当院の診療体制のこと
2019年10月1日
こんにちは、つぼい歯科クリニック 院長の坪井です。
本日は、歯と口の知識ではなく、当院の診療体制についてお話させていただきたいと思います。
最初は予約優先制でした
当院は、約4年前の2016年1月に開業しました。
当初は歯科医師は私1名で、診療室も3部屋からのスタートでした。
当初は予約優先制で診療させていただいておりましたが、開業から半年くらいまで、待ち時間が50~60分となってしまうことも、少なくありませんでした。
「これ、予約の意味ありますか?」
と患者さんにお叱りを受けたこともありました。
「治療が終わる時間が分からないから、半日予定をあけなきゃいけない。
予約を取ろうにも、それだけの時間、予定が空いてる時がない。
ちゃんと、治療を終えたいけれど…」
と、予約が取れないとお困りの方もいらっしゃいました。
また、
「子どもが預けられないから、治療を受けたいけれど歯科医院に行けない」
という方のために、最初は現在のように保育士ではなく、歯科助手がお子さんをお預かりする形で、予約制で無料託児を始めました。
患者さんには好評で良かったのですが、前の託児枠をご使用の方の治療時間延長により
「1枠に1人のみのお子さんをお預かりする安全な託児」という方針の維持が難しくなってしまいました。
「このままではいけない。もっと、通いやすい医院にしなければ。予約外の方を診療した結果、予約してご来院の患者さんが通いにくくなってしまっている。ご予約の方が通いやすい体制を目指そう!」
開業後1年ほどたったころ、そのように思うようになりました。
「お待たせしたくない」でも「今日、辛い思いをされている方の助けにもなりたい」という葛藤
内科や整形外科、婦人科とは異なり、歯科医院の場合、長い待ち時間を患者さんはとても嫌がられます。
治療中は通院頻度が高いというのも原因だと思いますし、歯科は婦人科や眼科、耳鼻科や皮膚科よりは診療所の数が多いので、夕方や土曜日を除けば、そこまで待たされないというイメージもあるためかもしれません。
無料託児も、大規模に大勢の保育士さんを確保している医院ならともかく(そのような歯科医院は今のところ日本に存在しないと思いますが…)予約時間がずれてしまうと維持できません。
解決策は「完全予約制」。
お待たせしない代わりに、予約をしてご来院くださいね、という仕組みです。
お待たせ時間を限りなく少なくするために、
治療予定を立て、個々の患者さんのその日の治療に合わせて、治療の道具などを前もって準備して患者さんをお待ちします。
その代わりに「今日すぐ診て欲しい」とおっしゃる患者さんへの対応が難しくなってしまいます。
使っていない診療室は、数分後に来られる予定の予約患者さんのために準備してありますから、キャンセルなどで、まとまった時間が空いていないと、当日の診療申し込みには対応が、難しくなってしまうのです。
多くの歯科医院が、同じ葛藤を抱えていると思うのですが、
「患者さんをお待たせすることなく、スムーズに診療したい」
「いま痛い、詰め物が外れて辛い、という患者さんも診てさし上げたい」
この2つの両立が非常に難しいのです。
術者の予約が空いていない、診療室が空いていない状態で急患を受けるほど、予約の方をお待たせしてしまうことになってしまうからです。
予約優先制が「予約目安制」になってしまった
当院には、予約優先制だったころから大勢の患者さんが、待たされると分かっていても時間通りにおいでくださっていました。
一方で、待ち時間が長いからと、待たされそうな分、遅めにいらっしゃる方も大勢いました。
当然ですよね。
「毎回50分も待たされるなら、予約の40分後くらいに行くのが丁度良いはず!」と考えたくもなります。
お一人の治療を40分で予約して、こちらもお待たせし、次の予約時間の患者さんも40分ほど遅れていらっしゃるとどうなるか…そう、「予約はただの目安」になってしまいました。
時間について、患者さんも医院もお互いにただの目安と考えるようになると、
予約は入れたけれど連絡なしにキャンセルされる方も珍しくなくなってしまいました。
また、治療をお休みしがちの患者さんは、治療が長期化しやすく、そのうち治療を終えることなく中断になってしまうこともありました。
何よりも申し訳なく感じたのは、
お待たせしてしまうにも関わらず、毎回お時間通りにいらしてくださる患者さんに対してでした。
当院が「ちゃんと時間のお約束を守れる体制」になることを、信じて待ってくださっている方へ誠意をもってお応えしたい…そう思いました。
(もちろん、当院で予約優先制が上手くいかなかっただけで、もっとスマートに予約優先制で運営されている医院もあると思います。ただ、当院では上手くいかなかったのです)
完全予約制への移行
予約優先制が予約目安制になってしまった反省から、当院では2017年11月より「ほぼ完全予約制」に移行しました。
「ほぼって何?」という感じですね。
それまでお待たせするのが当然だった当院が、すぐにお待たせ時間をゼロに出来るはずもなく、少しずつ待ち時間を減らす取り組みをはじめ、そして治療が始まる時間だけでなく終わる時間もキチンと守れるように、時間をかけて体制を整えていきました。
診療室の中で、患者さんとスタッフが一緒に電子予約簿を見ながら予約を取ったりするようになったのも、この頃からです。
「患者さんの時間を守る」という気持ちで、スタッフ一丸となって取り組みました。
その甲斐あって、
「つぼい歯科さんは、終わる時間を言ってくれるから、仕事抜けて歯医者来れるし助かるよ」と言っていただけることも増えていきました。
一方で、事前準備をして、予約の患者さんをお待ちするようになった結果、
「待っていただけるなら今日中に応急処置しますよ」と言いにくくなっていきました。
お待たせすると言っても、すべての診療時間に予約患者さんがいて、全てに時間厳守!としていると、
「キャンセルが出たら空き時間ができるけれど、キャンセルがいつ出るか分からないし、出ないかもしれない」という状態になってしまうからです。
逆に、「急患対応・応急処置をして欲しい」という患者さんがいつ現れるかというのも、当院には分からないので、いつも予約をあけて待っておくということもできません。
「でもせめて、定期健診にもいらっしゃっていて、いつも予約通りにご来院くださっている患者さんには、どうにか応急対応したい!」
そう思い、術者の数より多くの予備設備を揃えました。
当院には現在、ドクター5名、衛生士4名が在籍しておりますが、診療室数は術者の人数より多い11部屋(診療椅子11台という意味です)あります。
2つ余分に診療室があれば、他の患者さんに麻酔や型取りなどをしている合間に診ることもできるだろう、と考えたのです。
