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小児歯科とアレルギーについて 

2021年12月13日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。

最近、アレルギー体質の方が多く来院されています。
当院も、様々な配慮をしつつ歯科治療を行っています。
もしアレルギーが起きた場合の酸素設備やエピペンという薬剤を常備し、緊急時の対応研修等も定期的に行っています。

歯科医療では多くの薬品や材料を使います。
日本全体でアレルギー体質の方が増え、色々なものに対してアレルギーを出す人が増えてきている印象です。

そこで今回は小児歯科とアレルギーについて、お話していきます。

1)アレルギー反応の種類

ひと口にアレルギーといってもその種類・症状は様々です。

抗原(アレルゲン)の種類によって、引き起こされるアレルギー症状も違ってくるからです。

代表的なアレルゲン

  • 食物
  • 薬物
  • ハウスダスト(ペット類の毛やダニなど)
  • 花粉

代表的なアレルギー症状

  • じんましん
  • 皮膚炎
  • ぜん息
  • 発熱
  • 喉頭浮腫(呼吸困難を起こします)

また、アレルギーの種類は、IgE抗体によって起こるⅠ型から、Ⅳ型までの4種類に分けられます。
それぞれ免疫機構や抗体の種類などの違いによって発症する病気も違ってきます。

アレルギー疾患の発症には遺伝的な体質も関わっているといわれます。
アレルギー体質・アトピー素因とよばれるもので、こういった人たちはIgE抗体がつくられやすい体質です。

アレルギー反応はその程度、状態によって分けられます。

程度の低いものはアレルギー反応と呼ばれ、じんましんや皮膚炎など。
呼吸器症状や血圧にまで影響する重篤なものは、アナフィラキシー(ショック)と呼ばれ、エピペンなどの使用が必要となる場合があります。

2)アレルギーと歯科で使う薬品・材料

平成20年の皮膚科学会の調査によると、日本のアナフィラキーショックの多い原因は抗ガン剤、造影剤、血液製剤、抗菌薬です。

それ以下のものとして、痛み止めに用いられる非ステロイド系の鎮痛薬(代表的なものとして、ロキソプロフェンなどの痛み止め。カロナール/アセトアミノフェンは少し作用機序が異なり、アレルギーは比較的出しにくいと言われています)、麻酔薬も挙げられています。
これらのうち、抗菌薬、非ステロイド系鎮痛薬、麻酔薬は歯科でよく使います。
麻酔薬でのアナフィラキシーの頻度は1%程度と言われています。

以上のような薬品は使うべきでないという意見もあるかもしれませんが、医療はメリットとデメリットの両面があり、メリットが上回れば、薬品は適正に使用すべきと考えられています。

フッ素はアレルギーを起こすか

歯科でよく用いられるフッ素は、アレルギーの可能性はゼロではないものの、非常に稀です。
アレルギー症状は起きない、とアメリカの皮膚科学会でも定義されています。

ただ、歯磨き剤でのアレルギー反応の報告はいくつかあります。
原因は、添加されている他の材料と考えられています。

詰め物、被せ物による金属アレルギー

詰め物、被せ物による金属アレルギーは、その反応に時間を要すアレルギーⅣ型と言われています。
金属が長い時間で溶けてイオン化して発症します。

金属ではアナフィラキシーショックは起こりずらいと考えられます。
しかし、全身に吸収されて遠隔部位に皮疹が生じる全身性接触皮膚炎(全身型金属アレルギー)なので、アトピー性皮膚炎の悪化や、皮膚炎が治らない時、原因が歯科金属であることがわかりにくいことが問題となっています。

対策としては、金属から非金属の詰め物、被せものに変更することで、徐々に改善していきます。

アレルギーを起こさない最大の防御法は、虫歯を作らないこと

小児受診をされると、初めてのこと、行為が多く、ご心配な点は多いかと思います。
使われる薬剤や材料によるアレルギーがご心配な方は、『虫歯にならない』『予防をがんばる』これが最大の対策だと思います。

アレルギー体質の方も増加しています。
ご心配な方、重篤な方は、アレルギー科や皮膚科、大学病院での検査や加療が必要な場合があります。
口腔内の状態を含め、ベストの方法を考えましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • アレルギー反応は食物、薬、ハウスダストなど様々な原因で発症し、体質や素因で反応の出方が異なります。
    急激に発症し、重篤なものには、アナフィラキシー(ショック)があります。
  • 歯科で用いる抗菌薬、非ステロイド系鎮痛薬、麻酔薬などでもアレルギー反応が出るリスクはあります。
    治療上のメリットが多ければ使うケースもあります。
  • 金属アレルギーと直後のアレルギー反応は、発症の仕組みが異なります。

虫歯にならないことが最大の対策です。頑張って予防していきましょう。

萌出障害などの小児歯科領域での歯科用CTについて~へんかと経過と診断~

2021年11月27日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

当院には、歯の生え方などに問題があるお子さんが多く来院されます。

歯の生え方や、生える前の永久歯がどうなっているかは、通常「パノラマエックス線写真」と呼ばれる顎全体のレントゲンで判断します。
それでもよく分からない場合、CTで精査をすることもあります。

