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歯がしみる! ~冷たいもので、甘いもので、歯ブラシの毛先で。知覚過敏の話~

2023年3月26日

こんにちは、つぼい歯科クリニック勤務医の荒田です。
本日は案外多くの人が悩まされている

知覚過敏についての話をしようと思います。

 

一口に知覚過敏と言っても、原因は様々あります。

1)知覚過敏の原因

・歯磨きの時の力が強い

・歯周病で歯茎が下がった

・かみ合わせが悪くて歯茎が下がった

・食いしばりや、上下の歯を接触させる癖による

・体調やホルモンバランスが乱れ

 

2)なぜ知覚過敏は起こるのか
<歯の構造>
歯は外側から

・エナメル質…硬い外殻

・象牙質…少し柔らかめの中層

・歯髄…神経や血管が通っている

に分けることが出来ます。

 

通常口の中で見えている歯はすべてエナメル質の部分であり

よっぽど強い衝撃や、激しい冷温差でなければ

知覚過敏が起こることは稀です。

 

<歯が刺激を感じる理由>
中層にあたる象牙質の表面には

『象牙細管』という約1μm(1mmの1/1000)程の

微小な穴が開いており、歯髄とつながっています。
『象牙細管』の内部には水分が入っており、

この水分が歯への刺激を歯髄に伝えます。

 

<知覚過敏の原因>
通常冷たい飲み物や歯ブラシが当たっても、

エナメル質が刺激をブロックします。

しかし、加齢や過剰な食いしばり、

歯ブラシの圧が強いことなどにより歯茎が下がり、

象牙質の表面が口の中に露出してしまうと、

刺激を直接的に受け取ってしまうことにより

知覚過敏が生じるのです。

 

3)知覚過敏の原因(歯茎が下がる)は治せる?

 

歯茎が下がってしまったことが原因で

知覚過敏が起きるならばのならば

下がった歯茎を元にもどせばいいじゃないかと

考える方もいらっしゃるかと思います。

 

しかし現実的には一度下がってしまった歯茎を

元に戻すことは困難です。

 

歯周再生療法(外科的手術)で回復できるケースもありますが

全体的に広範囲に歯茎が下がっている場合は

回復することは非常に困難です。

だからこそ、最初から歯茎が下がらないように

歯磨きや定期的なクリーニングを行うことが重要です。

 

4)知覚過敏の治療法

~基本戦略は露出した『象牙細管』の入り口をふさぐこと~

 

<自然治癒>

唾液の中には大量のカルシウムが含まれており、

知覚過敏が軽度なら、唾液の作用で

象牙細管の入り口がふさがれ、しみなくなっていきます。

 

また、人体には自分が害になる刺激を受け続けると

それを遮断しようとする働きがあります。
歯も刺激を受けると、象牙細管事態を細くしていき、

刺激を受けたとしても大きく反応することが

ないようなっていきます。

 

<薬液の塗布>

自然治癒が見込めない中等度以上ですと

薬液で象牙細管の入り口をふさいでしまいます。

 

<しみにくくなる歯磨き粉の使用>

神経が刺激に反応しにくくなる歯磨き粉も

市販されており、薬液の塗布との併用を

おすすめすることもあります。

 

 

まとめ
1.そもそもの原因を生まないように衛生を保つ努力をしましょう
2.知覚過敏が最終的には収まってくるので、それまでは強い刺激を与えないようにしましょう

 

知覚過敏が起きる原因など少しでもわかっていただければ幸いです。
最後になりますが、今回説明した内容だけが

知覚過敏の原因となる訳ではありません。

 

様々な要因により生じる病気でもありますので、

知覚過敏が強く出るようになってきたな、など

感じましたら歯科にかかることをお勧めします。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

歯医者が「回数がかかる」と言われるワケ ~根管治療の手順~

2023年3月18日

こんにちは、つぼい歯科クリニック勤務医の荒田です。

今回は前回に引き続き、根管治療のお話の続きとなります。

 

前回のお話

歯医者が「回数がかかる」と言われるワケ ~根管治療~

根管治療に種類があることをお話しいたしました。

 

 

今回は、根管治療の手順についてお話させてください。

 

①虫歯の部分を削り取る

神経がある場所まで歯を削ります。
この時当然麻酔をかけて行うのですが、

例えば治療前からすでに痛みがある場合、麻酔が効きにくい場合があります。

 

 

そのような場合は、先に服薬で炎症を抑えて

麻酔が効きやすくなってから治療開始することもあります。

 

②神経を取る

根の先端まで細い針金のようなヤスリを通し、神経を取っていきます。

 

 

 

 

③根の管をキレイにする
消毒液で根の管を消毒します。

理想は無菌にすることですが、現実的には不可能と言われています。

細菌を含んでいる唾液が入らないように、

隔壁(唾液が入らないようにするための防波堤のようなもの)をつけたり

ラバーダムやZOOといった唾液が入らないようにする道具を用いて

根管を綺麗にしていきます。

 

 

【注意!】根の治療中は、ウガイできない!