それが2019年4月~5月の頃です。
トンカントンカン、丸一カ月も工事音の中、診療していたのを思い出します。
工事が終わったのはゴールデンウィーク開け、完全予約制に着手してから、実に1年半年後のことでした。
完全予約制ですが、当日空き枠があればもちろんご案内しております。
当日枠がなければご来院いただける日をご予約し、お急ぎの方にはキャンセル待ち申し込みをしていただいた上で、キャンセルが出たらすぐ電話連絡を行っております。
「人気の時間帯(夕方と土曜)に来院したいけれど予約が取り難くて困る」という方には、複数回予約(キャンセルせずに通院してくださっている患者さんにのみ、予約変更しないという条件で3回まで先々に予約できるようにさせて頂いております)をご利用いただける、今の予約の仕組みができました。
完全予約制を守るために多くの当日診療希望者をお断りする一方で、直前電話キャンセルや無断キャンセルも多いのが現状
現在、多くの「口の中が痛い」「歯が痛い」「詰め物が取れた」「入れ歯が壊れた」などの、できれば当日中に何とかして欲しい、という方からのお申込みを、
「予約がいっぱいで、診療受け入れが本日は出来ません」とお断りして、先の日程でご予約をご案内しております。
本当に心苦しく思っております。
しかし、完全予約制を守るためには、「とりあえず来て待ってください」ということが難しいのです。
当院に通院中、もしくは定期管理(メンテナンス)で通院されている方の急患対応は、出来る限り当日もしくは近日でご案内する努力をしております。
しかし、土曜日や月曜日、連休明けなどは予約が殺到し、近日と言いづらい日程のご案内となることもあります(このような場合は、ぜひキャンセル待ち制度をご利用ください)。
一方で、
予約時間直前の電話キャンセル、無断キャンセルも毎日数件あるのが現状です。
もし、朝の段階でご連絡いただければ、他のキャンセル待ちをして下さっている方にご連絡できるのですが、予約時間の10~20分前でのご連絡の場合、キャンセル待ちの方と連絡がつかないことがほとんどで、
「ああ、この時間に、先ほど本日のご予約は無理だとお伝えした方を診てさしあげたかった…」と思うことも多いです。
どうか、待っておられる方のために、ご予約の変更やキャンセルは、早めにご連絡をいただければ幸いです。
それが、めぐりめぐって、あなたの口の中に急なトラブルが起きた時に、当日に治療可能な体制につながります。
キャンセルポリシー~ご予約を守ってくださる方が、いちばん通いやすいように~
当院では「予約を守ってくださる方がいちばん通いやすいように」をモットーに、キャンセルポリシーを設けております。
予約を守ってくださる方には複数回予約をおススメしているのもそうですし、予約通りにご来院くださる方の口の中の状態は把握できますので、治療時間の予測が立てやすいこともあり、当日や翌日に予約枠をなるべくお取りできるよう努力しております。
ただし、病気や妊娠、仕事などで予定が立てにくい方には、30~50分程度お待ちいただく前提で、その代わりに気楽にキャンセルしても大丈夫な枠(再診の方のみ)の用意もございます。
しかし、この「待つけど気楽にキャンセルok」枠も、1日1枠程度しかご用意できないのが現状で、ご希望の日時にかならずご用意できるものではございません。
申し訳ございませんが、ご了承ください。
キャンセルポリシーは、患者さんの時間を守りながら、なるべく多くの方に必要な歯科医療を提供するために設けました。
皆様のご協力で、多くの方に歯科医療をお届けすることができます。
どうか、ご協力のほど、お願い申し上げます。
良い歯科医院を目指して
当院には妊婦さんから赤ちゃん、お子さんや学生さん、働き盛りのお忙しい方、ご高齢の方、そしてご高齢で通院が難しくなられた方まで、大勢の患者さんが「かかりつけ」としてご来院されます(来院困難な方には訪問治療も行っております)。
「子どもの歯医者さん」「高齢の方が通う歯医者さん」など、患者さんの年齢層がある層に集中している歯科医院というのも多いと思いますが、当院の場合、特定の患者層というのはございません。
例えば、
若いお母さんは、幼児の泣き声はあまり不快に感じませんが、ご高齢の方は「子どもの泣き声を長時間聞くのは辛い」とおっしゃいます。
働き盛りの方は「時間厳守の方が通いやすい」とおっしゃいますが、ご高齢の方は「融通が利く方が助かる」とおっしゃいます。
定期管理も、じっくりと担当者とお話しながら受ける方が安心する方と、忙しいので最速でやって欲しいという方がおられます。
お子さんの治療も「抑えずに、トレーニングしてからして欲しい」と言う方と、「何軒もの歯科医院で暴れる・泣くから治療できないと言われた。抑えてでもとにかく治療して欲しい」という方に分かれます。
「最新の治療をしっかり勉強した歯科医師にかかりたい」とおっしゃる方もいれば、
「あの先生はしょっちゅう勉強会だ研修だと休診にするから困る」とおっしゃる方もいます。
すべての患者さんにご満足いただける歯科医院でありたいと思っても、思い描く「良い歯科医院」は患者さんの数だけあると言っても過言ではありません。
全年齢の方が、ご家族で通える歯科医院であるというのが、私の理想です。
3世代のご家族皆様に通院していただけるように、開業以来、努力してまいりました。
しかしそれは裏を返せば、「特定の年代の方に焦点のあった理想の歯科医院にはなれない」と言うことでもあると思います。
お子さんが楽しく通えるようなキッズルーム、防音の託児室、玄関の手すり、スタッフの死角となっている場所で転倒などされた方がいた場合に素早く反応できるよう安全見守りカメラの設置、ご家族で入れるファミリー診療室、静かな環境でゆったり定期管理をうけられる完全個室、ご高齢の方向けの手すり付きチェア、待合室のレイアウト変更、じっくりお話できるカウンセリング室、お薬でウトウトしながら治療を受けられる鎮静診療室、急なお痛みや仮の蓋が取れたなどに対応できる予備診療室…
ご要望が出るたびに出来る限り対応すべく、4年で5回の増築・改築を行いました。
「話を丁寧に聞いてほしい。説明して欲しい」という方のために、カウンセリングシステムにも力を入れております。
「予約が取りにくい」というご意見に対しては、完全予約制で治療開始時間も治療終了時間もお約束した上で、40分枠で1日80件の診療を行えるようにスタッフを増員しました。
2年前の1.5倍の予約枠を確保することで、多くの方が少しでも通いやすいようにしたのです。
一方で、特定の治療(泣いて暴れてしまうお子さんのため、介助スタッフが多く必要なケース、鎮静下での虫歯治療など)や、平日17時30分以降、土曜以外は通院できない方などの場合、順番待ちの解消にはいたっておりません。