当院でも、骨の中の永久歯の状態や、他の歯との位置関係を確認するためにCT撮影をする機会が増えてきました。

そこで今回は小児歯科とCTについてお話していきます。

1)歯科で撮影するレントゲンの種類

歯科医院で撮影するレントゲンは主に3種類です。

デンタルエックス線写真

1-2本の歯をチェックする撮影で、問題のある部分が主に黒く写ります。
一度に撮影できる範囲が狭いです。
しかし、わずかな被爆量で詳細に歯を診ることができるのが特徴です。

ただし、デンタルエックス線写真は、影絵のようなものです。
3次元的な位置関係は精細に分かるわけはありません。
「X線の入射角に対する影の長さで推定する」という感じです。

パノラマエックス線写真

顎全体を撮影をします。
末端にひずみがありますが、広範囲を診ることができるのが特徴です。

詳細に診ることには向いていません。
顎全体を虫歯がないか、重度の歯周病がないか、生える前の永久歯の位置は問題ないか、などを大まかに判定することに使用します。

これも影絵ようなものです。
3次元的な位置関係は分かりません。

パノラマエックス線写真で大まかに「問題がありそう」と思った部分については、デンタルエックス線写真やCTで精査することも多いです。

CT

何枚もレントゲンを撮影し、それをコンピューター上で組み合わせたものです。
患部を3D画像で確認できるのが特徴です。
他のレントゲン写真は「影絵」なのに対して、立体的に確認することができます。

情報量としては、「影絵」と「3D模型」では、それはもう段違いです。
手術前のCT撮影で、手術した時と同じぐらいの情報量が得られます。

一方で、CTは他のレントゲン写真撮影と比べて被爆量は多くなります。
何枚ものレントゲン写真を撮影するからです。

それでも、一回あたり0.1mSv程度です。
歯科用のCTは医科用のものと比べ約1/20〜1/30程度の被曝量とされています。

ちなみに、日本で普通に生活した場合、年間2.4mSv被曝すると言われています。
政府によると、年間被曝量20mSv以下であれば「一応」安全とされています。

「一応」というのは、わずかな自然被爆だけでも病気になる人もいれば、大量の被爆があっても何も起きない人がいるからです。
ただ、20mSvという基準以内あれば、ほとんどの人には問題ないと言ってよいでしょう。
もちろん、被爆は少ない方が良いので、CT撮影は医学的に必要最小限で行っています。

2)萌出(ほうしゅつ)障害とCT撮影のメリット

つぼい歯科クリニックでは、必要に応じてパノラマエックス線写真を撮影し、全体のチェックを行うようにしています。

その結果、時々『なんか変。』と思う部位が出てきます。
多くは、まだ生えていない(骨の中にある状態の)永久歯の位置や、生えようとする方向が、通常と違う…というパターンです。

そんな場合は、定期的にデンタルエックス線写真で撮影し、経過を観察していきます。
精査や処置が必要な状態であるか、このまま生えるのを待つだけで良いかの判断をするためです。

その上で異常がある場合は、必要に応じてCT撮影します。

この流れが表題にしております『へんかと経過と診断』で、小児歯科では非常に大事とされています。

3)CTが有用な症例

一般的に、萌出障害の原因には以下があげられます。

  • 歯が生えるスペースの不足
  • 先行歯の異常
  • 過剰歯や歯牙種などの存在
  • 骨の異常

「歯が生えるスペースの不足」は模型で分析して判定します。
しかし残りの原因については、レントゲン撮影で判断することとなります。

パノラマエックス線写真やデンタルエックス線写真では情報が不足する場合は、CT撮影が有効です。

またCT撮影すると、う蝕や根の治療も状態が完全に判定でき、状態がわかります。

萌出障害は手術を伴う治療が多いです。
しかしCT撮影することで、我々歯科医師も、患者さんの痛みや侵襲が最も少ない治療プランを、術前に考えることができます。それは、患者さんにとっては被爆量というデメリットを越えるメリットになります。

しかるべき年齢になっても歯が生えてこない、乳歯が抜けて随分になるけれど歯が生えない、などのお悩みがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

歯の萌出障害は、保険適応で出来ることも多いので、早めのご相談をおススメします。

まとめ

  • 歯科で撮影するレントゲン検査には、デンタルエックス線写真、パノラマエックス線写真、CTがあります。
  • CT撮影によって、萌出障害の原因、異常を判明することができます。
  • 原因がわかれば、最小の侵襲での治療プランを考えることができるようになります。
  • お子さんの永久歯が生えてこないなどの悩みがある場合は、早めにご相談ください。

コロナ禍で指しゃぶりが増えている!?指しゃぶりの原因とは?

2021年10月23日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村剛です。

コロナの第5波、急速に終息の雰囲気ですね。
よかったなあと心の底から思う反面、子ども達を取り巻く環境に、コロナ禍のひずみが顕在化してきているようですね。
昨年度よりも不登校や自殺が増えているという報道も見聞きします。
長い休み明けによく出る話題ですが、大変難しい問題です。

「(子どもの)指しゃぶりがやめられません」という保護者の方からの相談が最近増えています。

今回は指しゃぶりをテーマにお話していきます。

指しゃぶりすべてが悪いわけではない

指しゃぶりは低年齢の時期は正常な発達過程の一つの行為です。
しかし、ある時期からはやめてほしい問題行動として捉えられます。

子供の成長発達と指しゃぶり

乳児期(1歳まで)