根管治療の辛いところは、なんといっても

「ウガイが出来ない」「口をあけっぱなしでいないといけない」ところ。

なぜ開け続けなければならないのか、というと、前述のとおり

「唾液が根管に入らないようにしなければいけないから」

 

口を閉じてしまうと、どうしても唾液が根管に入ってしまいますし、

そもそもラバーダムやZOOを用いている場合は口が閉じられません。

口を閉じることすらできない状態なので、

休憩や中断なしに治療が進みます。

 

顎がだるくて大変だとは思いますが、

この治療中だけは患者さんに頑張ってもらわないといけません。

 

④薬を詰める
さて、根の管を完全にキレイにし終えた後、

薬を詰めて終了となります。

レントゲンを撮り、根の先までキレイに薬が詰まっていれば

晴れて根の治療完了となります。

 

そのあとは歯の形を取り戻していく治療が開始されていくのです。

そう…つまり、このあと

⑤土台を作る

⑥冠の形を作って型を採る

⑦冠を装着する

と、まだ続くのです…。

 

回数かかりますね。

歯医者が「長い」と嘆かれてしまう、手順の多さを

知っていただけたら嬉しいです。

 

まとめ
根の治療には時間がかかるが、必ずやらねばならない治療である

 

二回にわたって根の治療に関して話してきましたが、少しでも分かっていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯医者が「回数がかかる」と言われるワケ ~根管治療の種類~

2023年3月18日

こんにちは、つぼい歯科クリニック勤務医の荒田です。
今回は患者さんにとって

「歯科治療の中で何をやっているか一番わからない」と言われる

根っこの治療について話していこうと思います。

 

根管治療 

Root Cannal Treatment(歯の根の治療)

患者さんの立場からすると何をやっているのかよくわからず、

やっている最中は口を開けっ放しだし、

ウガイさせてもらえないし、

あげくに回数はかかる、

という中々に理解しがたい治療ですよね。

 

何故、根の治療をするのか

治療の名前としては根の治療ですが、

実際やっているのは歯の神経が入っている管の治療になります。

 

 

歯の神経は、イラストの赤い部分です。

 

そして、実は神経が生きているか、死んでいるかでも治療内容は変化するのです。

 

A)神経が生きている場合

例えば虫歯が進行してしまい、神経まで到達したとします。

歯の神経は炎症を起こし、夜眠れないぐらいの激痛になります。

そうなってしまうともう神経を取るしか治療方法はありません。

 

麻酔をして、炎症を引き起こしている神経をすべて取り、

歯の神経が入っていた管も細いヤスリをかけて、

感染物質を綺麗に取り除きます。

 

炎症症状を発している神経を取ってしまえば

ある程度症状は改善しますし、

虫歯菌の繁殖も大きく広がっているわけではないため、

比較的回数は少な目で済みます。

 

B)神経が死んでいる場合

神経が死んで時間があまり経過していなければ、

治療法そのものは神経が生きているときとあまり変わりません。
しかし問題なのは神経が死んで時間が経ってしまっていた場合です。

神経が死んで時間が経つと、根の先に膿がたまった病巣が出来上がってしまいます。
こうなってしまうと、単に根の中をキレイにしただけでは収まらず、

病巣内の膿を出し切らなければ治療を終えることができません。


病巣が大きければ大きいほど内部の膿は多く溜まっているため、

治療の時間、回数はその分増えることとなるでしょう。

 

 

さて、長くなりましたがひとまず神経の治療にも違いがある、

ということを少しでも知っていただけたら幸いです。
次回ではいよいよどのような治療をしていくのか、

というところに視点を向けて話していこうと思います。

 

 

今回のまとめ

 

・歯の神経まで虫歯が到達すると、とても痛いです。

・神経に虫歯が達すると一般的に根っこの治療をすることになります。

・根の先の膿が出来てしまうと、治療期間や回数が増えてしまうことが多いです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

どうして歯ぎしり・食いしばりをしてしまうの? ~歯ぎしり・食いしばりの原因と治療法について~

2022年12月31日

どうして歯ぎしり・食いしばりをしてしまうの?
~歯ぎしり・食いしばりの原因と治療法について~

 

こんにちは、つぼい歯科医師の荒田です。

本日は歯ぎしりや、食いしばりが及ぼす

影響などについて話していこうと思います。

 

人に言われるまで全く気付かないこともある

歯ぎしりや食いしばり。

朝起きるとやけに歯が痛かったり、

顎がだるくなっているような経験を

された方も多いのではないでしょうか。

そうなっても、往々にして

放置してしまうことが多い歯ぎしりや食いしばりですが、

歯周病などと合わさると

歯が抜ける一つの原因となることもあります。

歯を残していくために、基本的な知識や、

対策について知っておくのはとても重要です。

 

①なぜ歯ぎしりや食いしばりをしてしまうのか

単純に噛み合わせが少し悪くて、

無意識化でそれが気になって生じるものや、

ストレス性、精神的に不安定な状態、

長年の癖など、多種多様の原因があります。

それらが複合的に絡み合って、

歯ぎしりや食いしばりを起こしている場合も多くあり、

根本的に症状をなくす、というのは

中々難しいのが現状です。

治療にするにしても、

すぐ治療の効果が出ない場合も多いのです。

 

②歯ぎしりや食いしばりによっておこる症状

・噛むと痛みを感じるようになる(歯根膜炎)

歯は顎の骨に埋まっているのですが、

実は歯と骨との間に薄いクッションのようなものがあります。

このクッションは噛むときの力を受け止めたり、

歯が痛まないように

噛む力を調整したりする優れものなのですが、

歯ぎしりや食いしばりなどで過剰な力がかかると

このクッションが痛むことになるのです。

 