かかりつけ歯科医として、かかりつけ患者さんに寄り添う
「あらゆる人にとって最高の歯科医院」であるということは、不可能に近いと思っております。
けれどこれからも、できる工夫は重ねていくつもりです。
当院は予防型歯科クリニックを目指しており、治療ももちろん行いますが、一番大切なのは「もう二度と治療せずに済むこと」と思っております。
ですから、「痛いところだけ・詰め物が外れたところだけ治療して欲しい」とおっしゃる患者さんにも、歯周病の状態についての説明や、歯周病や虫歯の予防、すでに軽度の歯周病や初期虫歯がある方には悪化しないようにする管理処置をおススメしております。
当院の理念や治療スタンスをご理解いただいた上で、当院をかかりつけ歯科医として通ってくださる患者さんに対して、寄り添える歯科医院でありたいと願っております。
現在は、当院をかかりつけ歯科医院として定期管理にご通院くださっている患者さんに対しても、必ずしも当日に急患枠をご用意できているわけではございません。
とても心苦しく、申し訳ないと思っております。
もちろん、空き枠があれば当日をご案内しているのですが、キャンセルのほとんどが直前であることが多く、1日7~8枠、キャンセル枠が出ているけれど、急患希望の患者さんがご連絡くださったタイミングでは空き枠がなかった、ということが続いております。
どうか、お困りの方のために、キャンセルのご連絡は早めにいただけるよう、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
今後も、かかりつけ歯科医としてかかりつけ患者さんに寄り添える歯科医院であれるよう頑張りたいと思っております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
医療法人つぼい歯科クリニック 理事長 坪井 文
9月のお誕生日会☆
2019年9月28日
こんにちは!岩国のつぼい歯科 スタッフのミッキーです☆
今日は、りょうさん、めぐさん、きばちゃんのお誕生会でした!
ケーキはラポルトルージュさんで。
えりちゃんが買いに行ってくれました。
秋らしいおしゃれなチョコレートのケーキや、ちょっと大人っぽい素敵なケーキがたくさんありました!
インスタ風?
3人とも、お誕生日おめでとうございます♪
妊婦さんと歯について。妊娠中は口の中の環境が変わるので要注意!
2019年9月20日
こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
当院には、小さなお子さまをお預かりできるベテラン保育士が在籍しておりますので、若いお母さん方がたくさんいらっしゃいます。
また、岩国市の行っている妊婦健診も月に3~4人ペースで来院されています。
今回は授乳期のお母さんや、妊婦さんのお口の中の変化について、お話したいと思います。
妊娠による口の変化
妊娠すると様々な変化が起こっていきます。
それによって、口の中でもいろいろな変化が起こっていきます。
つわりによる変化
つわりにより、ニオイに敏感になったり、特定の食事が苦手になったり、あるいは甘いものや酸っぱいものと好むようになったりすることがあります。
奥歯の方に歯ブラシを入れると吐き気をもよおす場合は、お口の清掃状態が悪化することもあるようです。
ホルモンバランスによる変化
妊娠中はホルモンバランスに変化が起こります。
女性ホルモンを餌に増殖するタイプの歯周病菌が活性化するので、妊娠期間~授乳中まで、歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。
これを妊娠性歯周炎といいます。
なので、妊婦健診に歯科の項目があるんですね。
唾液の量も減ることがあるみたいで、これも虫歯のリスクをあげてしまう原因となります。
妊婦の歯科治療の時期はいつまで?
妊娠初期~4ヶ月
この時期はお腹の中の赤ちゃんの発育にとって大切な時期になります。
市販薬を含め、お薬の服用は極力控えたいところです。
ただし、お熱があったり、あまりにも強い痛みがある時は、ママさんが我慢するストレスが赤ちゃんに与えしまうストレスもあります。
限界まで我慢する前に医療機関にご相談ください。
また、つわりがある場合もあり、あまり積極的な歯科治療は行いにくい時期です。
歯科検診やクリーニングなどは可能ですので、妊婦健診はぜひ受けましょう。
ご自身のお口の中の問題点や、妊娠中のこれからの変化について、知っておくようにしましょう。
関連記事 院長ブログ 歯科の妊婦健診や、おとなの歯科健診って何のためにあるの?
院長ブログ 妊婦さんが歯周病や虫歯を予防した方がいい3つの理由
妊娠中期
安定期に入ると状況が変わってきます。
ほぼ全ての歯科治療が可能となります。
お薬に関してはやはり注意は必要ですが、比較的安心して使えるお薬もあるため大きな問題とはなりません。
なので、虫歯の治療などはこの時期に行うのが良いとされています。
なので、この時期までには虫歯治療にメドをつけておきたいですね。
妊娠後期
9ヶ月以降となると、治療が難しくなってくることもあります。
麻酔の種類にもよるのですが子宮の収縮を誘発したりするのもあるようです(当院は血管収縮剤不添加の、子宮の収縮を誘発しないタイプの麻酔を使用しております)。
体調的にもお腹にハリが出たり、仰向けになったときに、お腹の中の赤ちゃんの重さによって、血管が押し付けられ血圧に変化が起こってしまうこともあります。
また、痛み止めの服用も、妊娠後期から末期は赤ちゃんにとって、あまり良くないと言われています。
以上により、1回の治療が長時間に渡る処置は難しいかなと思います。
出産後
授乳が開始され、まだまだ女性ホルモンの分泌量も多く、歯ぐきが腫れやすい時期が続きます。
ただ、出産直後は、なかなか来院が難しい期間となるのではないかと思います。
出産後数か月は、お母さんは皆さん、お忙しいですからね。
最後に、お子さんの虫歯を減らすために家族全員で歯科健診を
お子さんが虫歯にならないようにはお父さん、お母さんのお口の中の環境が整っていることが重要です。
虫歯は虫歯菌が引き起こす感染症です。お子さんの虫歯菌への感染経路は母親が50%、父親が30%と言われています。
お父さんお母さんのお口に虫歯がないことが、お子さんの虫歯菌感染リスクをさげることに有効だと、研究により分かっています。
妊婦健診だけでなく、お父さんもご一緒に歯科医院でチェックを受けられるのが、お子さんのためにもより良いと言えます。
関連記事 院長ブログ こどもの虫歯はどこから来るの?