日本小児歯科学会の見解では、乳児期(1歳まで)の指しゃぶりは、乳児期の発達過程における生理的な行為とされています。

幼児期前半(1歳~2歳)

幼児期前半(1歳~2歳)からは、遊びの過程で指しゃぶりは減少していきます。
眠い時や退屈な時だけで指しゃぶりを行うのであれば、発達によって自然と減少していきます。

幼児期後半(3歳~就学前)

幼児期後期(3歳~就学前)からは、社会性の発達と共に、指しゃぶりなどの悪習癖は減少していく可能性が高いと言われています。

しかしながら頻繁な指しゃぶりの場合、3歳以降からは、噛み合わせや咬合などの口の形に影響を及ぼす可能性が高まり、上顎前突や開咬(前歯がかみ合わない)になると言われています。

問題行動となる指しゃぶり

就学以降にも継続している場合は、指しゃぶりなどは問題行動とされます。
原因追究などにおいて、心理学的な面からのアプローチが重要になります。

指しゃぶりをやめさせるには?

幼児期後期からの、やめたいけどやめられない程度の習癖の場合、おすすめなのは指しゃぶり以外に別のおもちゃなどに興味を持たせることです。

保護者の方におススメしている方法

  • 手遊び歌などのスキンシップを多めにし、眠たくなったら手を握って眠るまで待つこと
  • 手に絆創膏など違和感強めのものを張っておき、手を口に入れたら気付かせること

また幼児期後期には、兄弟姉妹ができて環境が変わり、赤ちゃん返りと共に一時的に頻度が上がってしまう場合があります。
気持ちの落ち着きとともに頻度が下がっていく場合が多いです。
しばらくはおおらかな気持ちで見守っていくことが大事です。

影響が大きな場合の歯科的・心理学的アプローチとは?

歯並びに指しゃぶりが悪影響を与えている場合

指しゃぶりの力が強いと、歯並び矯正で器具が歯や顎にかける力よりも、強い力が顎にかかります。
そこで歯並び矯正を開始するためには、指しゃぶりの癖を止めていること、もしくは止めたいと思っていることが重要になります。

お子さま本人が、例えば「保護者の方の注目を集めたいために指しゃぶりを行う」などの心理が原因なら、やみくもに叱っても指しゃぶりの癖はやめられません。
ある程度の年齢のお子さんの場合、「なぜ指しゃぶりをしてしまうのか」そして「どうなったら指しゃぶりを止めたいと思えるのか」という点について心理学的に追究しないと効果が低いです。

指しゃぶりが収まってきた場合、開咬(かいこう)であればタンクリブと言われる、咬合関係に舌や指が入らないようにする装置が有効です。

開咬(かいこう)

また前突(ぜんとつ)に関しては、歯列幅の拡大と、ブラケットを用いた矯正が有効である場合が多いです。
(抜歯を伴う、伴わないなど状態の診断も必要となります)

前突(ぜんとつ)

指しゃぶりについてご心配な方は、お気軽にご相談下さい。

まとめ

いかがでしたか?

  • 指しゃぶりは1-2歳児では発達に伴う生理的な行為とされますが、3歳以降はなるべく、就学以降(6歳以降)はやめるべき習癖とされています。
  • 癖(習癖)をやめるには、本人の自覚、そしてやめるという決心が大事です。必要に応じて、原因追及や行動変容のために、心理学的なアプローチを行います。
  • ある程度習癖が落ち着けば、タンクリブ、拡大装置、ブラケットなどを組み合わせた矯正治療が適応となります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

思わぬものが危険になる?!こどものお口・歯の事故の傾向

2021年9月24日

おうち時間が増えることで、自宅でのお口の事故にご注意

コロナの第5波、やっと終息の兆しですね。

先日、何かの記事で読みましたが、皆様コロナに完全に嫌気、飽きが来ているものの、緊急事態と言われている昨今、さらに自粛に努めているというデータが出ておりました。お子さん達も、外に出られないので基本家にいますね。大変ですが、頑張りましょう。

先日、「おもちゃの電車の連結部分のパーツがお子さんの歯の間に挟まってしまった!」という受診がありました。おうち時間が増えている最近、歯科に関係する事故も増えている気がします。事故は起きてほしくないものですが、その傾向を知っておくことは大変重要です。そのため、一度ブログにまとめてみることにしました。

1)口に咥えるものでの事故

日本小児歯科学会からの警告でもありますが、咥えるものでの最も危険なものは、1-2歳児での歯ブラシです。
この世代は体のバランスが悪く、すぐに転んでしまいます。
また、歩き始めで自力でウロウロしています。

歯ブラシを咥えたままウロウロしたり、椅子から落ちて口の中を突いてしまいます。

しかも、のどを越えると、薄い骨のすぐ向こうには脳があります。
そして脳の中でも特に大切な脳幹部分に近いので、重篤な事態になった報告もいくつかあります。
小児歯科学会のホームページ等の報告では、この5年で起きた歯ブラシ事故は120件ほどあり、その結果入院にまで至ったのは22%もあるようです。
軽くは考えられない話です。

対策

まずは目を離さないこと。口に歯ブラシを咥えた状態で歩かせてはいけません。

1-2歳児には歯磨きは自分でやらせず、寝転ばせて親の仕上げ磨きを主体に行うこと、が基本です。
子どもは親の感情を(非言語も含めて)読み取ります。
しっかり危機感をもってコントロールしましょう(磨く事もしっかりお願いします!)

