お子さんの成長に寄り添う小児歯科・小児矯正
2026年10月31日

こんにちは。岩国市の医療法人つぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 小児歯科専門医 副院長の吉村です。
お子さんの口の問題は、一人ひとり異なります。
- ・歯並びの問題だけ
- ・むし歯の問題だけ
- ・生まれついての歯の本数の問題だけ
というお子さんも多いですが、患者さんによっては、
歯並び・むし歯・過剰歯・上唇小帯・中心結節と問題がたくさんある…
という方もおられます。
それも、一度に問題が出てくるのではなく、発育・発達・生活習慣によって、順番に問題が出てくることがあります。
今回は、5年間にわたって成長を見守ってきた、そんなお子さんの症例をご紹介します。
乳歯の時期から永久歯に生え替わる時期にかけて、口の変化を確認しながら、お子さんに寄り添い、その時々に必要な予防や治療を行ってきました。
お子さんの口は、成長とともに変わります。むし歯の有無だけでなく、歯の本数や生える位置、噛み合わせなども、成長に合わせて確認することが大切です。
当院では、こうした変化を捉え、お子さんの発達段階に合わせて対応することで、健やかな口の発達を支えています。
1)当院が大切にしている「3つの予防」
当院では、小児期から「むし歯予防」「歯周病予防」「歯並び予防」の3つを大切にしています。
痛くなってから治療するだけでなく、問題がない時期から予防のために通っていただくことを重視しています。
歯磨きや食習慣についてお伝えするとともに、歯の生え替わりや噛み合わせも確認します。歯並びについても、経過を見守る時期と、治療が必要な時期を見極め、一人ひとりに合わせて対応を考えます。
2)実際の症例 3歳から8歳までの5年間の軌跡
2-1)3歳:予防のお話と、歯の生え替わりを見据えた確認
3歳の初診時には、むし歯は認められず、口の清掃やむし歯予防についてお話ししました。
また、初診時から上の前歯の部分に「過剰歯」があることを把握していました。過剰歯とは、本来の歯の本数よりも多く存在する歯のことです。
このお子さんの過剰歯は、通常の歯と同じ方向を向く「順生」のタイプだったため、自然に生えてくると予測していました。
そのため、すぐに外科的な摘出を行うのではなく、生える位置や永久歯への影響を確認しながら、抜歯に適した時期を待つことにしました。
2-2)4歳:通院再開時に見つかったむし歯への対応
初診時には、過剰歯が永久歯に影響しないか、定期的に確認することをおすすめしていました。その後、通院の間隔が空き、4歳で再び受診したときには、複数の乳歯にむし歯が見つかりました。

写真では、次の部分に色をつけています。

- ・ピンク:過剰歯
- ・黄色:むし歯
- ・みどり:中心結節
中心結節とは、歯の噛む面にできる突起のことです。突起の中まで神経が伸びていることがあり、折れると痛みや炎症につながることがあります。
永久歯の前歯が、過剰歯のある場所をよけて、本来とは違う位置に生えてくる可能性がありました。
そのため、過剰歯や生え替わりの定期的な確認を再開しつつ、まずは見つかったむし歯の治療から進めました。
まだ幼く、治療への不安もあったため、緊張を和らげる「笑気吸入鎮静法」を取り入れ、お子さんの様子を見ながら治療を行いました。
用語:笑気吸入鎮静法
笑気ガスを吸引しながら、ウトウトした状態でむし歯治療を行うこと。
治療に協力するつもりはあるものの、そのままでは治療が怖くて苦手なお子さんに有効です。
ただし、治療を本気で拒否しているお子さんや3歳以下のお子さんには、効果がないことが多いです。
この経過からもお伝えしたいのは、「今はむし歯がないから大丈夫」と通院をやめないでほしい、ということです。
歯並びや生え替わりの管理のために「定期的に見せてくださいね」とお伝えしたときは、どうかそのまま通院を続けてください。定期的に口の中を確認できていれば、むし歯を早い段階で見つけたり防いだりすることができ、お子さんが大変な治療をせずに済みます。
歯磨きやフッ素(フッ化物)の使用、食習慣といった家庭でのケアと、歯科医院での定期的な管理を組み合わせて、お子さんの口の健康を一緒に守っていきましょう。
2-3)5歳:予測していた過剰歯の萌出に合わせて抜歯
5歳になると、経過を見ていた過剰歯が、当初の予測どおり自然に生えてきました。そこで、後から生えてくる永久歯への影響を考慮し、過剰歯を抜歯しました。