まとめ
- 妊娠初期に妊婦健診を受けるのがベストです。
- 妊婦検診で、治療が必要な部位はないか、もし治療が必要な場合は、安定期に治療を終えられるように計画するとスムーズです。
- ママさんが妊娠中に、ご家族全員の健診と口の中の細菌数を減らしておいて、赤ちゃんにとって良い環境づくりをすることをおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
濵田リーダーの送別会
2019年9月19日
スタッフのキバちゃんです。
お世話になった受付の濵田リーダーが、ご実家のお仕事を手伝うために、つぼい歯科を卒業しました。
受付のマリリンがお花を渡すと、リーダーが「ウルウルしてきた…。」
恥ずかしがって、お花で顔を隠しています。
最後にみんなパチリ☆
濵田リーダー、今までありがとうございました!
子どもの歯ぐきから出血が!?原因は何があるの?
2019年9月10日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
先日、とあるイベントに子供と参加した際に、イベントの一環として、獣医さんの最近の気になる疾患について聞く機会がありました。
それが偶然にも犬の歯周病に関するものでした。
犬も高齢化や食事内容の変化から、歯肉炎から歯周病に移行することが多いそうです。
犬の歯周病は処置も大変で、大きな問題となる場合がありるそうです。
「犬の歯周病の予防にも、ブラッシングと動物病院での本格的な掃除が重要である」という話でした。
考えたら、あり得る話ですが、知らなかったなあ。個人的には興味深かったです。
関連記事 院長ブログ 犬の口臭い原因!ペットも歯周病になるの?ケアの方法は?
最近受けたご相談に、「歯茎からの出血が心配です。」というのがありました。
人間でも壮年期を過ぎた場合の歯ぐきからの出血の原因のほとんどが歯周病です。
お子さんの場合は、歯茎からの出血はいくつかのパターンがありますので、解説していこうと思います。
子どもの歯ぐきからの出血の原因
歯肉炎
最も多いのが、歯磨きの不足による歯肉炎です。
歯と歯の間の歯肉は本来三角なのですが、炎症があるとその先端が丸く発赤し、簡単に出血します。
適切な歯磨きにより改善します。
また、プラーク(歯垢)を取り除く時の軽度の出血は気にしなくて大丈夫です。
適切な歯みがきがわからない時は、歯科医院に指導を受けにいらしてくださいね。
ヘルペス性歯肉炎
その次によくあるのがヘルペス性の歯肉炎です。
口腔内症状の出る2-3日前に、38-39度ぐらいのやや高熱が出て、かなり歯肉の発赤があり、お口全体が真っ赤という雰囲気になります。
また、口唇、舌に小水疱ができることもあります。
歯科ではなく、小児科での治療となります。
手足口病はこの夏にも大流行しましたが、原因となるウイルスは異なり、典型的な症状は口腔内や手足の水疱です。
けれども、歯肉の発赤や口内炎を伴う事も多く、ヘルペスと似たような症状になることがあります。
つまりは夏風邪の口腔内症状を伴うイメージですね。
萌出性(ほうしゅつせい)歯肉炎
歯磨きをしていても生ずるものに、歯の萌出に伴う萌出性歯肉炎があります。
これは萌出してきた歯と歯肉の間が不潔となり、炎症が起きることによっておこります。
乳臼歯の萌出時、大臼歯の萌出時におきます。
永久歯萌出時の方が痛みを伴う事が多く、体質によっては結構腫れて、膿が出る場合もあります。
その場合には少し外科的に切り取ってしまいます。
上記以外
本当にめったにありませんが、血液・造血器疾患つまりは白血病などの重篤な疾患の症状で歯肉の出血がみられることがあります。
夏風邪の歯肉の炎症がいつまでも治らない感じです。
歯肉の出血は、ほとんどが歯みがきが十分にできていない、仕上げ磨きが足りない、などの不潔性のものです。
しかし、それ以外にも子どもの全身状態を示すサインでもあります。
想定外の病気の症状であることもありますので、よく注意してください。
夏風邪の場合は、他のお子さまへの感染リスクが大きいので、小児科から受診していただけると嬉しいです。
まとめ
いかがでしたか?
- お子さんの歯肉からの出血の多くは不潔性の歯肉炎です。
- 歯磨きの指導と実践により、ほとんどの場合改善します。
- ヘルペス性の歯肉炎では、かなり広範囲の歯肉炎となる場合があります。
- 萌出性の歯肉炎は体質によって程度が異なりますが、一か月ぐらい頑張って歯磨きすれば収まります。
- それ以外にも想定外の大きな病気の症状である場合があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
犬の口臭い原因!ペットも歯周病になるの?ケアの方法は?
2019年8月30日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
今日は、ペットの口腔ケアの話題です。
犬の口臭を気にしている人が増えている!?