喉を歯ブラシでつく事故と類似のものとして、割りばしやスプーンなどでも起きています。

対策として、柄が曲がる歯ブラシや柔らかい器具が販売されていますが、まずはリスクを少なくさせる仕組みを考え、目を離さないのが大事ですね。

2)小さいものでの事故

次にあるのが、小さいものでの事故です。
上に書いた玩具の事故もそうですが、歯と歯の間に挟んでしまって…というパターンが多いようです。

小児歯科ではたまに報告されるのですが、ストローの先をかみちぎってモグモグしていたら、ストローの直径が歯のサイズとぴったりで丁度かぶさってしまった、というのがあります。
この事故は起きた直後は痛みを感じない様ですが、かぶさってしまった歯の周囲にひどい炎症が起き、歯槽骨が抜歯に至るほど吸収した事例が報告されています。
見た目には分かりにくい事例ではありますが、注意が必要です。

また、誤嚥も非常によく起きる事故です。
乳幼児の口の直径はおよそ30ミリ-40ミリ程度もあります。(おおよそトイレットペーパーの芯程度)そこにはまるものであれば飲み込むリスクは常にある、と思っておいて下さい。

余談にはなりますが、歯科治療での器具はほぼすべて、誤嚥リスクのあるサイズになるので、つぼい歯科ではお子さんの治療などでは必要に応じてラバーダム(ゴムのマスク)を誤嚥防止のために使用しています。

しかし、100%絶対というものはありませんので、そんな処置が必要な虫歯にまずならないこと!これが最も安全で、大事と思っております。

これもまた大変ですが、頑張りましょう。

まとめ

いかがでしたか?

  • 咥えるものでの事故で、歯科に最も関連が深いのは歯ブラシです。子どもの「歯ブラシ咥え歩き」は、絶対にやめさせてください。
  • 小さいものでの事故は、歯に挟むもの・挟まれるもので起きやすく、典型例ではストローなどがあります。
    歯冠にはまり込んでしまい、歯周組織に対するダメージが報告されています。
  • 誤嚥は39ミリ以下のもので起きます。
    歯科での処置は器具が小さく、安全性に配慮していますが、飲み込むリスクはゼロではありません。まずはそんな器具を使用して治療するような虫歯にならないように、予防を頑張りましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

大人の歯の本数が足りない?!そんな時はどうすれば良いの?

2021年8月16日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
どうなるかと思っていた東京オリンピックが、無事に終わりましたね。

最近、診療室で生まれつき永久歯の本数が足りない、という症例について患者さんにご説明をすることがよくあります。
永久歯の歯の数のトラブルについては、一度ブログでも書いたことがあります。

参考リンク

永久歯の本数のトラブル(先天性欠損歯や過剰歯)について

今回は、歯の本数が少なかった時の対処法などについてのお話です。

人間の歯は退化している!

歯は人間の歴史においては退化傾向にあります。

縄文時代人の歯を見ると、親知らずと言われる第3大臼歯までしっかり咬んでいます。
しかも現代人より歯のサイズも顎のサイズも、全体的に大きいです。

旧人類に近いほど歯の山の部分(咬頭)が多く、大きく、複雑な形をしています。

現代人では親知らずがある人でも咬頭が少なく、小さくなっていく傾向(5咬頭→3→1に減少)にあります。
また、親知らず自体が生まれつきない人もいます。

それ以外では、前から2番目の前歯、5番目の小臼歯の欠損が多いです。
そして、上顎よりも下顎が先天性欠損は多い傾向にあります(2010年の日本小児歯科学会の調査による)。

画像引用 朝日新聞(2011年3月7日)

同調査によりますと、何らかの形で1本以上の歯がないお子様は現在10人に1人程度の比率となっています。
2018-19年に僕が当院で調べた時も、比率は同様でした。

10人に1人ですから、クラスに数人は歯の先天性欠損のお子さんがいる感じですね。

実際僕の近しい肉親にも永久歯が欠損している人がいます。
なので、歯の退化傾向をまさに実感しています。
原因は基本的にはわかりません。
遺伝、薬物(抗がん剤などの強力なもの)、栄養状態などが考えられています。

歯の先天性欠損の治療法や考え方(部位や本数別に)

1)乳歯の本数が足りない場合

乳歯でも先天性欠損はたまに見かけますが、基本的には様子を見ます。

顎は歯が押し合いながら大きくなっていきます。
よって、欠損があった場合、欠損がある側の顎が小さくなる傾向が確認されています。

2)永久歯の本数が足りない場合

・下顎の2番目の歯の場合

下顎の前歯の場合は、上下で顎の正中が合わなくなる、という欠点はあります。
しかし、そこまで目立たないということもあり、経過を観察する場合が多いです。

・上顎の2番目の歯の場合

上顎前歯は正中が合わないと、やや目立ちます。
矯正をおすすめすることが多いと思います。

・上下の5番目の歯の場合

小臼歯の欠損の場合は、先行乳歯が抜けないように保存することが大切です。

虫歯にさえならなければ、乳歯といえども根がしっかりしているので、30代ぐらいまではもつ場合が多いです。
歯並びが悪い場合は、残った乳歯を抜歯して、歯並びを整えることもあります。
ただし、歯並びが良い場合は、乳歯が抜けて出来たスペースを矯正で埋めきることが難しいこともあります。