そうすると、噛むと痛むようになってしまいます。

 

・歯周病などがある場合、歯が抜けてしまうこともある

歯周病で骨が溶け始めているような方だと、

場合によっては歯が抜ける原因にもなります。

例として砂山の頂上に棒を立て、

その棒を前後左右にゆするイメージをしてみましょう。

適度な力ならばたいしたことはありませんが、

大きく動かせば動かすほど砂山は崩れ、

最終的に棒は抜けることになります。

本来人間の骨は砂山ほど崩れやすくはありませんが、

骨が溶け始めていると歯が抜ける原因になりかねない、

というのはなんとなくわかっていただけるかと思います。

 

・歯が削れてしまう(咬耗)

一般的に、上の歯と下の歯が触れる時間は、

食事や会話の時間も入れて

1日20分未満だといわれています。

 

それが、歯ぎしりや食いしばりをする方の場合は、

何倍も噛む時間が長くなってしまうので

歯が削れていってしまうことが多いです。

 

下の写真は削れてしまった歯の状態です。

歯が削れると、歯の長さが短くなって

かみ合わせが変わってしまったり、

歯がしみたりすることがあります。

 

・詰め物が取れる、詰め物を入れた歯が欠ける

歯に詰め物が入っていた場合、

歯が削れてしまうほどの強い力が

歯にかかってしまうと、

詰め物が取れたり

歯が欠けたりしてしまうことがあります。

 

④治療に関して

もし直接的な原因がはっきりとしている

ようであればそれを取り除くのですが、

ストレスや生活習慣などが原因の場合は

簡単にはいきません。

 

代表的な治療法

・歯や詰め物を守る必要があるときには、マウスピースを用いて、ダメージを軽減する。
・かみ合わせが強くなりやすい姿勢を改善する。
・咬み合わせが悪い原因(歯周病や、治療していない虫歯、歯が抜けたあと放置した隙間など)がある場合は、先にそこを治療する。
・食いしばる癖を改善するための行動変容療法を試す

などがあります。

 

まとめ

1.歯ぎしりや食いしばりは放置せずにまず、相談しましょう
2.口周りの健康の維持の為、対策をしましょう

 

歯ぎしりや食いしばりによって

おこる症状と治療法を説明してきましたが、

実際には更に多岐に渡ります。

頭痛や肩こりなどの症状の原因の一つが、

実は食いしばりだった、ということも

珍しくはありません。

 

逆に、腰痛の原因となる姿勢が

食いしばりを起こしていた、と

いうことも多いです。

今まで気づいていなくても、

気づくきっかけがあったならば

検診のつもりで歯科受診されてみては

いかがでしょうか?

フッ素の効能 「虫歯から歯を守る」

2022年12月31日

フッ素の効能 「虫歯から歯を守る」

 

こんにちは、つぼい歯科クリニック歯科医師の荒田です。

本日はフッ素について簡単にお話ししようと思います。

 

昨今よく知られるようになり、

様々な歯磨き粉などにも使用されているフッ素。

なんとなく歯に良いと聞くから使っている、

という方も多いのではないでしょうか。

 

今回はフッ素の効能に加え、

より効果的に使う方法なども話していこうと思います。

是非最後までご覧ください。

 

フッ素の効能

 

フッ素は歯を強化します。

虫歯菌が持つ歯を溶かす能力

=酸に対して強くなる(耐酸性)ため、

虫歯が出来にくくなります。

 

特に乳歯や、生えたての永久歯は

酸に対する耐性が低いため、

小児に対してフッ素を使用するのはおススメです。

 

他にも、初期虫歯を強化して

虫歯の進行を防いだりします。

歯医者さんで「初期虫歯がある」と

言われたことのある人にも

ぜひ使っていただきたいです。

 

フッ素の使用方法

 

フッ素の持っている力が発揮されるためには、

フッ素が歯に染み入る必要があります。

ですので、フッ素を歯に塗ってすぐ

うがいなどで洗い流してしまうと、

折角塗ったフッ素もあまり意味をなさない、

ということになります。

 

例えば、歯科医院などで

仕上げにフッ素を塗ってもらったら、

30分は洗い流さない、

ということは注意しておきましょう。

 

フッ素を使用する際の注意点

 

フッ素は歯にとって良いもので

あるのは間違いないのですが、

決して万能ではありません。

 

フッ素を塗ったからといって、

汚れが付きにくくなるわけでもありませんし、

歯周病に対して特別有益な効能を

持っているわけでもありません。

 

あくまで酸に対して強くなるだけですので、

歯磨きを怠らないようにするのは必須である、

というのは忘れないようにしましょう。

 

フッ素入り歯磨き粉・ジェルについて

 

「市販品の歯磨き粉でフッ素入りの良いやつはどれですか?」

と聞かれることがあります。

 

日本では、歯磨き剤に配合される

フッ素濃度の上限は1500ppmとなっています。

どうせ使うなら、

学童~成人は1450~1500ppmのものを

選ばれると良いでしょう。

 

乳幼児用として500ppm~950ppmの

ものも販売されていますので、

お子様の年齢にあったフッ素歯磨き粉・ジェルが

どれか分からない場合は、歯科医院でお尋ねください。

 

