こどもの反対咬合はプレオルソでどう治る? 実際の症例を紹介
2026年9月20日


こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医で副院長の吉村剛です。
前回は、こどもの反対咬合(はんたいこうごう:下の歯が上の歯より前に出て噛み合う状態。受け口とも呼ばれ、下顎前突を伴う場合もあります)の原因や、早期治療を行う目的、プレオルソによる治療が適している症例について解説しました。
参考リンク: プレオルソで、こどもの受け口は治せる?

前回に引き続き、今回は実際にプレオルソで反対咬合を改善した3症例について解説します。
今回ご紹介するのは、姉と二卵性双生児(弟・妹)という、3姉弟の症例です。
同じ「受け口」であっても、反対咬合の原因や歯の傾き、顎の成長方向、舌の位置などは一人ひとり異なります。
そのため、3人に同じ治療を行ったわけではありません。
プレオルソを中心に、必要に応じてリンガルアーチやMFT(口腔筋機能訓練)を組み合わせました。
※掲載する症例は、患者さんと保護者の方の同意を得たうえで、個人が特定されないよう配慮しています。治療結果には個人差があります。
1.家族性の反対咬合
今回のご家族では、お父さんとお母さんには反対咬合がありませんでした。
父方のいとこに受け口の傾向があったそうです。
そして、姉と二卵性双生児の弟妹の3人全員に、反対咬合が認められました。
二卵性双生児だからといって、遺伝情報が完全に同じではありません。
双子の2人に反対咬合があり、年齢の異なる姉にも同じ傾向がみられたため、遺伝的な要因が関係している可能性を考えた症例でした。
ただし、兄弟姉妹で同じ噛み合わせになったからといって、原因や治療方法まで同じとは限りません。
実際に診査すると、前歯の傾き、顎の成長方向、舌や口周りの筋肉の使い方には、それぞれ違いがありました。
2.実際の症例
2-1)症例1 8歳女児 受け口が3か月で正常な噛み合わせに改善
初診時年齢:8歳7ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:3か月/治療費総額42万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など
8歳7ヵ月で、反対咬合の治療をスタートしました。
8歳7ヵ月 プレオルソ+リンガルアーチで矯正スタートです

3か月後 前歯の反対咬合が改善しました

1年後

プレオルソは、歯を一本ずつ移動させる装置ではありません。
上下の歯の噛み合わせや、舌・唇・頬の筋肉のバランスを整えながら、反対咬合の改善をめざす装置です。
姉のお子さんには、上の前歯を積極的に外側へ動かす必要があったため、固定式のリンガルアーチを併用しました。
また、低位舌(ていいぜつ:舌が本来の位置より低いところにあり、舌を上へ持ち上げる動きが苦手な状態)がみられたため、MFT(口腔筋機能訓練)も併用しました。
ただし、現時点で前歯の反対咬合が改善していても、将来の下顎の成長まで確定したわけではありません。
永久歯への生え変わりや思春期の成長を確認するため、治療後も定期的に経過を観察しています。
2-2)症例2 5歳男児 受け口が10か月で正常な噛み合わせに改善
初診時年齢:5歳2ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:10か月/治療費総額25万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など
5歳2ヵ月でプレオルソ+リンガルアーチで治療スタート

6か月後

10か月後 前歯の反対咬合が改善しました

3姉弟の中では、前歯の反対咬合が改善するまでに最も時間を要した症例でした。
このお子さんに対してもMFTを併用しました。
MFTによって舌や口周りの筋肉の使い方が整ったことも、噛み合わせの維持に役立った可能性があります。
その後、上顎の前歯は永久歯に生え変わりましたが、正常な噛み合わせを維持できています。
2-3)症例3 5歳女児 受け口が6か月で正常な噛み合わせに改善
初診時年齢:5歳6ヵ月/主な診断:反対咬合/使用した装置:プレオルソとリンガルアーチ(MFT併用)/反対咬合が改善するまでに要した期間:6か月/治療費総額37万円/主なリスク・副作用:装置による痛みや違和感、発音しにくさ、粘膜の傷、装着時間不足による治療の遅延、後戻り、成長に伴う反対咬合の再発など
5歳6ヵ月でプレオルソ+リンガルアーチで治療スタート

3か月後

6か月後 前歯の反対咬合が改善しました

3.3症例を比較して分かること
プレオルソだけでは十分でない症例もある
プレオルソは、噛み合わせと口周りの筋肉のバランスを整えるために有効な選択肢です。
しかし、内側へ傾いた上顎前歯を積極的に動かす必要がある場合などには、リンガルアーチのような固定式装置を併用することがあります。
「受け口にはプレオルソ」と一律に考えるのではなく、歯をどの方向へ、どの程度動かす必要があるのかを診断することが重要です。
歯並びだけでなく、舌や唇の使い方も確認する
装置によって前歯の反対咬合が改善しても、低位舌や口呼吸、口唇閉鎖不全(こうしんへいさふぜん:安静時に唇を自然に閉じにくい状態)などが残っていることがあります。
MFT(口腔筋機能訓練)は、舌、唇、頬などを適切に使うためのトレーニングです。MFTだけで、顎の骨格差が関係する反対咬合を改善することは困難ですが、必要に応じて矯正装置と組み合わせることで、口腔機能の改善をめざします。
4.まとめ
- ・下顎前突(かがくぜんとつ:下顎が上顎より前方に位置している状態)は、遺伝的な要因が強く関係していることもある不正咬合(ふせいこうごう:歯並びや噛み合わせに問題がある状態)です。
- ・プレオルソを含むマウスピース型の矯正装置には、骨格の特徴によって向き・不向きがあります。そのため、治療前の診査・診断が重要です。
- ・当院では、マウスピース、リンガルアーチ、MFTを症状に応じて組み合わせています。遺伝的な要因が関係すると考えられる反対咬合でも、一定の改善がみられる場合があります。
お子様の受け口が気になる方へ
子どもの反対咬合には、歯の傾きが中心となっているもの、顎を前へずらして噛むことで起こるもの、上下の顎の骨格差が関係するものなどがあります。
見た目だけで、プレオルソが適しているかどうかを判断することはできません。
当院では、歯並びや噛み合わせだけでなく、顎の成長方向、永久歯の状態、舌や口周りの筋肉の使い方などを確認したうえで、治療の必要性や開始時期をご説明します。
「乳歯の受け口をそのままにしてよいか分からない」
「兄弟に受け口があり、ほかの子も心配」
「プレオルソだけで治療できるか知りたい」
このような場合は、まずは無料矯正相談をご利用ください。
▶ 無料矯正相談について詳しく見る
https://tsuboikyousei.com/soudankai/
▶ 当院の小児矯正について詳しく見る
https://tsuboidental.com/pediatric/
最後までお読みいただき、ありがとうございました!