・6本以上、歯の数が不足する場合

6本以上の多数歯欠損の場合、大学病院などに代表される、国の指定医療機関であれば矯正を行います。
2020年からはインプラントも条件によっては保険治療が可能となりました。

しかし、これだけの多数歯であれば矯正+補綴の治療を効率よく組み合わせる必要があります。
また、インプラントも矯正も子どものうちは出来ない治療です。
ある程度の年齢になるまで乳歯を使って、そのうえで長期的な治療プランを立てることになります。

「乳歯を使う」という選択肢が無くならないように、先天性欠損の場合は最終的な治療が出来るようになるまで乳歯を無傷で残す努力が必要です。

誰にでも起こりうる事態ですので「乳歯は生え変わるから」と軽く考えずに、赤ちゃんの頃から大事にしていきましょう。

・大人になってから永久歯の代わりに使っていた乳歯が抜けた場合

虫歯や歯周病で歯を失った場合と同じようにブリッジ、インプラント、義歯の治療を行うことになります。

まとめ

いかがでしたか?

  • 永久歯の先天性欠損は近年増加傾向にあります。
    10人に1人ぐらいは観察されています。その治療法や考え方は歯のない部位(欠損部)で異なります。
  • 乳歯は大事に使えば長くもつ場合もあります。
    また、多数歯がない場合は保険がきく症例も稀にあります(指定医療機関に限る)。
    各個人の状況・時期によりベストな治療法が異なります。

歯が生え変わらない理由には、他にも「ただ単に生え変わりが非常にゆっくりなだけ」というケースもあります。
気になる場合は歯科医院で相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

★久しぶりに更新 スタッフブログ★

2021年7月24日

こんにちは!スタッフのキバちゃんです♪
約半年、スタッフブログの更新ができていませんでした。

この半年間は取り組みの量が多かったのですが、少し落ち着いてきたのでブログも再開します。
スタッフ人数は過去最多。院長も他のメンバーも「過去最高の布陣」と感じるくらい、それぞれの個性のバランスが取れたメンバーになり、可能性を感じています。
来週からは、1名歯科医師が増える予定です♪

新しく入ったメンバーは過去最速で頼もしい戦力になってくれています。

もともとのメンバーも、もっと患者さまに喜んでいただける治療ができるように、みんなで取り組んだ半年間でした。

技術の研修としては、新しく導入したエアフロー・ペリオフローについて重点的に学びました。
技術以外の研修では、コミュニケーションについて深く学びました。

「虫歯や歯周病をできるだけ悪化させない、最小にできる人生を、患者さまとともにずっと一緒に歩んでいける専門アドバイザーになる」というのがゴールの研修でした。
毎日課題があり、週1回授業やレッスンがあり、覚えることもテストもたいへんでした。
しかし、全員最後まで研修をやりきることができ、テストも合格することができました。

患者さまに、よりよいものを提供するための研修ですが、クリニックのチーム感とか、メンバー同士のコミュニケーション力が上がることで、職場が以前よりもっと風通しがよく明るくなる、という予想外の効果もありました。
他には、家庭で子どもとの関係が良くなったとか、夫婦の会話が増えたというメンバーもいました。

写真は、じゅんこさんの誕生日会と、かよさんの誕生日会のものです♪

今日もみんなでがんばります♪

どうして定期的な歯石取りを勧められるの? 歯石と歯石取りのお話

2021年7月9日

こんにちは。岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

あなたは歯科医院で「歯石がついていますよ」と言われたことはありませんか?

当院では、定期的な歯科受診と歯石除去をおススメしております。

今日はその理由をお話しします。

歯石って何からできているの?

歯石というのは、お口の中のプラーク(細菌の塊)に唾液の中に含まれるカルシウム分などが沈着して石灰化してしまったものです。

要は、ばい菌の死骸が固まったものですね。

歯石がつきやすい場所

唾液腺、という唾液が分泌される器官の付近では歯石が付きやすい、出来やすい傾向にあります。
また、歯垢が残りやすい場所も歯石が付きやすくなります。

具体的に言うと、下の前歯の内側や、上の奥歯の外側などです。

もちろん、歯のまわりのプラークを取らずにそのままにしておくと、どの部位でも歯石になっていきます。

歯石が体に悪い理由

歯石は多孔質(穴がいっぱい空いている形状)なので、その穴に虫歯菌や歯周病菌が棲みつきやすく、歯周病やむし歯などのリスクファクターとなってしまいます。

また、歯石からはLPSという毒素を出します。
LPSという毒素は、炎症性サイトカインという、炎症を促進する物質を体に出させます。
それによって歯周組織の破壊が促進されて、歯周病の直接の原因にもなってしまいます。

歯垢が歯石になってしまうと、歯ブラシでは取り除くことは出来ません。

歯科医院で歯石取りをするのが、一般的な対処法です。
歯科衛生士や歯科医師という、国家資格を持つ専門家が歯石の除去を行います。

ちなみに、家庭用のスケーラー(歯石取りの道具)と称して、通販サイトなどで歯石取りの道具が売られていますが、おススメしません。
歯科医師や歯科衛生士でも、家庭用の照明の下でセルフで自分の歯石を取るなんて歯を傷めそうなことはしませんからね。