なお、歯科医院で塗布するジェルの

フッ素濃度は9000ppmであり、

1500ppmの市販品とは

虫歯予防の作用機序も効果持続時間も

全く異なるものになります。

 

歯科医師としては、

歯科医院用とご家庭用のフッ素は、

併用することが最も効果が高くおススメです。

 

 

まとめ

1.フッ素を使用する際はすぐに洗い流さず、30分は染み入るのを待つべし

2.あくまで毎日の歯磨きの上に成り立つ効能なので、歯磨きは怠るべからず

 

簡単ではありますが、フッ素の効能についてお話致しました。

より詳しいお話など知りたい方がいらっしゃいましたら、

歯科医院いてご質問くださいね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

外傷歯の治療について(シリーズ3)

2022年10月27日

外傷歯の治療について(シリーズ3)

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

小学校低学年(6~8歳)のお子さんの永久歯の根っこは、まだ完成していません。

こういう「根っこが完成していない永久歯」のことを「根未完成歯」と言います。

 

根未完成歯の外傷の治療はなかなか難しく、治療の考え方も普通の「根完成歯」と大きく異なります。

外傷シリーズ第3弾の今回は、根未完成歯の根の治療について解説していこうと思います。

 

 

Ⅽくんは、8歳の男の子。

スポーツ少年団でハンドボールを頑張っています。

試合形式の練習中にゴールポストと激突し、前歯を打ちました。

前歯は永久歯で、明らかに歯が大きく欠けていて、折れている様です。

 

1)根完成歯と根未完成歯の違い

永久歯の根は一般的に、歯が生えて2-3年後に完成します。

この時期の歯根はラッパ状の形態とか、穴の開いたバケツのような姿をしています。

この時期の根先端はかなり繊細です。

 

2)根未完成歯の治療法

根未完成歯の場合、根尖をふさぐ必要があります。

炎症を起こしている正常でない部分を取り除き、水酸化カルシウム製剤と呼ばれる材料で緊密に充填します。ある程度完成している歯の場合、薬の刺激で根っこの先がふさがります。

 

根が全く完成していない歯の場合、根尖付近をできるだけ触ることなく、正常な部分と判断できる部分に水酸化カルシウム製剤で緊密に蓋をします。

その結果、根の先端に炎症がなくなれば根が改めて成長し、完成します。

 

根が全く完成してない歯の場合、通常の根幹治療では上手くいきません。

ある程度生体の治癒力を期待しながら処置します。

 

近年、水酸化カルシウム製剤に加え、MTAと呼ばれるセメントやレーザーの使用によりこれらの処置法の成功率が上がってきています。

つぼい歯科でも両方を使用し、成功率が高く無い、困難な病状の歯でも、治癒を期待して処置しています。

 

こうした、根っこが完成していない外傷歯の治療は、数か月ごとの再治療が2~3回必要となります。

つまり、時間がかかってしまいます。

 

3)外傷以外でも、根未完成歯で根っこの治療が必要になるケースがある

 

・乳児・幼児が虫歯になりやすい食習慣・飲み物の習慣を持つ場合

 

生えた途端にすごい虫歯になる場合も依然あり、残念ながら根治に至るケースもあります。

・歯の中央の、本来凹んでいるはずの部分に歯の突起が生えている状態(中心結節)

突起が折れたりして、根治に至ることがあります。

 

・歯の中に空洞のような虫歯になりやすい構造(歯内歯)

 

食習慣や歯磨き習慣は普通なのに、気づけば大きな虫歯になっていて、根治しないといけなくなってしまうケースがあります。

 

ただし、上記のいずれも、予防することが可能です。

 

食習慣・飲み物習慣を虫歯になりにくいものにしていただいたり、突起があると分かった時点で、あらかじめプラスチックで補強しておいたり、シーラントという予防処置を事前にしておくなど、定期的に歯科医院に通院していただければ、歯の根っこの処置を回避することが可能です。

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

・根未完成歯の外傷治療では、まずは根を完成させることを目的とした処置が必要になります。

・外傷以外でもこのような処置が必要となる場合がありますが、定期的に歯科医院に通院していただければ、いずれも予防が可能です。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

外傷歯の治療について(シリーズ2)

2022年9月24日

外傷歯の治療について(シリーズ2)

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

今回も外傷シリーズで行こうと思います。

以前にお話ししたのは1歳ぐらいのかなり小さなお子さんでしたが、今回は小学校~中学生くらいの時期によく起こる外傷についてお話していきます。

 

小学生から中学生の間によく起こる外傷例

Bくんは、11歳半の男の子。

友達とスポーツ少年団でハンドボールを頑張っています。

試合形式の練習中に友達と激突し、前歯付近を打ちました。

上唇と上の前歯の歯茎から出血があり、前歯がぐらついているようです。

歯が欠けているかはよくわかりません。

 

1)スポーツでの外傷

小学~中学生の歯の外傷は、スポーツによるものが多くなります。

一般的に体の接触が多いスポーツでは、特にリスクが高い傾向にあります。

そのため、空手の組手競技などでは、スポーツ用マウスピースの使用が求められています。

 

 