最近私の周りでは、ワンちゃんの口臭について気にしている人が結構います。
「ウチの犬の口が臭いんです…」
「(歯医者の友人)私、自分とこのワンコの歯石除去やってるよ~。もちろん、自分の犬だけだけど。」
「ペットの口臭治療グッズって、今いろんなの出てますけど、どれが良いんですか?」
実際、「犬(猫) 歯石」については多くの方が検索していらっしゃるようで、ケア用品もたくさん発売されているようですね。
当院でも、「自分の診療のついでに…」という感じでペットの口腔ケアについてご質問をいただくことがあります。
とは申しましても、私はペットの治療をしているわけでも、ペット用のオーラルケアグッズを扱っているわけでもありませんので、今回は「犬の口腔ケアを自分でやっている」という友人(歯医者)に聞いた話と、一般論でお話させてください。
Q. ペットにも歯石はつくの?
A. 犬や猫はもちろん、歯を持つ地上動物の多くにつくはずです。
歯を持つ動物の中でも、水の中で暮らす生き物や、歯の代わりに嘴(くちばし)がある鳥などには、歯石がつきようがないと思います。
しかし、地上の歯を持つ動物なら、理論上歯石がつくはずです。
ただ、野生の生き物の場合は「歯石が問題になるほど長生きしない」という側面があります。
例えば、人間が歯周病で歯を失うリスクがぐっと高くなるのが40歳以降。
人間が野生だったころの寿命も40~50歳程度と言われていますから、「野生では歯がダメになってくる年齢=寿命」とも言えるのです。
30年ほど昔の「犬の寿命は7~8年」と言われた時代には、歯石はあまり問題になりませんでした。
犬の7~8歳というと、人間で換算すると44~48歳になるそうですから、人間の歯周病リスクがうんと高くなる時期と近いですね。
きっと、人間が野生だったころに歯石が問題にならなかったのと同じ事情で、30年前は犬の歯石を気にする人はほとんどいませんでした。
今は人間80~100年、ワンちゃん15~20年というのが普通になってきた時代です。
長生きする場合、お口のケアも長生き仕様にしていかないといけないんですね。
Q.ペットも虫歯になるの?
A. 犬や猫はもちろん、歯を持つ動物が「糖質」過多の食生活をすると虫歯にはなります。
野生の生活は糖質を食べることが非常に少ないので虫歯になりません。
しかし、イモ類やとトウモロコシなどをおやつに与える動物園では、飼育員さんは飼育している動物の虫歯チェックをしているそうです。動物は虫歯治療が理解できませんから、もし虫歯が見つかったなら全身麻酔で治療することになります。
Q.ペットの歯石を取るには、どうしたら良いの?
A. 歯石は、お薬や栄養剤などでは除去できません。人間同様、物理的に除去するしかありません。
歯石はお口のバクテリアの死骸が、唾液の中のカルシウムによって石のように固まったものです。
スケーラーという専用の器具でないと取り除くことができません。
関連記事 歯石って何?どうしてほっといてはいけないの?
歯周病は骨が溶けている!?自宅でできる治療法とは
歯石除去の方法は人間も動物も同じですが、歯の形は異なります。
犬用スケーラーとしてヒト用とは異なる形のものが売られているようです。
ヒト用の方が細やかに取れるでしょうが、訓練を受けていない一般の方が簡易的にペットのワンちゃんの歯石を取るなら、平ノミ型の方が取りやすいのかもしれません(ちょっと滑ったりすると、怪我してしまいそうで、動かないワンちゃん専用だとは思いますが…)。
犬用にスケーラーをご使用になる場合、以下の点はご注意ください。
犬用のスケーラーご使用に関する注意点
- 飼い主とペットが同じスケーラーを使うのはNG
- 洗って共有使用するのもNG。
滅菌設備の無い家庭で「洗う」程度では血液を媒介した感染症のウィルスを完全に除去することはできません。
人畜共通感染症のリスクもありますので、ワンちゃん用のスケーラーはワンちゃん専用にしてご使用ください。
これは歯医者の感覚かもしれませんが、どうも…訓練もなしに歯石除去というと、滑っちゃったりしないか、間違えて歯茎を傷つけはしないかと、心配になってしまいます。
できれば、歯ブラシで歯垢をなるべく綺麗に落としてあげて、自宅で行う歯石除去は軽くで済ませ、重度の歯石は動物病院にお任せした方が良い気がします。
なお、ジェルやスプレータイプのものは、人間のオーラルケア用品で言うと「歯を白くする歯磨き粉」とかと同じジャンルで、軽度の汚れを取ったりはするかもしれませんが、歯石を取る能力はありません。
Q. ペットの口臭ケア用品として、色々なものが売られているけど、どれが良いの?
A. 口臭の原因によって、ケア用品を選んだ方が良いでしょう。
口臭と言っても、口は消化管の入り口ですから、ニオイの発生源は口、喉、胃、腸とさまざま。
関連記事 口臭の原因と、自分でできる口臭チェック(ポケットブレスチェッカー)について
また、ニオイの原因も、虫歯や歯周病といった口腔内の病気に由来するもの、体の病気に由来するもの、食べ物によるもの、生理的なものとさまざまです。
まずは口腔内・体の病気でないか獣医さんに診てもらってください。
その上で、病気でなかった・病気を治した後に、まだ口臭が気になる場合は、口腔常在菌や腸内環境を整えるバクテリアセラピー(細菌による予防・治療。主に乳酸菌などの善玉菌を使って悪玉菌に対抗する細菌療法)を考えてみても良いかもしれません。
ペットのバクテリアセラピー(細菌療法)について
ペット用のプロバイオティクス用品は非常にたくさん発売されています。
錠剤型、粉末状や液体状のサプリメントとして入手することができます。
犬と人間は口腔内のPHに差があるので(人は中性、犬はアルカリ性)、その差を考慮したものや、犬の好む味付けにしたもの、普通にそのまま人間にも犬にも使えるものなど、種類もとても豊富です。
この辺は、ペットショップや動物病院でおススメを聞いた方が良いかもしれませんね。
ちなみに、私が愛用しているロイテリ菌を用いた虫歯予防・歯周病予防・整腸作用・口臭予防に有効なサプリメントも、犬用を出していました。
営業の方に「中身はどう違うんですか?」と質問したら、「中身は同じです」と言っていました。
ペット用のプロバイオティクス製品は、ロイテリ菌、乳酸菌、ブリス菌などが用いられており、これもヒトと同じです。
…というより、先にヒト用のプロバイオティクス商品があり、後で犬用にパッケージや味やPHを変えて商品を作っている感じですね。
プロバイオティクスの考え方
プロバイオティクス(バクテリアセラピー)の考え方は、善玉菌を助けるスーパー乳酸菌と呼ばれる菌を摂取することで、悪玉菌の活動を抑え、善玉菌を優勢にすることで体の調子を整えたり、歯周病や虫歯など悪玉菌が原因で起きる病気になりにくくしたりします。
まとめ
- ペットも歯石がたまるし、虫歯にもなる
- 歯石の除去も人間と同じで、物理的な方法でしか取り除けない
- 口臭が身体の病気でない場合は、バクテリアセラピーも試す価値がある
次回は、プロバイオティクスと口腔ケアについて、お話したいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
母乳やミルクと虫歯の関係。寝る前や夜中にミルクをあげても良いのはいつまで?