よろしければ、こちらの記事も参考になさってください。

参考リンク:家庭用超音波スケーラーは歯をかえって傷つけてしまう危険性がある

参考リンク:ネット通販でセルフケア用に売られているオーラルケア用品、 買って良いもの・ダメなもの

歯茎の上から見える歯石と、歯茎の下の見えない歯石

歯石にも種類があります。

歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)と、歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)に分けられます。

言葉どおり、歯肉の上の歯石か、歯肉の下の歯石かってことです。

歯肉縁上歯石

口を開けて、歯茎の上にある歯石です。

  • 白っぽく比較的柔らかです。
  • 柔らかといっても、歯石はほっておくとどんどん固くなってしまいます。
  • 歯肉縁上ということで、歯肉より上の歯の表面に付いてきます。
  • 歯周病が進行してくると、歯のまわりのポケットとよばれる溝がどんどん深くなって行きます。

歯肉縁下歯石

歯茎の上から目では見えない、歯と歯茎の間(歯周ポケット)の中に出来てくる歯石です。

  • 黒褐色をしています。
  • 黒いのは、血液の成分が影響しています。
  • 縁上歯石とくらべると、薄くて固く、取り除くことが困難です。

定期的な歯石除去が必要な理由

歯石は、古くなった歯垢が石灰化したものです。
毎日歯磨きしても、次の日には歯垢がついてしまいます。
それと同じで、毎日歯磨きが必要なように歯石も「一定期間あけば必ずついてしまうもの」です。

100%磨き残しなく歯磨きできる人など、ほぼいませんから、仕方ありません。
歯磨きのプロである歯科医師や歯科衛生士でも、3か月に1回ほどのペースで歯石除去をしてもらっています。

ただ、残念ながら日本では定期的な歯科受診の習慣を持つ人がまだまだ少ないです。
そして、それがそのまま「80歳になったときに、残る歯の本数が少ない」ことにつながっています。

歯石の取り除き方

歯科医院では以下の流れで歯石を取り除いています。

  1. 歯肉(歯ぐき)の状態の検査を行う
  2. 歯肉縁上歯石を除去する
  3. 歯肉の状態を再検査する
  4. 必要に応じて歯肉縁下歯石を除去する
  5. 歯肉の状態を再検査する
  6. 歯肉の状態が安定化している場合は、状態の維持を行う

安定化していない場合は、さらに歯石を除去する

「どうしてこんなに検査するの!?」と思われるかもしれません。

状態を把握しないと適切な治療を行うことはできません。
また、保険診療の場合、こうした折々の検査が義務付けられています。

最初から縁上・縁下すべての歯石を除去できるというものではありません。
上から攻めていかないと、下の縁下歯石にもアクセスできないんです。

縁上歯石を取り終わると、歯肉が腫れがおさまって来ます。
なので、歯肉は引き締まって、色味も健康な状態に近づきます。

歯肉が引き締まると、隠れていた縁下歯石が見えてくることもあります。

縁上歯石をとる時には超音波スケーラーと呼ばれる器具などを使います。

縁上歯石のスケーリング(除石)では、麻酔はあまりしません。
しかし、ポケットの深い部分についている縁下歯石を取る場合は、必要に応じて麻酔をすることもあります。

浅い部分の縁下歯石を取るときには麻酔は不要ですので、状態に応じて行います。

歯肉縁下歯石を取ることが、歯周病の治療・予防に重要

歯肉縁下の歯石をとるということが目的というか、歯周病の治療の大きな手段と言えます。

これらの処置を歯科医師よりも多くこなしているのが歯科衛生士です。

歯科衛生士は国家資格を持つ専門職であり、予防のスペシャリストとして活躍しています。

 

歯石とりだけでなく、ホームケアのアドバイスや、歯ブラシや歯間ブラシの使い方、場合によっては虫歯になりにくい飲食のアドバイスをさせていただくこともあります。

歯石は溜まってくるものなので定期的に専門家によるチェックを受けることがおススメです。

まとめ

いかがでしたか?

歯石は定期的につくものなので、歯科医院での定期的な除去をおススメします。
歯石の定期的な除去が、長期的に見れば歯の本数を減らさないポイントになります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

歯科におけるレントゲンの話

2021年6月21日

こんにちは、岩国のつぼい歯科クリニック 歯科医師の松浦です。

あなたは歯科医院に行って、「レントゲンを撮りましょう」と言われたことはありますか?

今日は、歯科におけるレントゲンについてお話していきます。

レントゲンとは、X線を用いた写真撮影のこと

そもそもレントゲンとは、X線を光源とした写真撮影といったものです。

X線は放射線の一種で、電磁波に分類されます。
波長の短い電磁波であり、紫外線よりも波長の短いものになります。
さらに波長が短くなるとγ線と呼ばれます。

X線よりも波長が長いものが紫外線、さらに長いものが可視光線。
さらに長いと赤外線といった感じです。

そのX線を使って行う写真撮影がレントゲン撮影となります。

通常のカメラと同様に、デジタルのものと、フィルムを用いたアナログのものがあります。

デジタルレントゲンの方が被ばく量が少ない

今では、レントゲン撮影もデジタル化されていることが多いです。

当院にも固定式3個とポータブル1個で、計4つのレントゲン撮影機がありますが、全てデジタルで運用しています。

 

デジタルレントゲンの最大の利点の一つに、被曝量が少ないということがあります。

アナログレントゲンと比べて、デジタルレントゲンの被曝量は1/2~1/10になります。

歯科のレントゲンの被爆量ってどの程度?