球技でのケガも多いですが、競技の内容によって違いがあります。

歯のケガが少ないスポーツ

テニスなど

歯のケガが多く報告されているスポーツ

体の接触が多いラグビー、バスケットボール、ハンドボールなどでは多発しています。

(令和3年学校歯科医会会雑誌No2参照)

 

そのため、歯科医としては、スポーツ用マウスピースを「可能であれば」というより、「ぜひとも」つけていただきたいと考えています。

 

2)口を含む頭頚部のケガ

口を含む頭頚部のケガには、頭頚部の外傷(打撲、切り傷、歯のケガもここに含まれる)から、脳震盪、脊髄損傷など重篤なものもあります。

 

脳震盪など重篤なものの場合、動かさない方がよい場合も多いです。
まずは命に係わるものかどうかを判断しましょう。

 

歯科医院でも、けがした部位のみではなく、顎骨等のチェックも行っています。

 

実際、介在骨折というパターンで、打った部位ではない場所が骨折している(顎の下を打った、顎関節部が折れていた、など)ということがあります。

このような大きなけがの場合、大学病院などでの処置となります。

 

3)ぐらついている歯の処置

歯を打った場合、ほとんどすべての歯で振盪といわれる状態になっています。

 

歯は歯槽骨に、歯根膜といわれる血管、繊維で繋がっています。

揺れている場合は、その歯根膜のどこかに亀裂、断裂が起きています(これが振盪)。

 

その断裂部位が歯根の先端部分であれば、歯の歯髄が壊死して後日変色が起きます。

 

見ただけでは断裂部位は判断できません。

歯髄の活性によっては歯髄壊死が起きない場合もあるので、歯が揺れている場合は、まず固定して安静にしておくのが重要です。

 

4)歯が欠けた場合

前回にも少し記載していますが、大きく3パターンに分けられます。

 

・軽度の歯冠破折(しかんはせつ:歯の表面が欠けた)

ほんの少し欠けただけなら、様子見することもあります。

歯科用プラスチックで、欠けたところを埋めることもあります。

 

・歯冠破折(しかんはせつ:歯が欠けた~割れた)

神経が出てしまうほどの割れ方をしてしまった場合は、根っこの治療をします。

 

・歯根破折(しこんはせつ:歯の根っこが割れた)

歯の根っこが割れてしまうと、残念ながら抜歯するしかないこともあります

 

ただ、12歳ぐらいの若い歯髄は生命力、治癒力が強く、こちらの想像を超える治り方をする場合があります。

歯髄壊死をしている部分を取り除いてやれば、結果としては歯や歯根の長さはだいぶ短くなったりしますが、なんとか歯として残せることもあります。

 

まとめ

・まずは怪我の内容、体の状態を広い視野で確認しましょう。唾液等で出血は大きく見える場合もあります。

・ぐらぐらしている歯の場合は、まずは固定して安静にすることが重要です。
歯の破折はその折れた部位によって治療方法や予後が異なります。
若い永久歯の場合は、歯根破折など厳しい状態でも残す努力と歯髄の生命反応の結果、残せることもあります。

・外傷は年齢、歯の受傷具合で方針が大きく異なります。
12歳ぐらいのお子さんの場合、受傷状況を教えていただけると治療の参考になる場合が多いです。
また、1度治ったところでも、2度目のダメージは強く出る傾向にあります。
何度もぶつけないように気を付けましょう。

 

いかがでしたか?

けが予防のためにも、スポーツ用のマウスピースはできればつけていただきたいと考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

義歯安定剤を正しく使わないと、入れ歯がよけい外れやすくなるってホント!?

2022年9月20日

義歯安定剤を正しく使わないと、入れ歯がよけい外れやすくなるってホント!?

 

こんにちは、つぼい歯科クリニック 歯科医師の荒田仁です。

本日は入れ歯、特に義歯安定剤に関して話していこうと思います。

特に全部入れ歯を入れられている方に多いのですが、

「普段の使用感はいかがですか」

などとお聞きしたとき、

「外れやすいけぇ、市販されてるくっつくやつを塗って使っとるんよ」

という声をたまに耳にします。

 

実はこの『くっつくやつ』を間違って使っていると、余計に外れやすくなる、ということをご存じでしょうか。

 

1.義歯安定剤の種類

 

『くっつくやつ』とは、正式には『義歯安定剤』といいます。

その中でも、盛るようにして使うクッションタイプ、振りかけて使うパウダータイプ、塗って使うクリームタイプがあります。

 

今回の話では、特に『クッションタイプ義歯安定剤』に関しての話題となりますので、ご注意ください。

 

2.そもそも何故入れ歯は外れやすくなるの?

 

歯茎というものは、年齢を重ねるにつれ、どんどん痩せていく、ということに起因しています。

痩せてしまった歯茎が元に戻ることはありません。

そうすると、まだ痩せていない時期に作った入れ歯が、段々と合わなくなっていき、外れやすくなるのです。

 

3. なぜ『クッションタイプ義歯安定剤』を使うと余計に外れやすくなるの?