過剰歯を抜歯することで、あとから生えてくる予定の永久歯の位置が改善しています(☆印の歯の位置が、左右対称に近づいている)。

この症例では、過剰歯の向きや永久歯との位置関係を確認しながら待つことで、永久歯が適切に生えるための環境を整えました。
用語:過剰歯
過剰歯とは、本来の本数よりも多くできた、余分な歯のことです。永久歯が生えるのを妨げたり、歯並びに影響したりすることがあります。代表的なものに、上の前歯の中央付近にできる「正中過剰歯」があります。
口の中に生えてくる場合もあれば、骨の中に埋まったままの場合もあります。レントゲンや、必要に応じたCT検査で見つかることもあります。
原因はまだはっきりとわかっていませんが、歯のもとになる組織の発育や、遺伝などが関係すると考えられています。
2-4)6〜7歳:永久歯の生え方に伴う噛み合わせの変化に対応
もともとの前歯の噛み合わせは、上下の歯の先端が接する「切端咬合(せったんこうごう)」で、経過を見守っていました。
6歳ごろ、上の左右の永久前歯が内側に傾いて生えてきたことで、前歯の噛み合わせが逆になる「反対咬合(はんたいこうごう)」になってしまいました。

このお子さんの場合は、永久歯への生え替わりに伴って、前歯の傾きによる噛み合わせの問題が現れたという経過です。その変化に対応するため、上の前歯を唇側へ誘導し、噛み合わせを整える治療を進めました。

反対咬合を治療するための矯正装置
また、上の前歯の中央にすき間がある「正中離開」も認められました。
上唇の内側と歯ぐきをつなぐ筋を「上唇小帯」といいます。このお子さんでは、上唇小帯が前歯の間に入り込んでいたため、治療の進め方を考え、6歳のときに切除しました。
7歳のときには、反対咬合と前歯のすき間の治療に加えて、舌や口周りの筋肉の使い方を練習する「MFT(口腔筋機能療法)」も取り入れました。

上唇小帯切除前
上の真ん中の部分に、強い繊維が入り込むことで、前歯の間にすき間ができてしまっています。

上唇小帯切除後
上の真ん中の繊維を切るだけで、すき間が閉じてきました。同時並行で反対咬合の治療も行っています。

治癒後
成長に伴って現れた複数の課題に一つずつ対応しながら、口の発育を適切な方向へ導いてきました。
治療内容:固定装置を用いた小児矯正、費用44万円(税込み)、治療期間:小児矯正部分に関しては約1年、リスク:思春期成長の後、反対咬合は後戻りの可能性がある、適切な歯磨きをしない場合は虫歯になることがある
3)お子さんの発達段階に合わせて、治療方法も柔軟に
お子さんは同じ年齢でも、治療への理解や装置への慣れ方は一人ひとり異なります。必要な治療を進めるとともに、お子さんの気持ちや発達段階に寄り添うことも大切にしています。
このお子さんは、口に装置を入れると「オエッ」となる反射が出ることもあり、マウスピース型の装置に慣れるまで配慮が必要でした。経過の中では、装置を一度作り直したこともあります。
その都度、お子さんが受け入れられる方法や取り組める範囲を確認し、状態に合わせて対応することを大事にして、治療を進めていきました。
また小児歯科では明らかになった問題点を、年齢や発達、歯列の状態に応じて順次解決していき、正常な成長軌道に乗せていく、といった方法をとります。お子さんの成長にあわせて、寄り添うようにサポートをすることが重要だと考えています。
4)これからの生え替わりも、予防とともに見守ります
今後も、永久歯への生え替わりや顎の成長に伴う変化を確認していきます。
現在8歳になり、前歯の噛み合わせは整いましたが、これからも成長に合わせた確認は続きます。
このお子さんでは、今後生えてくる小臼歯(犬歯の後ろに並ぶ永久歯)の噛む面に「中心結節」という突起がある可能性があるため、生えてきた際に確認し、折れないための注意や必要な対応を検討していく予定です。また、前歯の噛み合わせが再び反対にならないかについても、継続して見守っていきます。
小児歯科で大切なのは、そのときの問題を治療することに加え、次の成長段階を見据えて予防と管理を続けることです。
当院では、むし歯・歯周病・歯並びの3つの予防を大切にしながら、お子さんの成長を支えていきます。痛がるなどの気になる症状がない時期から、口の状態や発育の確認のために、定期的に歯科医院を受診されることをおすすめします。
5)まとめ
- ・小児歯科では、むし歯や歯の本数、噛み合わせなどの問題について、原因を調べ、成長に合わせて必要な治療を進めます。
- ・むし歯の治療、顎の成長や噛み合わせへの対応、歯が並ぶスペースの確保など、治療の内容や順序は、お子さんの口の状態に合わせて決めます。
- ・過剰歯は、永久歯が生えるのを妨げたり、歯並びに影響したりすることがあります。歯の向きや位置を確認し、抜歯が必要か、いつ抜くかを判断します。
最後まで読んでいただきありがとうございました。













































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こんにちは、岩国市のつぼい歯科クリニックおとなこども矯正歯科 副院長の吉村です。
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