ちなみに、歯科のレントゲンの被爆量はもともとさほど大きくはありません。

歯科用の1~3本の歯を撮影するミニサイズのレントゲンの場合、放射線量は1~10μシーベルト程度とされています。

よくある例えなんですが、東京~ニューヨーク間を飛行機で往復移動すると200μシーベルトの被曝量があるとされます。

 

歯科のレントゲンの被爆量は大きくはありません。
しかし、被爆量は少なければ少ないほど良いです。
昔から治療上どうしても必要な場合や、診断上のメリットが大きい場合に限定して撮影されていました。

デジタル化によって、更に被爆量を少なくすることができたと言えます。

骨や歯の状態は、歯科レントゲンがないと分からないことが多い

レントゲン撮影の目的
  • 歯と歯の間にあるむし歯を見つける
  • 根っこの先の状態をみる
  • 歯の周りの骨の状態をみる

肉眼では見えないものを可視光線ではなく、X線を用いて見るのがレントゲンの役割であり、診断上欠かせないものです。

レントゲン写真を定期的に撮ることにも意味があります。
規格的に撮影したレントゲン写真を比較することで、早期に変化に気づくことができます。

 

むし歯も、歯周病も生活習慣病です。日々の積み重ねで進行することもあり、定期的なチェックが必要です。

まとめ

いかがでしたか?

  • 歯科レントゲンは、もとから被爆量は小さいですが、デジタル化により更に安全性が高くなりました。
  • 診断上、必要最小限のレントゲン撮影が必要になることがあります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

子どもの発音、発声について

2021年6月5日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

最近診療時に、保護者の方から、お子さんの発音・発声などについて相談を受けることが多くなってきました。

発音、発声は「構音=目的の語音を出すためのメカニズム」によって可能になります。

今回は、お子さんの「構音」についてお話していきます。

どうして乳幼児の発音は舌足らずなの?それって問題ないの?

日本語の発音

日本語の発音は、母音(あいうえお)と、子音(カ行以降)の組み合わせで構成されます。

母音(あいうえお)の発音の舌の位置と、息をあてる位置

画像出典:https://field-music.com/vocal/2019-10-05

母音は舌の位置(前か後)によって、発音しています。

子音の発音

子音は声道に様々な強い狭めや閉鎖などの構音様式を母音と組み合わせて作られます。

画像出典: https://www.onecareer.jp/articles/2428

これらの構音様式の獲得の順序はおおよそ決まっています。

構音様式の獲得の順番

母音に近い音から習得していきます。

サ行・ザ行、タ行の中ではツ、ヅなどは発音が難しく、4歳以降に習得します。

それまではサ行などは近い別の音で発声します。
例えば、『ウサギ』が『ウタギ』などに聞こえます。
舌足らずに聞こえますが、発達の順番が正常であれば問題ありません。

3~4歳になると、しりとりゲームなどの言葉遊びによって自分で発音の違いに気づき、正しい発音に置き換えていきます。

発達障害か、口腔機能発達不全症か

発音の発達に問題があるのか、言語能力やコミュニケーション能力に問題があるのか

発音を気にする前に、言葉やモノに対する興味やコミュニケーション能力が正常な発達しているかが重要なポイントになります。
そのため、歯科以外の専門家にも、よく相談する必要があります。

コミュニケーション能力に問題が無く、お口の機能だけに問題があるお子さんの場合、口腔機能発達不全症である可能性があります。
その名の通り、口腔の機能が十分に発達していなかったり、発達が遅れていたりする状態です。

口腔機能発達不全症の場合に、よく見るべき3つの項目

1.口唇閉鎖不全(唇をしっかり閉じることが難しい状態)

口唇閉鎖不全には

  • なんとなく、口がぽか~んと開いている場合(習慣性のもの)
  • 上の歯並びが出っ歯さんで、唇が閉じにくいのが原因の場合(歯列不正によるもの)
  • 鼻づまりで口呼吸をすることが原因の場合(鼻閉によるもの)

の3パターンがあります。

口唇閉鎖不全があると、起きること
  • パ、バ、マの音が不明瞭になる
  • 習慣性や鼻閉による口唇閉鎖不全でも、歯列不正につながりやすい
  • ウィルス性疾患などにかかりやすい
口唇閉鎖不全の治療
  • 歯並びを治す(唇を閉じれる位置まで前歯を移動させる。歯列矯正する。)
  • 口回りの筋肉が正常に動くように、筋トレする(筋機能訓練:MFTを行う)

*MFTの最も簡単なものに「あいうべ体操」があります。

参考リンク:あいうべ体操

2.舌小帯の異常

舌小帯とは、舌の下の中央にあるヒダのことです。

舌小帯短縮症 (舌小帯が短い)