2019年8月20日
こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。
今日は、母乳と虫歯の関係についてお話したいと思います。
卒乳が遅いと虫歯が多いことは疫学的には明らかであるとされています。
関連記事:院長ブログ 卒乳が遅くなると、こどもが虫歯になりやすいと聞きました。本当ですか?
母乳で虫歯になるの?
ちなみに、母乳単独では虫歯にならないことが分かっています。
虫歯というのは、口の中の細菌が「糖を分解して酸を作る」ことで、歯が溶ける現象です。
母乳には、乳糖という糖の一種が含まれていて、口の中の細菌の作用によって、歯を溶かす材料となります。
しかし、母乳に含まれている乳糖のみの場合は、濃度が低いために虫歯にはならないのです。
離乳食と母乳、両方を口にするようになると、虫歯のリスクが上がってしまいます。
よって、離乳食が始まったら食生活管理が大事になります。
子どもが1歳半を超えているけど、まだ卒乳できていない…
「1歳半を超えているけど、まだ卒乳できていない!どうしよう…。」という方もいらっしゃるかもしれません。
できるだけ早く卒乳に向かってチャレンジすることが、虫歯リスクを小さくすることは言うまでもありませんが、「食生活管理」のポイントを覚えていくことも重要です。
関連記事:ドクターズブログ 2歳くらいの子どもの歯と食事の関係
食生活管理のポイント 夜間授乳
子どもが夜泣きするので、夜間授乳がやめられない
母乳と虫歯の関係性としては、不規則な授乳や夜間授乳が不規則な食生活に結び付きやすく、それにともなって虫歯を作ってしまうのではと言われています。
特に、夜間授乳は非常に虫歯リスクが高いことで知られています。
関連記事 院長ブログ 1歳半頃に卒乳と言われますが、子供が泣くので心が折れそうです。どうしたらいいですか?
「でも、夜泣きがすごくて、そうも言っていられないんです」というお母さん。
わかります。現実問題として、すごく大変ですよね。
でも、いつかは卒乳しなければいけませんし、卒乳が遅れると虫歯になりやすくなります。
低年齢での虫歯治療は、泣いて暴れるのを抑えての治療になってしまいがちです。
また、泣いて暴れるお子さんの治療を行う場合、安全に治療するために介助スタッフが大勢必要となるため、大学病院をはじめ、多くの歯科医院で順番待ちがおきています。
当院も含め、3か月待ちというケースも少なくないのが現状です。
…それではかえって可哀そうですよね?
しかも4歳以下で虫歯になってしまったら、その後永久歯に全て生え変わっても、生涯虫歯リスクは(虫歯を低年齢で作らなかった人と比べて)高いままになってしまうと言われています。
「今日、いますぐ卒乳が難しい」と思われても、1歳を越えたら卒乳に向けて準備を始めていただくことをおススメします。
卒乳がまだだけど、離乳食が始まっている…どうしたらいいの?
では、卒乳が出来ていないけれど離乳食が始まったという時期は、どうすればよいでしょうか?
結論から言うと、歯を強くする、虫歯ができにくい環境をつくっていくことが必要です。
具体的には、フッ素の応用、虫歯の直接的原因となる砂糖の摂り方に注意するのが良いのではないかと思います。
母乳と虫歯の関係以外に、乳児期に注意しないといけないこと
離乳期は虫歯以外にも、舌の使い方が変わっていくことで、飲み込み方を学習していくとても重要な時期です。
おっぱいを飲むことと、固形物を食べることでは、舌の使い方が異なるからです。
赤ちゃんがおっぱいを飲む時、舌の動きとしては前後方向の動きが主体となり、舌の位置も口の中で低い位置にあります。
この飲み込み方を「幼児型嚥下」と言います。
赤ちゃんが離乳食を食べるようになると、舌を上顎に押し付けて飲み込む「成人型嚥下」を始めます。
しかし、乳児期~離乳期にかけて「正しい呼吸と嚥下」を獲得できず、「幼児型嚥下」がいつまでも残ってしまうことがあります。
幼児型嚥下が長く続くと、出っ歯になってしまいやすくなると言われています。
舌の使い方は、歯並びにも影響を及ぼしてしまうこともあるんです。
関連記事 院長ブログ 授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?
舌の使い方や、指しゃぶり、ぽかんとあいた口、…こうした「お口の悪い癖」は、一度身に付けてしまうとトレーニングしないとなかなか取り除けない、歯並びの難敵です。
卒乳しても、飲み込む時に舌を前に突き出してゴックンしていると気づかれたら、年齢に合わせた、「呼吸と嚥下を正常にする」トレーニングがあります。不安な方やご興味のある方は歯科医院でご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 母乳だけ飲んでいる時は虫歯になりにくいが、離乳食が始まったら要注意
- 卒乳は1歳半までをめざした方が良い
- 夜間授乳は虫歯をつくりやすい
- 虫歯だけでなく、卒乳時期は歯並びにも影響を及ぼすことがある
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
永久歯(6歳臼歯と前歯)のエナメル質形成不全が増えている!?その原因とは?
2019年8月10日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
暑い日が続きますね。
最近書いた記事で、一番反響があったのが、エナメル質形成不全症についてでした。
参考記事:エナメル質とその形成不全について~治療と原因~
気にされておられる方が多いことがよくわかりましたので、最近の学会での傾向や知見などを改めてまとめてみることにしました。
エナメル質形成不全とは?