 

食事の際、噛んだ時の圧力は、入れ歯を通して歯茎に伝わり、支えられることによって、食事を可能としています。

だからこそ、それがぴったり合わなくなってくると食事しずらいので、『くっつくやつ』を使用するようになるのですが、これが問題です。

 

先ほども言ったように、入れ歯は歯茎に支えられています。

噛んだ際の圧力は、ほぼ全て歯茎へと伝わります。

しかし『クッションタイプ義歯安定剤』を間に入れてしまうと、その圧力は分散し、歯茎へと伝わる圧力は、減ってしまうのです。

 

これの何が悪いのか。

人間の体は、使われなくなった部分は、少しずつ退化するようになっています。

今まで圧力が十分にかかっていた歯茎は、仕事をしている、と認識されるため、加齢分の痩せしかありませんが、『クッションタイプ義歯安定剤』を入れてしまうと、歯茎にかかる圧力が減り、仕事をしていない、と認識されるためその分余計に痩せるスピードが速くなってしまうのです。

 

4. そもそも義歯安定剤は要らない!?

 

基本的に歯科医院で作る入れ歯は、クッションタイプだけではなく、義歯安定剤そのものを使用しなくても十分に使えるような設計の元、作成します。

 

ですが、入れ歯の使用者と入れ歯そのものの経年的な変化により、外れやすくなるのは、仕方のないことといえます。

一度作成したら生涯二度と手を入れなくていい入れ歯というものはありません。

故に、外れやすくなったとしてもその部分を補うように修理する手法や材料なども豊富にあります。

 

まとめ

・義歯安定剤のうち、クッションタイプは骨の吸収を促進してしまうので、使わない方が良いです。

・入れ歯が合わなくなったら、歯医者さんで修理しましょう。

 

このブログをご覧になられている方の周囲で、「入れ歯が外れやすくなった」などの声を聴くことがありましたら、自己対処される前に、ぜひ歯科医院で相談してみてください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

歯の怪我:外傷歯の治療について(シリーズ1)

2022年8月26日

歯の怪我:外傷歯の治療について(シリーズ1)

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。

歯の怪我(外傷)…どんなイメージを持っていますか?

 

怪我はある日突然、起こります。

当院では小中学校が近いこともあり、「急に歯や口を怪我してしまった!」と受診されるケースも多いです。

 

歯の外傷にもいろいろなパターンがあり、一度にすべては書けません。

そこで外傷シリーズとして、よくある歯の外傷のパターンを解説させていただこうと思います。

 

歯の外傷の種類

 

1-1)歯が割れた

 

軽度の歯冠破折(しかんはせつ:歯の表面が欠けた)

ほんの少し欠けただけなら、様子見することもありますし

歯科用プラスチックで欠けたところを埋めることもあります。

 

歯冠破折(しかんはせつ:歯が欠けた~割れた)

神経が出てしまうほどの割れ方をしてしまった場合は、根っこの治療をします。

 

歯根破折(しこんはせつ:歯の根っこが割れた)

歯の根っこが割れてしまうと、残念ながら抜歯するしかないこともあります。

 

1-2)歯がぐらぐらする・抜けた

 

歯の亜脱臼(あだっきゅう:軽い打撲のような状態)

歯を打ってしまったけれど、様子見で大丈夫な状態です。

 

歯の脱臼(強い打撲のような状態~歯が抜けかけた状態)

歯を打って、ぐらぐらしてしまっている状態です。

歯が植わっている歯槽骨(しそうこつ)にダメージを受けています。

従って、動揺している歯では固定が必要です。

ワイヤーで添え木を行って固定します。

 

それでも歯の神経や血管がダメージを受けており、後で歯の変色が起きる場合も。

変色が起きたら根の治療が必要となる場合が多いです。

 

歯の嵌入(かんにゅう:歯が歯茎にめり込んでしまった)

大人ではほぼ起きません。子どもの外傷でよく見られます。

子どもであっても、嵌入(かんにゅう)した歯が永久歯の場合は、とても予後が悪いです。

乳歯の場合は、ふたたび生えてくることを期待して様子見することが多いです。

 

歯の脱落(歯が抜けた)

再植(さいしょく:抜けた歯をもとの歯茎に戻すこと)が可能な場合もあります。

歯の保護液(学校の保健室にあることがあります)や、牛乳、お口の中(唾液)に漬けた状態でなるべく早く歯科医院に受診してください。

抜けた歯を水道水で洗ってしまうと、歯の根っこの表面の細胞が死んでしまうことで、歯を戻せなくなってしまいます。

 

歯の外傷の予後と考え方(文化や国などによる)の違い

 

歯の予後について

 

生えたばかりの歯の怪我は、乳歯でも永久歯でも、予後はあまりよくありません。

生えかけの歯の根の先は未完成で、「歯になっていく組織」がそこに存在しています。

歯になっていく組織は出血しやすく、多めに出血すればその歯の予後は悪化しやすい傾向にあります。

 

小さなお子さんの怪我は突然起こってします。

怪我をしたら、治療は待ったなしです。

まずトレーニングして、歯科医院に慣れてから歯科治療する、といったことはできません。

お子さんが号泣する中、出血を伴う治療をがんばってもらうしかないケースも、少なくありません。

 

予後に対する国ごとの考え方の違い

 

契約社会のアメリカでは、予後が不安定な乳歯では、抜歯となることが多いようです。

一方日本では、なるべく残す方向で、まず考えてみることが多いです。

医学的にはどちらも間違っていない判断だと思います。

 

次に、低年齢のお子さんの怪我のよくパターンについて、お話していきます。

 

1~2歳児の歯の外傷の代表的パターン:歯の嵌入(かんにゅう)

 