舌が自由に動ける範囲が小さくなり、タ、ダ、ナ、サ、ザ、ラなどの音が不明確になります。

ただ、舌は大きな筋肉であるため、代償的な発達がよくおこります。
そのため舌小帯に問題があっても、発音に問題がない場合もあります。

3.口腔悪習癖

口の悪い癖のことです。中でも、構音に特に関係あるのは舌突出癖です。

全体的に舌が前に出るために、構音の不明瞭さや審美的な問題が起きる場合があります。

口唇閉鎖不全、舌小帯異常、口腔悪習癖の3つは相互に関係している

人によって割合が異なりますが、上記の3つはお互いに関係していることが多いです。

治療法は、

  • 矯正治療や舌小帯延長術で「原因を取り除く」
  • 筋機能訓練で「正しい機能を得る」

正しい機能を得るための訓練は、発達段階にある10代前半までが獲得しやすいと言われています。

Withコロナ時代のマスク事情と口腔機能発達不全症

新型コロナ感染症予防のために、幼い頃からマスクをしている今時のちびっ子達。
マスクをしていると、より口呼吸になりやすいと言われています。

新潟大学の行った大規模な全国疫学調査があります。
日本人の子どもたち(3~12歳)のお口ぽかん率は30.7%であったという論文が、2021年1月に発表されました。

ひと昔前より、お口をぽか~んと開けてしまう子どもたちが増えたと言われています。
これらの症状は、成長とともに自然と改善することは少ないです。
気になることがありましたら、お気軽ご相談ください。

まとめ

いかがでしたか?

  • 日本語は舌の位置と口唇などで構成される母音と、様々な閉鎖部を作ること(構音)によって音が決まる子音を組み合わせることにより構成されます。その発達の順序はおおむね決まっています。
  • 構音の問題がお口にある場合、その原因として指摘されるのは口唇閉鎖不全、舌小帯の異常、口腔悪習癖などです。これらは相互に関係している場合が多く、正しい構音の獲得のためには、形の獲得(歯科矯正など)とともに、機能の獲得(トレーニング)が重要になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

子どものいびきについて

2021年5月20日

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

5月中旬、気持ちのいい季節になりましたね。
ただ、この時期は朝晩の気温差が大きく、また黄砂が多い時期で、鼻炎・鼻づまりになりやすい時期でもあります。

今回は、鼻炎になりやすい季節によくある「いびき」の悩みについてお話していきます。

どうして「いびき」が出るの?

起きているとき、大人も子どもも呼吸音は出ません。
これは気道の確保が十分にできていることの表れです。

ところが、睡眠時は舌が重力によって気道を押し、気道が狭くなってしまいます。
気道が狭くなってしまうと、喉の部分でホイッスルのように音が出てしまいます。

これが「いびき」で、大人も子どもも音が発するメカニズムに違いはありません。

参考リンク)いびきの原因って?~音が鳴るメカニズム~

いびきの原因って?~音が鳴るメカニズム~

いびきには、様子を見ても問題ない「いびき」と、気にしないといけない「いびき」があります。

気にしなくて良い「いびき」、要注意な「いびき」

日本人は顎が小さく、体格的にいびきが起きやすいと言われています。

特に子供においては近年増加傾向にあり、習慣的にいびきをする割合が10%程度あると言われています。

気にしなくて良い「いびき」

  • やや低めの音
  • 周期的であまり大きくない

要注意な「いびき」

  • やや高い音
  • 不規則なもの(たまに途切れるなど)
  • 寝起きが悪い、日中眠気を覚える

要注意な「いびき」とは、睡眠時無呼吸症候群や、その予備軍のサインであることが多いです。
体内に十分な酸素が入っていっていないことが考えられます。

子どものいびきの原因は、アレルギー性の鼻炎、もしくはアデノイド・扁桃腺の肥大が多いです。

アデノイドは免疫を獲得する6-7歳で最も大きくなります。
通常であれば問題ないですが、免疫が過敏な子どもでは腫れあがり、いびきにつながることがあります。

アデノイドと歯並びの関係

アデノイドが腫れている子どもは、歯列不正が起きやすいと言われています。

面長(ロングフェイス)や下顎が小さく引っ込んだ顔を総称してアデノイド顔貌と言い、上顎前突(出っ歯)や叢生(歯並びがガタガタしている)が非常に起きやすくなっています。

アデノイド顔貌はここ10年ぐらいで、特に増えたと言われています。
その他の症状としては、アデノイドは耳管も閉塞するため、中耳炎が起きやすかったりします。
また、多くはないのですが、子供でも睡眠時無呼吸症候群が起きている場合があります。

子供の睡眠時無呼吸症候群

子供の睡眠時無呼吸症候群の発生率は1-2%程度と言われています。

1時間の中で、5回程度10秒以上の呼吸が停止している場合に、診断がつきます。
睡眠時無呼吸症候群外来や、小児の場合は小児科で検査することになります。

子供の睡眠時無呼吸症候群の問題点

  • 日中も眠く、フラフラしてしまう
  • 成長ホルモンの分泌が阻害され、発達や身長の伸びなどに問題が出る場合がある

このような状態でのいびきは大変に危険です。早めにご相談下さい。

まとめ

いかがでしたか?

  • 日本人は骨格的にいびきをかきやすく、子どもにおいては増加傾向です。
  • 10%程度の子どもがいびきをかいており、1-2%は特に重症の睡眠時無呼吸症候群を併発している場合があります。
  • アデノイド、扁桃腺の腫脹が原因で起きるいびきでは、歯列不正を伴う場合が多いです。
  • 睡眠時無呼吸を伴ういびきの場合、成長発達までかかわる重症な場合があり、注意が必要です。

思い当たることが…という方は、お気軽にご相談ください。

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当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

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