方について


Q. 3歳児検診で「反対咬合:はんたいこうごう(受け口)」と言われましたが、治療できますか?

A. はい、治療を開始できる年齢です。

3歳頃になると、部分的な反対咬合(はんたいこうごう)などは装置を使って改善できるケースが増えてきます。まずは歯科医院で「歯並びが正常かどうか」「口腔機能(正しく口が使えているか)」のチェックを受けることをおすすめします。
岩国市 歯科 小児矯正

参考リンク:

低年齢の受け口治療 ~目立たない装置で、短期間で改善する!~

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矯正の早期治療(3歳~)がおススメな症例とは?

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ムーシールドで反対咬合治療(3歳)インスタグラム
https://www.instagram.com/p/C7lcuIAPfgq/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA%3D%3D

 

3. 【5〜6歳】お口のトレーニング(MFT)と歯列早期治療の適齢期

Q. 乳歯の歯と歯の間に隙間がなく、綺麗な歯並びで生えています。その場合、将来歯並びがガタガタになりやすいと聞いたのですが…?

A. その可能性が高いです。今が「顎を育てる」チャンスの年齢です。

乳歯の時期に隙間がない(閉鎖歯列)場合、歯並びより一回り大きなサイズの永久歯が並びきらずに叢生:そうせい(ガタガタ)になるリスクがあります。この時期は、顎を広げる矯正装置や、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニング(MFT:口腔筋機能訓練)が最も効果を発揮する時期です。

Q. いつも口が開きっぱなしです。あいうべ体操など、できることは試してみましたが改善しません。どうすれば良いですか?

A. 専門的なトレーニング(MFT)をおススメします。5〜6歳はMFTで「お口を閉じる力」を身につける絶好の時期です。

この年齢になると、お子さんの理解力もぐんと高まり、「なぜこの練習が必要なのか」を自分で意識して取り組めるようになります。セルフケアで効果が出なかった子でも、プロの指導のもとでトレーニングを始めると、劇的に改善するケースも多いです。
岩国市 歯科 小児矯正

Q. 3歳の時に一度マウスピース矯正を試みたのですが、こどもが嫌がって使ってくれませんでした。5歳になって再挑戦しても使ってくれないかもと不安です。

A. 3歳という年齢は、まだ「どうして歯並びを治療しないといけないのか」について理解できず、中には嫌がってしまうお子さんもいます。しかし、3歳でできなかった子でも、5〜6歳になれば「できる」ようになる子がほとんどです。

ただ、「せっかく始めたのに途中で続けられなかった」という経験があると、ご不安になる保護者の方のお気持ちは自然なことです。使用感の良い市販のお試し用装置(矯正する力はありませんが、口唇のトレーニングなどに用いることができます)などもご用意していますので、「うちの子が出来るかどうか不安」という方も、ぜひご相談ください。

参考リンク:

子どもがプレオルソを嫌がる場合、どうしたら良い?

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ムーシールドを嫌がる場合、上手に使うコツは?

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4. 【6〜9歳】小児矯正の「黄金期」

Q. 将来的に歯並びがとても悪くなるなら矯正しないととは思うのですが、軽度の歯のガタガタ程度なら大人になってからでも良いかな?と思っています。将来的にどの程度、歯並びがガタガタになるか、事前に調べることはできますか?

A. ある程度、可能です。上下の前歯が4本揃った時が、最も詳しい分析ができる「黄金期」です。

小野の回帰式という、乳歯から永久歯に生え変わる際、あごの中にどれくらいのスペースが必要かを予測する計算式で、事前にある程度分析することが可能です。まずはご相談ください。

Q. 前歯が生え変わりましたが、乳歯の時よりガタガタして見えます。このまま様子を見ていて大丈夫ですか?

A.大丈夫な場合とそうでない場合があるため、歯科医院でご相談ください。 今がまさに、様子を見るか治療を始めるかの分岐点です。

乳歯よりも大きな永久歯が生えてくるため、この時期に重なりが出るのは自然なことでもあります。しかし、それが「一時的な重なり」なのか「あごのスペースが足りない」のかは、見た目だけでは判断できません。当院ではこの時期に、すでに生えている前歯の横幅から、まだ生えていない奥の歯の大きさをミリ単位で予測する分析を行っています。

Q. 中学生になってからでは遅いですか?なぜ今、相談すべきなのですか?

A. 「歯を抜かずにきれいに並べる」ための土台が作れる、唯一の時期だからです。

中学生になってからの矯正では、すでに成長が終わった顎の中で歯を並べるため、健康な歯を抜いてスペースを作る必要が増えます。
しかし今なら、あごの成長をサポートして「歯が並ぶ十分な広さ」を作ってあげることができます。
この時期を逃すと、あごを広げることは難しくなります。
岩国市 歯科 小児矯正

Q. 「10歳を過ぎると小児矯正は手遅れ」と聞いたことがありますが、本当ですか?

A.手遅れではありませんが、、口腔機能獲得の「トレーニングの効果」が出にくくなるのは事実です。

形態(歯並び)は抜歯などが必要となったとしても、成人してからも治療可能です。
しかし、お口をポカン(口呼吸)の改善や、低位舌などの舌の悪いクセは、10歳を過ぎると改善が非常に難しくなるのです。
「お口を閉じる」「鼻で呼吸する」といった正しい機能を楽に身につけられるのは今がラストチャンスです。

参考リンク:

歯並びが治れば滑舌が改善する!?~滑舌と歯並びの関係~

歯並びが治れば滑舌が改善する!?~滑舌と歯並びの関係~


 

5. 【10~12歳】小児矯正のタイムリミット

Q. もうすぐ中学生ですが、今からでも間に合いますか?

A. 永久歯の生え変わり状況によります。乳犬歯が残っていれば、まだ小児矯正の枠組みで対応できる可能性があります。
もし全ての歯が永久歯に生え変わってしまうと、大人の矯正(成人矯正)として扱うことが一般的です。
その場合は、乳歯と永久歯の生え変わりを見守りながら、成人矯正を始めるタイミングを見極めていきます。

Q. 12歳でMFT(お口のトレーニング)はできますか?ずっと口で呼吸しているので心配です。

A. トレーニング自体は可能ですが、10歳未満の頃のような劇的な変化を出すのが難しい時期に入っています。
そのため、当院では、12歳を過ぎたお子さんに対して、費用や時間をかける「通院して習い事のように継続的に取り組むMFT」は積極的にはおすすめしておりません。

参考リンク:

MFT(口腔筋機能訓練)特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!

MFT(口腔筋機能訓練)特集その3 お口の機能発達は10歳までが勝負!


 

6. まとめ:迷ったら早めの確認を

お子さんの歯並びは、単に見た目の問題だけでなく、「正しく噛む」「鼻で呼吸する」といった全身の健康に直結する機能の問題でもあります。

以下に年齢ごとのポイントをまとめます。

  • ・0〜2歳:
    お口の癖をチェック
  • ・3〜6歳:
    早期治療やトレーニングを検討
  • ・6〜9歳:
    精密な分析と顎の成長サポート
  • 岩国市 歯科 小児矯正

「まだ早いかな?」と思っても、相談は早すぎることはありません。

適切な時期を逃さないために、お子さんの年齢に合わせたポイントを意識してみてくださいね。

この記事についてくわしく聞きたい、または個別にお子さんのお口の状態を確認したい場合は、お気軽にスタッフまでお声がけください。

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