Aくんは、1歳半の男の子。

まだ歩きは覚束なく、公園で遊具に顔から激突してしまいました。

上唇と上の前歯の歯茎から出血があり、生えたばかりの乳前歯が2本、歯茎にめり込んでしまいました。

 

この年齢の外傷の、かなり代表的なパターンです。

 

歯が歯茎にめり込んだ状態(陥入:かんにゅう)は、その歯の周囲骨の広い範囲に骨折が起きている状態です。

 

永久歯の嵌入(かんにゅう)

永久歯では、上にも書きましたが、最も予後が悪いとされています。

永久歯の治療は、めり込んでいる歯を定位置まで引っ張り出し、歯の根の治療をして、歯の定着を待ちます。

 

乳歯の嵌入(Aくんのケース)

乳歯では少し状況が異なります。

 

幼児の骨は柔らかく、生えた直後ぐらいの歯であれば、80%くらいの歯が、自然に生え直してくるようです。

ただし、生え直してきた歯にも、なんらかの症状がみられることが多いです。

 

50%くらいは、無症状か、神経の部分が歯の質に置き換わってしまう歯髄狭窄(しずいきょうさく)という状態(治癒の1パターンとも考えられます)になります。

残りの50%くらいは、根っこの治療が必要となります。

 

乳歯の場合は、めり込むぐらい骨にダメージがあった割には、良い治り方をすることが多いんですね。

 

まとめ

 

・動揺している歯では、歯の周囲の歯槽骨にダメージがあります。
治療は、ワイヤーで添え木を行って固定します。
それでも歯髄につながる神経、血管がダメージを受けて、後日歯の変色が起きる場合があります。
その場合、根の治療が必要になります。

 

・小さなお子さんの場合、けがは突然起こります。
出血や根の完成度により予後は異なります。
日本ではなるべく残す努力をしますが、海外では不安を残さないため抜歯をすることもあります。
文化や国により考え方が異なります。

 

・歯の陥入(かんにゅう・めりこむこと)は広範囲に歯槽骨の骨折が起きています。
永久歯では最も予後が悪いとされています。
乳歯では少し状況が異なり、再萌出(さいほうしゅつ・また生えてくること)する場合があります。

 

歯の外傷は、年齢、歯の受傷具合で方針が大きく異なります。

早く治療することで、その後の予後が変わることもあります。

まずはお電話で、できるだけ早くご相談ください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

市の歯科健診や学校健診と、歯科医院での検診のできることの違いと、PMTCについて

2022年7月26日

市の歯科健診や学校健診と、歯科医院での検診のできることの違いと、PMTCについて

 

こんにちは!岩国のつぼい歯科クリニック 小児歯科専門医の吉村です。
この度、政府の骨太の方針の中に、年1回程度の歯科健診を勧めることを打ち出されました!

まだ詳細は決まっていないようですが、歯科健診の重要性が話題になったことはうれしいことです。

歯科医師としては、これをきっかけに色々と考えてもらいたいこともあり、まとめてみることにしました。

 

1)健診では何を見る?

 

健康診断の略です。

健康かどうかを診断するのが目的です。

一次予防とも言われます。

 

岩国市の場合、いい歯おとなの歯科健診、妊婦歯科健診、後期高齢者用の歯科健診、企業によっては企業健診の券が、皆さんに配られています。

これら券を使って歯科医院に受診します。

また、各学校などに歯科医師が訪問して行う、学校歯科健診もあります。

 

歯科健診では、チェックするポイントが県ごとで決まっており、目視のみで病気を探していきます。

よって、通常の歯科診療のレントゲンやCT、その他機器を使用した診察と比較すると、精度は低いものになります。

 

2)歯科検診では何をする?

 

こちらは検診の字が違います。

特定の病気にかかっていないか「検」査して「診」断することを指します。

二次予防とも言われます。

 

代表的な検診に「がん検診」がありますね。

特定の病気を早期発見して治療することが目的です。

検診の種類にもよりますが、その病気を特定することができる機器(レントゲンなど)を使用することが可能です。

 

検査結果をもとに治療計画を立てて、治療していくことを前提にしています。

 

3)歯科医院での治療が一段落ついて、病状を悪化させないための「管理治療」

 

歯石は、時間とともにどうしても歯についてしまいます。

一度歯周病になった方で、歯科医院での治療の甲斐あって歯茎の状態が落ち着いたけれど、ほっておくとまた歯石がついてしまって、歯茎の状態が悪くなる…というケースは、とても多いです。

 

初期虫歯も同じで、今は安定しているけれど、ほっておくと進行してしまいそう…という部位がある方はとても多いのです。

このような場合、病状が悪化しないように「歯科管理治療」を保険治療で受けることができます。

 

よく、「〇か月後くらいに、また歯石を取りに来てくださいね」「〇か月後くらいに、この歯をまた診せてくださいね」などと歯科医院で言われることがあると思いますが、あれが「歯科管理治療」です。

 

この場合も、歯周病や虫歯という特定の病気が悪くなっていないか、必要に応じて検査して診断するので、ある意味「検診」と言えるかもしれません。

 