エナメル質形成不全症とは、人体で最も硬く頑丈なエナメル質が、エナメル質石灰化不全の状態で生えてくることを言います。
そういった歯は、通常のエナメル質より軟らかく、色も白い歯に比べてクリームやブラウンがかったようであり、また表面も輝きがなく実際ボソボソとして柔らかいです。
原因は遺伝子に関連があるものと、関連がないもの(全身的な原因のものと部分的な原因のもの)に分けられます。
最近注目されているエナメル質形成不全「MIH」とは?
最近そのエナメル質形成不全にかかわることで、話題になっているのが、第一大臼歯(Molar)と前歯(Incisor)に限って発生するエナメル質形成不全症(Hypomineralization)で、頭文字を略して、MIHと言われるものです。
MIHは、大臼歯・前歯のエナメル部分に、境界がはっきりした色のエナメル質形成不全部分(透明感のないクリーム色やキャラメル色)が見られます。
前歯と、第一大臼歯によく起こるのですが、臨床でよく問題になるのは奥歯である、第一大臼歯の形成不全です。
生える途中の大臼歯は、歯茎に中途半端に覆われており、何もなくても炎症が起きやすく(≒いたくなり易く)、汚れが溜まりやすい(≒虫歯になり易い)です。
エナメル質が脆いと、大人の知覚過敏のように食事や歯磨き時に凍みる、みたいな感じで痛むことがあります。
そうなると、子供は自然に痛いところは避けるので、弱い歯がさらに磨かれないという悪循環に入ってしまいます。
また、生えたての歯は歯の頭(歯冠)部分が出来ていても、根が出来ていません。
そのため、治療はまず神経の治療にならないようにセメントもしくは必要に応じて歯冠全体を覆う既成の被せ(いわゆる銀歯)をすることが多いです。
不幸にして一部もしくは全体の神経の処置になれば、生えたての歯の神経の治療は痛みも激烈ですし予後も悪いため、歯医者にとっても本当に困難です。(本音ではしたくありません…)
MIHの子どもが増えている!?
MIHは、2001年のから言われた新しい概念で、それまでは実際虫歯になっていたことも多く、虫歯としてみなされていた様です。
2012年頃から日本小児歯科学会を中心に研究が盛んになりましたが、その報告からすると子供の11%~20%の頻度でMIHがみられると報告されています。
これは5人~10人に一人の割合であり、歯科医師からするとかなりの頻度であると言えます。
MIHの原因とは?
では最後に、MIHの原因についてです。
いまだに、特定の原因は明らかになっていませんが、関連が疑われているものは下のように色々と挙げられています。
*International journal of Clinical Pediatric Dentistry, Sep-Dec 2012;5(3):190-196 から主に抜粋
- 呼吸系アシドーシス;呼吸不全により二酸化酸素が体内に蓄積し過ぎて体液が酸性に傾く状態
- 妊娠中の高熱・糖尿
- 長く続く悪阻や体調不良
- 周産期における、様々な薬剤(子宮筋弛緩薬など)によりもたらされる低カルシウム血症や低酸素症
- 早産
- 乳児期における、中耳炎・肺炎・喘息・尿路感染・水疱瘡などによる抗生剤投与
- 母乳を介してのダイオキシン汚染
この論文以外では、最近増えてきている、くる病との関連が指摘され、ビタミンDや日光との関連も指摘されています。
つまりは、第一大臼歯のエナメル部分が形成され始める、出産前28週と出産後10日の間の何かもしくは複合要因ではないかと言われていますが、現在研究中としか言えない状態です。
MIHを含むエナメル質の形成不全は人によって程度の差が大きく、処置内容もそれによって大きく異なります。
まずは精査が重要ですので、気になった方は、悪化する前にお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
- 最近言われるMIHといわれるエナメル質の形成不全では、大臼歯・前歯に、境界がはっきりした色の変化部分(透明感のないクリーム色・キャラメル色)が見られる。
- 第一大臼歯では部位非対称な形成不全であることが多く、程度にも差がある
- 知覚過敏のようなしみる痛みが出やすく、痛みにも過敏であるため、完全な沈静化は困難である
- 急速な虫歯の進行がみられることがあり、特に注意が必要である。
- 原因は複合的で不明であるが、5-10人に一人程度とかなり頻度が高い
気になることがあれば、まずは一度ご相談ください。
7月のお誕生日会☆
2019年7月27日
こんにちは!スタッフのまりちゃんです。
7月のお誕生日会を行いました!
7月のお誕生日月の人は、院長とマリリンでした。
ケーキはラポルトルージュさんで。
今年は桃の入荷が安定していないらしく、毎年院長が楽しみしている「まるごと桃のケーキ」があまり店頭にないそうです。
お店の方のご厚意で、誕生日の二人には特別に作っていただけました。
ラポルトルージュさん、ありがとうございました。
マリリンがケーキにろうそくを挿しています。
二人ともお誕生日おめでとうございます☆
ケーキもみんなでおいしくいただきました。
授乳や卒乳の方法や時期で、子どもの口呼吸を引き起こしてしまう!?
2019年7月22日
こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 院長の坪井文です。
暑い日が続きますね。
今回はお子様のお口ポカンと授乳・卒乳・離乳食の関係について、お話したいと思います。
唇を閉じられない子どもが増えている
最近、診療を通して「唇の力が弱いな」と感じるお子さまも増えています。
また、保護者の方の以下のようなお悩みをよく聞きます。
「この子、本当にすぐ風邪をもらっちゃうんです」
「食べるのが本当に遅くて…家族の全員が食べ終わっても、この子だけ食べてるんです」
「よく飲み物を口からこぼすんです」
「食が細くて、あまり食べてくれません。でもお菓子なら完食するんです。」
「うちの子、何か、食べ方が変なんです。飲み込む時に上を向いたり…舌を出したり…」
「お箸の握り方がおかしいんです。どうしても、親指をうまく使えなくて、小指を器用に使って…」
どれも保護者の方にとっては、とても心配ですよね。
このような症状は、
お子様の発達に合わせた授乳・離乳をうまくできなかったことが原因になっていることもあると言われています。
特に「お口ポカン」=口呼吸は、当ブログでも何度も取り上げてきました。
関連記事
歯並びが悪いのは遺伝ですか?その2 出っ歯編②お口ポカンについて
口呼吸は、出っ歯になってしまったり、風邪をひきやすくなる原因にもなります。
平成27年の日本歯科医学会の「子供の食の問題に関する調査」によると、最近のお母さんの心配事、困り事の上位は以下の通りです。
子どもの食に関する保護者の悩み
- 偏食する
- 食べるのが遅い
- 子どもの食べやすい食事の作り方が分からない
- 忙しくて手をかけてあげられない
共働き家庭が増える中、「子どもの食になかなか時間をかけてあげられない…」という悩みは、珍しくありません。
しかし、その結果、「子どもの口や喉の機能がスムーズに発達できていないケースが増えているのでは?」とも思います。
発達時期に合わせた食事(食べさせ方・食形態・食具)の大切さ
離乳期に保護者がスプーンで口の中に食事を入れると、捕食ができなくなる
捕食とは
摂食嚥下(せっしょくえんげ)は、捕食(ほしょく)⇒咀嚼(そしゃく)⇒嚥下(えんげ)の流れで行われます。
捕食とは食べ物を認識し、口に入れる段階です。
この時は、唇と歯を用います。
食べ物を口に入れたら、唇をしっかり閉じることで咀嚼が始まります。
離乳期にしっかり、唇の力を鍛えてあげるためには「スプーンを口に入れない」ことが大事と言われています。
つまり、
口の中にスプーンを差し込んで、食べ物を口の中に流し込んであげてしまうことは良くないということです。
赤ちゃんの口の中にスプーンを入れて食べ物をあげるリスク
- 唇の発達が遅れる
- 接触過敏症といって唇への刺激を嫌がってしまう
- 舌の運動機能の発達が遅れる
離乳期に口の中に食べ物を流し込んであげてしまい、
そのため唇を閉じることを覚えることができなければ、どうなるでしょうか?
唇をちゃんと閉じることができなければ、舌を上顎に押し付けて飲み込む「成人嚥下」を獲得できません。
すると、授乳期の飲み込み方である、舌を前に突き出して飲み込む「幼児嚥下」がその後も残ってしまうのです。
舌を前に突き出して飲み込む癖を残してしまうと、出っ歯になってしまいます。
また、舌の運動機能の発達が遅れます。
食べ物を喉の方に送りこむことが難しいので、上を向いて、食べ物を重力で喉側に移動させたり、食べるのが遅くなったりすることがあります。
こうした「間違った嚥下法」を誤学習してしまった後で矯正するのは、大変です。
具体的には、嚥下と呼吸を矯正する装置(マイオブレイスやチューイングブラシなど)を用いてトレーニングしないといけない場合もあります。
そうなればお金も手間もかかってしまいます。
最初から正しい発達ができるよう「予防」してあげることが重要です。
チューイングブラシについてはこちらの記事も参考にしてください。
赤ちゃんの捕食能力を育てる食べさせ方
①口の前にスプーンを差し出す
②上唇の内側をスプーンで軽く刺激する
③赤ちゃんが自分からパクッとスプーンに食いつくように食べさせる
「つかみ食べ」の時期には
「大人のこぶし大の大根の水煮」「大き目の人参やブロッコリーの煮たもの」などもおススメです。
赤ちゃんがつかみ食べするとき、とても散らかしますので、片付けやすいようにマットを敷いてあげると良いでしょう。
大きな大根の水煮がよいワケ
赤ちゃんが大きな大根の水煮をかじる時、以下のトレーニングができます。
口を大きく開ける⇒
唇で食べ物をしっかり認識する⇒
大きく口をあける⇒
かじりついた後、唇を閉じて捕食・嚥下
離乳期に唇をしっかり閉じることや、飲み込む瞬間に舌を上顎にぐっと押し付けることをトレーニングすることで、正常な飲み込みができるようになっていきます。
また、この時期にお野菜の水煮などをつかみ食べさせてあげると、食に積極的になったり、偏食を予防しやすいと言われています。
もっとも、最初はポイ!とされてしまうことも多いと思います。
興味のあるものはどんどん口に運ぶ時期。
歯ぐきでつぶせる硬さに煮た、大き目のお野菜をかじらせてあげることがおすすめです。
手づかみ食べはいつから始めて、いつからスプーンにしたらいいの?
手づかみ食べは生後9か月くらいから2~3歳ころまで、スプーンと手づかみの両方で食事させてあげる方が、お子様の発達には良いと言われています。
スプーン⇒フォーク⇒お箸の順に覚えさせる
お箸は「鉛筆持ち」ができるようになった3歳以降で十分!
離乳食は「手づかみ食べ」と「赤ちゃん用のスプーン」からスタートしましょう。
忙しいお母さんが、スプーンをとばして、フォークをお子様に使わせるケースが最近は増えているそうです。
フォークは「すくう」「刺す」ができてしまいます。
フォークはスプーンより食べ物が先端にあります。
スプーンで捕食機能が十分に身についてから挑戦した方が良いでしょう。
また、お箸のスタートは「もっと後」。
人の手の指は、小指から順に発達してきます。
親指が十分に発達していない時期にお箸を覚えさせると、その子の握りやすい形で、お箸を使い始めてしまいます。
大抵、小指を上手に使って、親指をあまり使わなくても食べられるように「誤学習」してしまうのです。
お箸のスタートはいつから?
親指がしっかり使えるようになっていることが前提になります。
「スプーンをペングリップ(鉛筆持ち)で握ることができ、親指・人差し指・中指の3本で逆手持ちできるようになってから(多くは3歳以後)」が目安とされています。
食事マナーはいつから覚えさせる?
手づかみ食べを「いつやめる」かは、諸説あります。
いつまでと目標を決めずに自然と止めるのを待つ説
幼稚園や保育園などの集団生活を機にやめる説
多くの人は、3歳を過ぎたころから、それぞれのタイミングで食事マナーを覚えながら卒業していくようです。
まとめ
いかがでしたか?
「離乳食の大事さはよくわかったけど、手づかみ食べって片付け大変じゃないですか…。そんなに手をかけてあげられない…」と思われた方も多いのではないでしょうか。
本当に、ごもっともだと思います。
しかし、想像してみてください。
お子様が食に関する何かの問題が出てしまったとしたら。
それを治すには、もっと手間と時間がかかってしまいます。
お子様の食についてお悩みの方の参考になれば、幸いです。
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