レントゲンは必要に応じて、目視ではわからない部分や、骨、詰め物部分に変化や異常がないか確認する方が良いと思います。

そして、歯周状態のチェックを行い、これまた「検査結果に応じて」PMTC(歯科医師・衛生士による専門の機器を使用した、口の中の菌が作るバイオフィルムの除去)や、スケーリング(歯石除去)、歯ブラシ指導などを行います。

歯周状態が悪ければ、歯周ポケットの内部まで掃除する必要があり、時間や麻酔などが必要になります。

 

保険診療では、昔は虫歯や歯周病などの病気ができてから・悪化してから治療するという考えが基本でした。

 

現在は、病気を早く見つけて治療したり、悪化させないように管理したり、歯や歯茎だけでなく、食べる機能そのものを改善したり衰えないようにする、という考えが主流になっています。

 

また、歯周病はアルツハイマー型認知症や糖尿病、心臓病、骨粗鬆症、肺炎、低体重早産などが引き起こすことがわかっています。

これらの病気が日本の医療費を上げる原因にもなっています。

 

歯周病を改善したり予防することが、高齢化が進む日本の医療費増加も予防できるのではと期待されています。

 

4)PMTCはなぜ必要なの?

 

PMTCとは、プロによる機械的な歯の細菌除去の略です。

PMTCは口の中のバイオフィルムを破壊します。

 

バイオフィルムとは

三角コーナーやお風呂、排水溝など、細菌が溜まりやすいところにヌルっとした感触のものが付くことってありませんか?

あれがバイオフィルムです。細菌が膜を作っています。

 

三角コーナーやお風呂のヌルっとしたものをしっかり落とさないと、ヌルヌルはもっとひどくなっていくのを経験した人はいませんか?

キュキュッと音がするまで、しっかりこすり洗いをしたら、しばらくはヌルヌルは付きませんよね。

 

お口の中も同じです。

3ヶ月に一回くらい、プロによって、口のすみずみまでバイオフィルムを専用の機械で破壊しておけば、プラークや歯石が付きにくくなります。

 

プラークがある状態のまま放置すると、プラークは歯石になります。

歯石は硬く、プラークやバイオフィルムを取るよりもずっと除去しにくいのです。

 

歯茎の下にできた歯石は、麻酔をして、器具を歯茎下まで入れ込んで掻き出す必要も出てきます。

PMTCは「マッサージを受けているようで気持ちいい」と言われる方もいます。

麻酔をして歯茎の下の歯石を取る場合は、結構痛いことが多いです。

 

 

5)気をつけて歯磨きしているのに、虫歯になりやすい人がいるのはなぜ?

また、何も気をつけていないのに、虫歯にならない人がいるのはなぜ?

 

歯や歯周に関する病気は、口腔内のプラーク(歯垢・細菌)が原因です。

虫歯のなりやすさ、歯周病のなりやすさは個人差が大きいです。

 

個人差の中には、以下のようなものがあります。

 

・食生活の差

砂糖をたくさん取るような食生活(ジュース、おやつなど。スポーツドリンク、栄養ドリンク、健康ドリンクや酵素ドリンクなども、糖分が多く含まれるものもあるので注意)

 

・口の中の細菌の差

もともと虫歯菌を持っていることや、悪玉菌の割合が高い、細菌の量が多い、唾液の量が少ない(口呼吸、唾液が出にくい病気や薬の副作用など)

 

・ライフスタイルの差

喫煙、ストレス、睡眠不足、歯磨き習慣、歯磨きの上手さ、フロスや歯間ブラシなどの使用の有無、フッ素の使用の有無

 

・加齢

加齢と共に歯周ポケットが深くなり、歯周病細菌が増えれば歯周病が悪化します。

そのどちらにおいても、たばこはプラークの質の悪化に大きく貢献してしまっているようです。

 

年に何人かは、40歳まで虫歯知らずで、40歳を超えたとたん、急に歯が抜けて、パニックになりながら歯科受診される方がいます。

虫歯菌を持っていなかったので、40歳になるまでは、食生活も歯磨きもあまりがんばらなくても虫歯知らずで、歯科医院も受診したことがないタイプの方です。

ところが、歯周病菌は持っていたので、40歳をすぎたら、これまでのお手入れ不足もあって、一気に歯がグラグラになってしまうのです。

今までの人生で歯に困らなかったので、昔の歯医者=虫歯治療をする場所、という昭和の価値観のまま来てしまったんですね。

 

虫歯も歯周病の対策においても、プラークの破壊が最も大事です。

日頃のケアはその再付着をできるだけ防ぐ作業であり、付着しにくい生活習慣もまた重要です。

歯石やプラークが簡単に取れるサイクルは、個人差はありますが3か月前後が理想とされており、継続した人としてない人で80歳になったときの残存歯数の圧倒的な差がでています。

 

上手に歯医者さんを利用して健康維持をしていきましょう。

 

まとめ

 

・歯科健診(市や学校などでの健診事業)で診察できる内容は限られ、目に見える病気の状態(穴が開いているレベルの虫歯や、歯茎の出血、腫脹)になっているものを明らかにします。

・歯科検診では必要に応じた検査をした上で、検査結果に応じて歯面上のプラーク・バイオフィルムの破壊や歯石除去などを後で行うことが多いです。

・プラークの質は生活習慣・年齢・たばこの喫煙の有無等で悪化します。

定期管理による検査・診断(3か月に1回程度)・歯周病治療とご自宅での口腔ケアをお勧めします。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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